異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

文字の大きさ
上 下
389 / 587
第五章

明かされた正体

しおりを挟む


リン視点


「ーー…だからね、新入りの神は膨大な力のコントロールが出来るように修行しなきゃいけないの。で、一日に一回は“かくれんぼ”してコントロール力を磨いてるってわけだよ~」

トモコが説明してくれたのは、“かくれんぼ”とかいう遊びが実は新入りの神様の修行だったという事と、俺が職質したガラの悪いエルフの男が新入りの神様だという事実だった。

「だから何が言いたいかって、遊んでるんじゃないんだよって事なの!!」

キリッとした顔で言い切るが、どう見ても子供の遊びにしか思えない。それより、

「ちょっと待て。この男…この方が神様だって事だけど、住んでる家がここだって…」

神々はこの浮島よりさらに上に浮かんでいる神殿に暮らしてるもんだと思っていたが、このガラの悪い神様は浮島の裏路地にあるわりと小さめの家を自分の家だと言っていたのだ。

「ここに住んでちゃ悪ぃかよ」

ギロリと睨まれて気まずくなり目をそらす。

「い、いや、そういう事では…」

ただ神々の住まいは天空にある神殿だと…としどろもどろに話せば、ああ、あの神殿なと空に浮いている神殿を見る。

「あそこは神王様の別荘兼神々の宿泊施設だったり会議する所だったりだから、お家ではないよね~」

と笑いながらとんでもない発言をするトモコにぎょっとする。

「し、神王様の別荘!?」

そんな所をあのバカ夫婦は人間に見学させようとしてんのか!?

「リン君どうしたの? 顔色が悪いよ??」
「と、止めないと…っ」
「何を~?」
「ミヤビの奴、よりにもよって神王様の別荘をっ 明日人間達に見学させようとしてんだよ!!」
「みーちゃんが?」

お前の精霊だろ!? 何とかしろよ!! という目でトモコを見れば、

「みーちゃんが良いって言うなら良いんじゃないの?」

と不思議そうに見つめられた。

「何でだよ!? お前ミヤビが神々の怒りをかって消滅させられてもいいのか!?」

ツアー客も全員殺されるかもしれないんだぞ!! と必死で訴えるが、キョトンとした表情のままなのだ。

「何でが神々の怒りをかって消滅させられんだ? そんな不敬な神なんていねぇだろ。居たらオレがその神消すっての!!」
「ショコラが消します~」

ガラの悪い神とショコラがおかしな事を言い出し、はぁ? とつい口に出してしまったものだから、ガラの悪い神に睨まれた。

「リン君、神王様が自ら見学しても良いって言ってるんだから問題ないよ?」
「見学しても良いって言い出したのはミヤビだろ? ん? 神王様から許可が出てるって事か??」

どうもコイツらと話が通じてない気がしてならない。

「リン君何言ってるの~。みーちゃんが神王様でしょ」

は…?

「常識です~」
「お前神王様のつがい神様の部下だろ。もしかして人間に神殿穢されたくねぇクチ?」

つがい神様の部下!?

「やだぁリン君、人間が穢れって考えてるの? なわけないでしょ~」

人間が穢れ…? いや、俺も人間だけど? 神様の部下じゃねぇけど?

「穢れてる奴はいるけどな。少なくともツアー客の中には居ねぇよ」

そんな事は聞いてない。

「リン君~? あれ、何か固まってない?」
「もしかしてリンさんは主様が神王様だとは知らなかったのではないですか~?」
「まっさかぁ~。だってトリミーさんもルーベンスさんも、ピンクの王様も知ってるよ。みーちゃんの友達の中でもリン君が一番仲良いし、ロードさんの部下なんだから知ってるって! あ、私はみーちゃんの心友だから規格外の仲良しだからね!!」

ルーベンスさん…宰相か? それと陛下も知って…? いや、本当にミヤビが神王様?

