異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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第五章

神王の是と非

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???視点



「ーー…神王は我らを見限ったのだ! そんなものをいつまでも崇めて良いはずがない!!」
「教会の象徴を変えるべきではないのか!!」

この者達は何を言っているのだろうか。
この世界は神王様が創造された世界。
勿論我々人間も、神々すらも神王様が創られたのだ。

にも関わらず、“見限ったから崇める必要はない”だと?
例え神王様に見限られ世界が滅ぼうとも、それは運命として受け入れるべきなのだ。
そもそも、神王様が世界を見限ったとすれば、再び魔素が満ちるはずはない。こうして我らが生きている事もないというのに…何故それがこの愚か者共には分からないのか。

私にはこの者達が何か得体の知れぬ化け物に見える。
こういった者が一部とはいえ教会に居るのは事実。そして理解は出来ないが支持者を増やしている事もまた事実なのだ。

私は足早にから立ち去りながらある噂を思い出していた。

“聖女”の存在だ。

私の一番の懸念はその存在にある。
我らが“聖女”、“聖人”と呼ぶ者は“聖魔法”の適性があるだけの人間ではない。
本来の“聖女”、“聖人”は世界と神と人を繋ぐ能力のある者を言う。
“神の声”、“世界の声”を聞き、正しくそれを人々に伝える事こそが本来の役割だ。“聖魔法”など付属物にすぎぬもの。
それすらも分からぬ者共が昨今の教会には増えすぎた。

そのような者達が連れてきた“聖女”という少女は危険な存在だ。



「…、私は人族の聖職者…“聖人”の一人としてこの腐敗した教会を見過ごすわけには参りません。その“御声”が聞こえなくなり久しいですが、我ら“聖職者”は常に主と共に…」

私は自身の作った木彫りのアーディン様像と神王様の像の前で再び誓ったのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



雅視点



「へっぷち!」

鼻水がちゅるんと出て唾が飛び散る。

「ちょっとみーちゃん、ハンカチで口元押さえてくしゃみしてよ~」
「ゴメン、くしゃみが突然出た」

ティッシュで出てきた鼻水をとりながら噂されてるのかなぁと笑えば、神王様だしね~と返された言葉に首を捻る。

「神王って噂されるような存在なの?」
「世界で一番有名でしょ」

それにしても神様を噂する人っているの? と疑問に思いながらも下らない内容だったので深堀りする事を止めたのだ。

最近はルーベンスさんもロードも忙しいらしく、お店もお休みにしている為にトモコと二人家でゴロゴロしているのだ。
ヴェリウスが居ればブラッシングをしてあげるのだが、あいにく今日は留守である。

「ヴェリウスもショコラもいないし…どこ行ってるんだろ?」
「マカロンならその辺に居るけどね~」

マカロンは留守番だと知ったが、特にマカロンと遊ぶ内容も思い付かなかったのでスルーした。

「何だかんだ最近忙しくしてたから、こう何もする事が無いと暇に感じるよね」
「2年も森に閉じこもってたみーちゃんが暇だと!? よしっ冒険だ!!」

何でだよ。
ラグマットの上で寝転びマンガを読んでいたトモコは立ち上がり、さあ行こう!! 等と言い出したので呆れる。
本当に冒険に行く気かと聞けば勿論だよと意気揚々と準備し始めるものだからこちらも慌てて立ち上がった。

「ちょ、どこに行くの!?」
「そりゃ行く所は一つしかないでしょ」

それから彼女はニヤリと笑い胸を張って言ったのだ。

だよ!!」
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