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第五章
バレてる!?
しおりを挟む企画書の書き方が分からないんですけどーー!?
飯テロ宣言をしてから数日、ロードに具体的な内容を文書にして提出してから飯テロを始めろと言われたものの、人生で一度も企画書を書いた事のない私には書き方がわからない!!
企画書提出なんてする仕事に就いた事などないのだ。
飯テロ、やる前から躓いてるよ!!
等と嘆いている最中であった。
王都の店舗のインターフォンが鳴らされているのに気が付いたのは。
インターフォンを鳴らしているという事はトリミーさんだろう。
もし留守の間に何かあればインターフォンを鳴らすよう教えていたのだ。
直ぐに支度して店舗へ転移すれば、やはりトリミーさんが店の前に立っていた。
「トリミーさん、何かありましたか?」
「ミヤビちゃん…」
扉を開けて声を掛けると、トリミーさんは相談があるからちょっとウチに来て欲しいんだけど…と真剣な表情で言うので頷いてトリミーさんのお宅へお邪魔したのだ。
「…それで、何があったんですか?」
いつものようにトリミーさんの店舗内のカフェのようになっているカウンターの一角に腰を下ろして聞けば、それがね…と困ったような顔で話し始めた。
トリミーさんの話はこうだ。
つい先程ここの通りで座り込んでいる人が居たらしく声を掛けたのだそうだ。どこか具合でも悪いのではないかと思ったらしい。
相手は40代位の男性で、着ていた服から教会関係者ではないかと推測出来たのだとか。で、案の定足に怪我をしていたので手当てする為に家に入れたと。
ここまで聞いた時はトリミーさんの旦那さんが激怒しそうだと思ったが、どうやら今は留守らしい。
それはそれで危険な気がするのだが。
しかもその男性は、追われている身らしい。
トリミーさんがヤバイ事件に巻き込まれている匂いがプンプンする。
「それでね…ミヤビちゃんの旦那さんは師団長様だから、あの人に会ってもらえないかと思ってねぇ」
確かに、こういったヤバそうな案件は騎士団に渡すのが一番である。深く関わってはいけない。
「そうですね。ですが今ロードは忙しいみたいで…私も王宮に近付くなって言われてるんですよね…」
だから騎士団に引き渡しちゃいましょうよと提案するが、トリミーさんは首を横に振るのだ。
「どうやらあの人、教会の不正っていうのかい? そういう証拠を握ってるみたいでね、教会関係者に追われてるようなんだよ」
事件が大きくなったぁぁ!? ちょっと、教会の不正ってヤバイじゃ済まないんですけど!?
「もし下っ端の騎士が教会の回し者だったり、お金を握らされたりしていたらと思うと…ね」
「確かに…よくドラマでも協力者がいて口封じされたりしてますもんね!!」
「ど、どら…??」
しかしこういう事が実際に起きるなんて…っ
いや、もしかしたら追われているその男が実は首謀者だったり、というどんでん返しもあるかも…?
「トリミーさんっその男性に合わせてくれませんか?」
◇◇◇
トリミーさんは直ぐに了承してくれ、その男性が居る部屋へと案内してくれた。
部屋の扉をノックし、まずはトリミーさんが中に入る。
私の事を話しているのかボソボソと声が聞こえるが、その声は小さく聞こえにくい。
暫くしてトリミーさんから「ミヤビちゃん、入ってきておくれ」と声が掛かった。
緊張しながら入れば、ベッドから体を起こしている男性と、少し離れた場所にいるトリミーさんが目に映ったのだ。
「…初めまして」
ペコリと頭を下げると、ベッドに座る男性が息を飲んだ。そして…
「っ…あ、貴女様は…っ」
と慌てふたむきベッドから転がるように落ちて、そのまま土下座したのだ。
「え?」
男性を見て、トリミーさんを見る。
トリミーさんも戸惑ったように男性を見ていた。
「まさか…っまさか、尊い御方に会えるなんて…っ」
涙声でそんな事を言われるが、額が床についていてかつてない程の低姿勢であった。
「ちょ、顔を上げてくださ「ご無礼とは存じますが、発言をお許し下さい!!」」
土下座のまま喋りはじめた男性にちょっと怖いなと後ろに下がる。
「ど、どうぞ…」
「ありがとうございます!! 神王様!!」
な、な、何で正体バレてんのォォォ!!!?
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