「おい、神王様はミヤビとは似ても似つかない、ご老体の男性だっただろう!?」
「あれはみーちゃんの“器”コレクションの一つだよ~」

何だよ器コレクションって!?

「やだ。リン君本当に知らなかったの~?」

知らねぇよ!! ミヤビは人族の神お前の精霊じゃなかったのかよ!? それに師団長が神ってどういう事だとパニックになる頭で叫ぶ。
トモコはあれ~? と首を傾げてショコラとガラの悪い神を見るが、顔をそらされてショックを受けていた。




「ーー…で、ミヤビが神王っていうのは嘘じゃないんだな?」
「嘘じゃないよ~」

混乱してい自分を落ち着かせ、冷静になってトモコに聞けば、そう返事が返ってきたもんだから大きく息を吐いた。

確かに、精霊にしてはちょっとおかしいとは思っていた。常識もないし、神々に対しても精霊とは思えない態度が…なんなら神獣様なんてペット扱いしていた気もする。
ショコラは護衛だと言っていたじゃないか。精霊に護衛なんていねぇよ!! 何で気付かなかったんだよ俺!!

「俺、ミヤビにすげぇ失礼な態度をとってた…っ」
「え~? リン君は私が神だって知っても態度は変わらなかったのにソコで悩んじゃうの~?」
「それはお前が態度を変えんなって言ったからで…ッ」
「みーちゃんだって言ってたでしょ。今更跪いたりしたら、みーちゃんに吃驚されるよ~」

確かにミヤビはああいう奴だから、態度を変えたらおかしくなったと思われそうだけど…。

「リン君はそのままで良いんだよ。トリミーさんもルーベンスさんも態度を変えたり、付き合いを変えたりしてないでしょ。リン君も、“みーちゃんの友達”でいてあげて?」

トモコの真剣な眼差しから、言葉から、神王様ではなくミヤビ個人として見てやって欲しいという事がありあり伝わってきたのだ。

「…俺はただの人間だけど、不敬にはならないだろうか?」
「友達に上も下もないでしょ!! そんな事考えなくていいの! ロードさんなんて、そんな事微塵も頭になくみーちゃんを口説いて口説いて、落としたんだからねッ」

師団長……。

「そういえば、師団長で思い出したが…あの人って人間じゃないのか?」
「ロード様は元々人族でしたが、ミヤビ様と交わる事で鬼神へと進化されました」
「ポケモ○みたいだよね~」

何だポケモ○って。

「て、鬼神!? 鬼神って、あの“鬼神”か!?」
しおりを挟む
感想 1,621

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……! 前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。 正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。 そして、気づけば違う世界に転生! けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ! 私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……? 前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー! ※第15回恋愛大賞にエントリーしてます! 開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです! よろしくお願いします!!

皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~

saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。 前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。 国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。 自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。 幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。 自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。 前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。 ※小説家になろう様でも公開しています

今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました

四折 柊
恋愛
 子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

3年前にも召喚された聖女ですが、仕事を終えたので早く帰らせてもらえますか?

せいめ
恋愛
 女子大生の莉奈は、高校生だった頃に異世界に聖女として召喚されたことがある。  大量に発生した魔物の討伐と、国に強力な結界を張った後、聖女の仕事を無事に終えた莉奈。  親しくなった仲間達に引き留められて、別れは辛かったが、元の世界でやりたい事があるからと日本に戻ってきた。 「だって私は、受験の為に今まで頑張ってきたの。いい大学に入って、そこそこの企業に就職するのが夢だったんだから。治安が良くて、美味しい物が沢山ある日本の方が最高よ。」  その後、無事に大学生になった莉奈はまた召喚されてしまう。  召喚されたのは、高校生の時に召喚された異世界の国と同じであった。しかし、あの時から3年しか経ってないはずなのに、こっちの世界では150年も経っていた。 「聖女も2回目だから、さっさと仕事を終わらせて、早く帰らないとね!」  今回は無事に帰れるのか…?  ご都合主義です。  誤字脱字お許しください。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

処理中です...