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第五章

神々なめやがって!! 戦争だ!!

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暫くデリキャットさんとギルフォードさんの3人でお茶を飲みつつ会話をしていたが、ふと、アルフォンス君の事を思い出した。
アルフォンス君はエルフの神になってからランタンさんの新神研修を受けていたらしいが、一体どうなったのかが気になる。ヤンキーだったし、更正したのかなぁとか。

エルフなめんなと何度も言われた事も記憶に新しい。

「アルフォンス君は元気にしてますか?」

2人にそう聞けば、ギルフォードさんがそういえば…と話し始めた。

「神様がいらっしゃる少し前でしたでしょうか、アルフォンス様が何やら勇んだ様子で戦争がどうとか言いながら天空神殿行きの電車に乗り込んでいたと報告がありました」

え…戦争とか物騒なんですけど…。

「そういえば、今日は朝から天空神殿行きの電車に神々が乗車されるので近付いてはならないと御触れがございました。ちなみに、アルフォンス様は『神々をなめやがって!! 戦争だ!!』とおっしゃっていたとか」

デリキャットさんの話しにハッとした。

もしかして、神々は神王像が壊されていた事に気付いたのではないか…。

とすると、戦争だと勇みながら天空神殿に行ったアルフォンス君や、他の神々は今まさに人間を滅ぼすか否かの話し合いをしているのではないのか。

「神様? どうかなさいましたか?」

ギルフォードさんとデリキャットさんが心配そうに見てくる中、私はイアンさんを直ぐにでも起こさなければならないと席を立ったのだ。

「ごめんなさい!! ちょっと急用を思い出したから…っ」

中座して急ぎイアンさんの元へ駆ける。


「イアンさん!! 起きて下さい!!」

ベッドで眠っている彼を治癒し叩き起こす。
早くしないと手遅れになるかもしれないのだ。

「ん……」

布団をひっぺがして強引に起こせば、やっと目を覚ましたイアンさんは暫くキョロキョロし、漸く私と目が合ったのだ。

「貴女様は……ッッ し、神王様の御前で私は意識を失ってしまったのか!? 何という非礼…!! お許し下さいっ」

また土下座されたが、今はそんな事をしている場合ではないのだ。

「イアンさんっそんな事よりも、一部の教会関係者の行いに神々が立腹しているかもしれません!!」
「何と!?」
「今から私とイアンさんとで全力を持って阻止しなければ、神々は人間に宣戦布告してしまう恐れがあります」

むしろ宣戦布告もなく人類を滅亡させてしまうかもしれない。

「ちょ、お、お待ち下さい!! 私が、畏れ多くも神々を止めるのですか!?」

イアンさんは話を聞きフリーズしてしまう。しかし時間がないのでそのまま天空神殿に転移したのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ヴェリウス視点



「皆よく集まってくれたわね」

神々が暴走せぬよう、“教会の件”で天空神殿に集まるよう予め伝えておいた事が功を奏したのか、フライングする者は一人もおらず安堵した。

今は張り詰めた空気がこの空間を覆っているが、皆気持ちは一つなのだろう。

「本日は教会への制裁と人間達への対応をアタクシ達で話し合う必要があると思い、創世の第一神として集合をかけさせてもらったわ」

ここは天空神殿の会議室。前方の中心に舞台があり、そこから放射状に段々に机が並べられている。
ミヤビ様が住まわれていた異世界で言う大学という場所の講義室に似た作りの室内で、ランタンが前方の舞台で集まった神々に語り掛けているのだ。

「ランタン様!! そのような前置きはいりませんっ」
「そうです!! 神王様を蔑ろにするような人間など滅するべきですぞっ」

このような意見は当然だろう。
穏和な私ですら、今回の件は見逃すわけにはいかぬのだから。

“神王排斥”を唱え始めた教会は、もはや教会ではない。
ただの愚者の集まりだ。

ミヤビ様はきっと、このような愚者共でさえお許しになるのだろうが、神々われらは決して許さない。
親を排斥すると言われ怒らぬ者などいないだろう。

世界中の教会という教会を全て破壊しつくしてくれるわ。

そんな事を思いながら、壇上に立つランタンを眺めていたのだ。




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