403 / 587
第五章
お腹がはちきれそうだ!!
しおりを挟む第1回の浮島ツアーは大成功を収め、好評の内に幕を閉じた。
敬虔な信者さんには天空神殿見学がかなり好評で、第2回以降も見学ツアーを行う事となる。
その他でもドラゴンを見る事が出来るテーマパークはファミリーに大人気であった。よくテーマパークの上空をドラゴンは飛んでいるのだ。
カップルや夫婦には天空列車でのロマンチックデートが密かに人気であったのは言うまでもない。
お一人様にはエルフ街での観光や、ホテルのバーと温泉等も好評だった。
コリーちゃん一家もトリミーさん夫婦もまた行きたいと笑顔で帰っていったのが記憶に新しい。
ちなみに信者さん達は、元から神々に好ましく思われていたのもあるのだろうが、天空神殿で祈りを捧げてから輪をかけたらしく、皆がそれぞれ神に加護をもらったという顛末…。
第3回のツアーでは、ルーベンスさん夫婦…もう一家と言っても良いかもしれない。が注目を集めた。
何しろ奥様が10人居るのだ。しかも種族が皆違う。そして皆様小さい女の子が大好きだった…。
この世界の女性は身長が175センチ以上が殆どで、小さいのは小人族やドワーフ族等の一部の種族だけなのだ。
そして私とトモコは160~165センチという、この世界では小柄であった。ショコラも子供なので小さい。
つまり、ルーベンスさんの10人の奥様の玩具として目を付けられるわけで…結果、頭から足の先まで弄ばれたのだ(※決して性的な意味ではありません)。
途中助けを求めたが、ルーベンスさんは目をそらし、ロードは仕事で来れず、助けてくれる人は皆無であった。
浮島でもつれ回され、心休まるのは夜だけだった。
嘘だ。夜はロードの相手という、何とも鬼畜なスケジュールでげっそりしたのは言うまでもないだろう。
結局、奥様方にはルーベンスさんが父なら、私達は母よと断言され、私とトモコ、ショコラに10人の母親が出来たのである。
そしてルーベンスさんは着実に妻を増やそうとしている。エルフ妻を娶るのも時間の問題だろう。
そういえば、天空列車のロマンチックデートにルーベンスさんも行ったらしいが、10人もの女性を連れて行くのにロマンチックもなにもないだろうと思ったのは私だけだろうか。
きっと姦しい…大騒ぎ…いや、楽しいデート(?)だったに違いない。
そうそう、この夫婦だが、2泊3日では足りないと、ルーベンスさんが休みの度(宰相なので少ないが)に2~3人連れでデートに来るようになった。
一夫多妻も大変だと、頬がこけながらも家族サービスしているルーベンスさんを見て感じたものだ。
そんなこんなで。
浮島ツアーの後、ロードの実家に結婚の挨拶に行ったりだとか色々あったが、現在私のお腹はピークを迎えている。
妊娠8ヶ月目に突入したのだが、お腹が張り裂けそうなのだ。
「う、生まれる…っ」
うーん、うーんと家のソファでお腹を押さえ唸っていると、ヴェリウスがものすごく冷たい目で、
「ミヤビ様…それは食べ過ぎです」
呆れたように溜息を吐いたのだ。
「呆れたようにではなく、呆れているのです。
いくらお腹に御子がいらっしゃるといっても、朝食にご飯、お味噌汁、焼き魚、御漬け物に酢の物、さらに目玉焼きを乗せたパンにとクロワッサンにヨーグルト、ついでのようにリンゴを食べて…2時間後に昼食など、お腹が破裂しますよ!!」
「うぅ…うぇっ 胃からせりあがってくる…」
太らない体質に、つわりが全くないという奇跡が加わり、妊娠してから皆が甘やかしてくれるので食べる量が増えた私は、ますます胃が拡張し、大食いのプロのごとく食事量が増えていたのだ。
「動けない…」
「当たり前です!! 全く。皆が甘やかすから」
ブツブツ言いながら少量の神力を流し、我が子の調子を診察してくれるヴェリウスはおかんな医者と言っても過言ではない。
「━━…そういえば、“背信者”や元大司教はどうなったの?」
色々ありすぎて忘れていたが、そろそろ背信者と大司教の処罰が決まったのではないかとヴェリウスに尋ねる。
「…“背信者”に関しては、世界中の教会から探しましたが、意外にも数はそういなかったようです。本当に教会の一部の者しか関わってはいなかったようですね」
神力で診察してくれたヴェリウスは、問題ないようですね。と、前足をお腹から降ろしたが、消化促進は勿論されてないわけで苦しさは変わらない。
「うぅん…それなら教会を消滅させるのは早まったかなぁ」
「いえ、良い見せしめになったと思います。
何より、人間の神王様への信仰心が薄まりつつあったのは確かです。今回の事がきっかけで、人間共の意識を改善出来た事は僥倖でした」
そう言ってヴェリウスは背信者達と大司教の末路を詳しく教えてくれたのだ。
22
お気に入りに追加
2,574
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

3年前にも召喚された聖女ですが、仕事を終えたので早く帰らせてもらえますか?
せいめ
恋愛
女子大生の莉奈は、高校生だった頃に異世界に聖女として召喚されたことがある。
大量に発生した魔物の討伐と、国に強力な結界を張った後、聖女の仕事を無事に終えた莉奈。
親しくなった仲間達に引き留められて、別れは辛かったが、元の世界でやりたい事があるからと日本に戻ってきた。
「だって私は、受験の為に今まで頑張ってきたの。いい大学に入って、そこそこの企業に就職するのが夢だったんだから。治安が良くて、美味しい物が沢山ある日本の方が最高よ。」
その後、無事に大学生になった莉奈はまた召喚されてしまう。
召喚されたのは、高校生の時に召喚された異世界の国と同じであった。しかし、あの時から3年しか経ってないはずなのに、こっちの世界では150年も経っていた。
「聖女も2回目だから、さっさと仕事を終わらせて、早く帰らないとね!」
今回は無事に帰れるのか…?
ご都合主義です。
誤字脱字お許しください。
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる