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第五章
神王様降臨
しおりを挟む「ーー…わしの創造力と、お前達の力で生まれた人間はいわばお前達の子供もようなものじゃろう。初めてお前達が創った生物じゃしなぁ」
困惑している神々の顔を一人一人見ながらそう伝えれば、ヴェリウスがくぅ~んと高い声で鳴いて足元にすり寄ってきた。
「ヴェリウスや、お前がわしの希望にそうよう、そして人間の為に皆を連れてきた事はわかっておるよ」
『ミヤビ様…』
人間に対してはお前はツンデレじゃしな。と頭を撫でてやれば、耳を下げて気持ち良さそうに目を閉じる。
「本当は、お前達も人間達が気になって仕方ないのじゃろう?」
しかし、人間は神王様を…っと怒りの声を上げる神々に微笑む。
「わしは何万年とこの世界から姿を消しておった。しかも人間達に会った事があるのも数える程じゃ。そんな者を何万年も信仰してきた事の方が驚きだと思うがのぅ」
しかし…っといい募る神々に首を横に振る。
「わしの為に憤ってくれとるのは嬉しいが、お前達が人間を好ましく思っておるのも知っとる。無理して人類を消滅させようなどど思わんで良い」
「そうは仰いますが、人間はあろうことか神王様を廃そうとしました!! アタクシ達はそれを許す事は出来ませんわ!!」
ランタンさんがそう声を上げると、他の神々も次々と声高に訴えてくる。
「教会の象徴をわしから他に変えようとしただけじゃろうて。わしを殺そうとはしておらんぞ?」
何しろ神王はもう居ないと思い込んでいるようだしと付け加えれば、神王様は甘いのだと逆に説教されてしまった。
「しかしのぅ、一部の人間がやらかした責任を他の人間も巻き込んでとらせようというのはちとやり過ぎじゃと思うがのぅ」
「神王様、オレはその一部の人間を止められなかった他の人間にも責任の一端はあると思うぜ…です」
「ジュリアスや、お前は敬語が昔から一歩も成長しとらんのぅ」
ジュリアス君は、自身の精霊を止められなかった事を思い出したのだろう。
「オレ、自分の精霊の行動すら知らなくて、神王様に無礼な事して初めて知ったんだ。自分が罪を犯してなくても、知らなくても、何もしなかったら後悔するって」
それで罰せられなかったら、もやもやは残ったままだと思う。だから消滅とかじゃなくて、きちんと見合った罰を与えないとダメなんだ。と、そう言うのだ。
「ふむ…敬語は全くじゃが、他は成長したのぅ。ジュリアス」
息子の成長を間近で見れたような嬉しさが込み上げてくる。
目を細めてジュリアス君の頭を撫で、そうじゃなと考える。ジュリアス君の言う事はなかなかに説得力があった。
もし今回の事で主犯だけを罰したとしても、見てみぬフリをした者や、放置していたものはジュリアス君の言うもやもやが残ったままになるかもしれない。それではまた同じ事を繰り返すことにもなりかねないのだ。
「ならば当事者であるわしが人間に罰を下そう」
それで怒りを収めてくれないかと神々に問えば、ヴェリウスがお座りしたまま、『神王様の仰るとおりに』と頭を下げたのだ。それを見た他の神々が次々に跪き、同意していく。
宙に浮かんだ神々が跪いた事で、下に集まった人々が徐々に注目しだした。壊れてしまった大司教ですら、こちらを見上げているのだ。
都合が良いと思った私は、跪いている神々の前に一歩出て下を見る。
ざわめきだつが手を払うような仕草をすると、途端に静まり益々注視した。
「(この姿で)人の前に出たのは何万年ぶりかのぅ」
別段声を張ったわけでもないが、水をうったような静けさの前に声は通り、皆が息を飲む。
「初めまして、とでも言えば良いか?」
微笑んで挨拶し皆が呆然としている中、宙に浮いたままでは話し辛いと思い目の前に下へ降りる為の階段を出したのだ。
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