異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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ズボラライフ2 ~新章~

閑話 ~もしも雅が20才の時に転生していたら4~

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やべぇよォォォォ!! 
動物達が警戒してるからどうかなぁとは薄々感じてた。感じてたけど第一異世界人だしさ、何とか接触を図ろうとするよね!?

まさかの山賊だったァァァァ!!!!
しかも巨人の!! 進撃の巨山賊!! イェーガーーーー!!!

「ブハッ」

ん? 誰かふき出してない? 空耳??
とにかく!! 動物の壁から上半身だけ出していたが、これは引っ込んだ方がよさそうだ。食われる。

身を振りながら後ろへ下がろうとするが一歩も動けない。
いや、動物達よ。少しどけろ。

と、その時。ズサッと音がしたかと思ったら、なんと!! 進撃の巨山賊が片膝をついて私の事をジーッと見ているではないか!! 近いっ そして怖い!! 主に顔が!!!!

「俺の名はロード・ディーク・ロヴィンゴッドウェル。王国騎士団に所属している。なぁ。オメェの名、教えてくれねぇか?」

え? 何、キシダン?? オウコクの?

「いやいや、嘘ツクナヨ。アンタ絶対山賊のお頭ダロ」
「ブハッ」

やっぱり誰かふき出してる?

「……正真正銘、ルマンド王国第3騎士団所属の大隊長だ。嘘じゃねぇ。だからオメェの名前を教えてくれ」

ちょっと怒ってるのか、目の前の山賊の顔は赤く染まっている。
そして何だって? 本当に騎士? 山賊ジョークじゃなくて?? 

「なぁ、名前言いたくねぇのか?」
「え? 名前……私の?」
「ああ。オメェの名が聞きてぇ」

何かこの人、顔はヤクザみたいに凶悪だけど……目がトロンとしてる?

「私の名前は、きた……」

“みーちゃん。異世界には名縛りって言ってね、本名をフルネームで名乗ると奴隷にされちゃうお約束があるんだよ!!”

昔トモコに言われた話を思い出してバフッと自身の口を塞ぐ。
うっかりフルネームを名乗る所だった!!

「キタ?」
「違います!! ミヤビ!! 私の名前はミヤビですっ」

慌てて下の名前だけ伝えると、凶悪顔の騎士はとろけるように笑って言ったのだ。

「ミヤビ……ミヤビか! 綺麗な響きの良い名だな。妖艶で可愛いオメェにぴったりだぜ」

あぁん?

これはアレか。山賊みたいな姿をして、中身は騎士しんしですアピールの為のお世辞か?
自慢じゃないが、顔と名前が合ってねぇなとは言われた事があっても、可愛いとかましてや妖艶なんて言われた事ないからな! 騙されんぞ!! そもそも妖艶ってなんぞや!?

「ミヤビ、オメェの手に触れても良いか?」
「え、何ですか? それ部族の挨拶的なやつですか?」
「ブハッ」
「いや、そこから引っ張り出す為にだ」

ああ、そういえば挟まれたままだった。

「じゃあ、お願いします……?」
「よし!!」

お願いすれば、遠慮なくがっしり手を握られて引っ張られ、スポンと簡単に抜け出せた。

「っトーイ!! つがい捕まえたから帰るぞ!!」
「は!? おい……ッ」

なんと!! そのまま片腕に座らされるように抱えられたまま、走り出したではないか!!
しかも異世界人がもう1人増えた!!

「ぅえええェェェェ!!!?」
「口しっかり閉じとけよ!! 舌噛むぜっ」

そう言いながら走る速度は車並み!? 人間じゃないの!?

「ロード!? お前いくらつがいでも誘拐は犯罪だぞ!! なに考えてるんだ!!」
「しょうがねぇだろ!! つがいに触った興奮で衝動的に拐って来ちまった!! 遭難してるつがいを捕獲……保護しただけだと思やぁ誘拐じゃねぇ!!」
「バカな事をッ」

お前今捕獲って言ったな!? やっぱりコイツ山賊か奴隷商なんだ!! 始めから騎士は無いと思ってたんだよぉぉ!!!

「グルァァァァァァァ!!!!!」
「ギャオォォォォォォォ!!!!!」
「グガァァァァァァァァァァ!!!!!」

モグラ君とサーベルタイガーちゃん。そして白トカゲまでもが怒り狂って追いかけてくる。 

「もう1匹増えやがった!」
「だから拐うんじゃない!! 彼女が神なら追っ手がもっと増える!! 殺されるぞっっ」

速い、速いっ 速いィィィィ!!! 安全バーの無いジェットコースターか!!
走るスピードがどんどん速くなる2人に、異世界人怖いとガクブルである。

「俺のつがいだ!! 絶対ぇ離さねぇぞ!!!」
「ロード!! つがいに出会って興奮してるのは分かるが、少し落ち着け!! 嫌われるぞっ」
「!!!?」

あまりのスピードと風の音で2人の会話はよく聞こえないが、何だか揉めてるようだ。
からの急ブレーキ!!? 

「それはダメだ!! 一体どうすればいい!? お前つがい持ちだろっ 教えてくれ!!」
「だから拐うな!!」

急ブレーキで首グキッてなったァァァァ!!!!


◇◇◇


「この馬鹿が申し訳ございませんでした」

平身低頭に謝罪するのは第2異世界人だ。山賊の仲間のようだが、誘拐を止めていたところからも話が通じる人らしい。

この人は山賊の頭と違って優しそうで話しやすそうな雰囲気と、なんとなく気品があるので騎士と言われたら納得できる。

「いや、拐わないならもう良いんですけど。……それよりコレ、どうにかしてもらえませんか」

現在、私を抱き上げたまま離そうとしない巨山賊が「頼むから嫌わないでくれ」と必死にすがってきている図。

「……申し訳ございません。どうやら貴女様はその男の“つがい”のようでして、引き離す事は出来ません」

と、謝罪の体勢のままこちらと目も合わさず言い切った第2異世界人に首を傾げる。

“つがい”とは何ですか??



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