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番外編

ロビン10歳。お店を発見!!

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にわかに騒がしくなってきた城内で、盛大にため息を吐く男が一人。

「っ……はぁ~~~~~~!!!! マジかよ!!」
「マジだよ。転移扉の結界が破られた気配がしたから調べてみたら、ロビンが結界を破ってこっちに来たみたい」

頭を抱えた男に、苦笑いで状況を報告するのはその妻である女性…雅であった。

『ミヤビ様が適当に作った扉とはいえ、“神王様の作ったモノ”を破壊するとは、さすがです。しかも我々に動きを悟らせぬよう移動するとは…』
「そうだね。あの子はすでに“創世の10神”の力と同等かもね」

ペット兼育ての親であるヴェリウスの言葉に同意する雅。
深いため息を吐いていた男…ロードは引きつった表情で口を開いた。

「にしてもまだ小せぇのに家出たぁ、何か嫌な事でもあったのか? もしかして、俺が構ってやれねぇから拗ねちまった、とかじゃねぇだろうな?」

心配そうに眉を下げる旦那に、聞いていた妻は笑い飛ばした。

「それは無いかなぁ。休みの度に子供達を構い倒してるし、逆にウザがられてるかも」
『ミヤビ様の仰るとおりだ。その証拠に、先日ディーク様が「お父さん鬱陶しいんだけど」と呟いていたぞ』
「!!!!?」

ミヤビとヴェリウスの言葉に多大なショックを受けたロードは、力なく執務室のソファへと沈んだのだ。

「ところで、何だか城内が騒がしいけど何かあったの?」

色んな意味で沈んでいるロードに問いかけると、彼は顔を上げて言ったのだ。

「あ゛? そういやぁ、魔物が城内に入り込んだとかなんとか騒いでたな」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ロビン視点


「うっっっっわあーーーー!!!!」

すっごい!! 沢山の武器が所狭しと置いてあるわ!!

「もしかしてここがお店なの?」

まあるい形をしたナイフや、トゲトゲが可愛い鉄球、それに見たこともない道具が沢山あって、わたしの胸はとってもドキドキしてる。

「ステキ!! あぁッ これ可愛い!!!」 

鎌に鎖と分銅がくっついた武器を手に取り、鏡を探す。
持った時にわたしに似合うかどうかは見ないとダメでしょう。

でもね、このお店、どうやら鏡を置いていないようなの。それに照明も薄暗いわ。

「浮島のお店はどこも明るいのに、この“街”のお店はこんなに可愛いモノがいっぱいあっても“電気”を付けないなんて、変なの」

まぁ鏡くらいアニマルリュックに入れてるわ。レディーのたしなみよ。って、ランタンに言われたもの。

わたしはリュックから手鏡を出して、壁に立て掛けると大きくなぁれって願ったの。
すると鏡はみるみる大きくなって、姿見になったんだから。

ママみたいに好きなモノを創ったりはできないけど、大きさを変える位は出来るのよ。

「わぁ~やっぱり可愛い!! これが欲しい!!」

リュックからお財布を取り出して、店員さんを探したの。

「誰もいないみたい…」

トモコからは、“街”のお店では、お金を渡して欲しいものを貰うって聞いてたのに。これじゃあ購入できないわ。

「誰か~!! 誰かいませんかーー!!」

恥ずかしかったけど、どうしてもこの武器が欲しかったから大声で叫んだのよ。

「!? いたぞ!! 本当に小さな女の子だ!!」

叫んだかいがあったみたい。店員さんが急いで駆けつけてくれたんだもの。

「応援を呼べ!!」

応援? お客さんなんてわたししかいないのに?
あ、もしかしてこれから沢山来る予定とか?? こんなに可愛いモノが沢山あるんだもの。きっとそうなんだわ!

「仲間が来るまで手を出すなよ」
「分かってる……しかし、本当にあんな幼い子供が魔物なのか?」
「バカッ 見かけに騙されるな!」

慌てて駆けつけたわりに、遠巻きに見てるだけで近付いて来ないのは何故?
もしかして“お金”を持ってないって思われた?

「お、お金ならあります!! これ!!」

金色に光るコインを財布から取り出すと、遠巻きに見ていた店員さん達が、腰にぶら下げていた剣を鞘から抜いて見せてきたの。

「わぁ~それも良いですね!! でもわたしが欲しいのはこっちで…」

鎌に鎖と分銅がくっついている商品を掲げると、店員さん達は緊迫した空気を醸し出して、自分達のイチオシ商品をますますおすすめしてくるのよ。

「どうしよう…これが“押し売り”ってやつなの…?」

困っていると、店員さん達がどんどん増えてきて……えぇ!? おすすめ商品がそんなにあるの!?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



騎士視点


人型の魔物が出没したと大騒ぎになり、城内を第2師団が。騎士団の宿舎や訓練場周辺を第3師団が手分けして探していた所だった。

「━━…仲間が来るまで手を出すなよ」
「分かってる……しかし、本当にあんな幼い子供が魔物なのか?」

噂の魔物が見つかったのは騎士団の武器庫で、そこに幼い少女が居るなど異様であった。

どう見たって幼い子供だ。とても魔物だとは思えない。と、仲間を見るが、「バカッ 見かけに騙されるな!」と叱責される。

他の仲間達と合流するまで目を離すわけにはいかないと、距離を取りながら逃がさぬように道を塞ぐ。
しかし、おろおろする幼い子供に剣を向ける気にはどうしてもなれなかったのだ。

しかし、子供は何かを見せてきたと思ったら、鎖鎌を構えた。

「ッ武器を構えたぞ!!」

武器を構えた者は、例え子供とはいえ戦う意志があるという事。当然国を守る役目を持つ我々騎士は、その役目を全うすべく、自身の武器を持ち構えた。


我等は誇り高いルマンド王国の騎士なのだ。しかも自分は、ロード様率いる第3師団の騎士である!!


心の中でそう奮起しながら、目の前にいる少女を睨み付けたのだ。
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