異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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第四章

リンの選択 ~ ロード視点 ~

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ロード視点



「冗談じゃない。オレは一般人として育ってきたんだ。それに、今はルマンド王国を守る騎士としてここに居る。幼い時から憧れていた第3師団の騎士として」

オレは、フォルプローム国ではなく、このルマンド王国で生きていくって決めたんです!! 騎士として、国民を、この国を守るんだ!! 

はっきりそう言い放ったリンは、成る程。ミヤビが認めるだけはある男だった。
コイツは良い騎士になるだろう。

フォルプローム国に在れば確かに新たな王として優れた為政者になれたのかもしれないがな。良い拾い物をしたぜ。

「そうか。なら何の問題もねぇな」
「師団長…?」
「お前はウチの師団の騎士だ。フォルプローム国の王子でも次期王でもねぇ」

そう言えば、リンは嬉しそうにはい! と返事をしたのだ。

「今回の件は神々が直接動くらしいからな。オメェは事が終わるまで城でゆっくりしていろ。そう時間はかからねぇだろう」
「「はぁ!?」」

リンに言ったつもりが、本人以外からも声が上がったが気にしねぇ。俺ぁすぐにでもミヤビの所に戻りてぇからな。
ソファから立ち上がれば、待ちなさい! と焦ったようにレンメイが叫ぶ。

「“神々が動く”とはどういう意味なのですか!?」
「どういう意味も何もそのままの意味だろうが。今回の件に関しては人間は邪魔をしちゃなんねぇぞ。しゃしゃり出ると巻き添えくらっちまうぜ」 

そうレンメイを脅せば顔色を悪くし、わかりました。部下にもそう伝えておきましょう。と諦めたように言い、神々が…と呆然と呟いている。
リンはミヤビの事で慣れているのか、そう取り乱すような事はなかったが多少の驚きはあったようだ。

「んじゃ、俺ぁつがいのそばに戻るからな。何かあったら宰相に言ってくれや」

何で宰相!? と声が聞こえた気がしたが、部屋を出た後だったので定かじゃねぇ。

足早にミヤビの居る宰相の執務室へと向かう。
同じ王宮内の割に距離がある事に腹が立つが、気は急いてしまう。
早くしねぇとミヤビは勝手に行動しかねないからだ。例えヴェリウスが居ても、ヴェリウスごとフォルプローム国に転移する事も考えられる。
まだ宰相の部屋に居る事が確認出来ている内に捕まえておきたい。

「おや、ロヴィ…」

「これは第さ…」

「精霊様はお元気で…」

途中声をかけてこようとした貴族達を無視して足を動かしやっとの事でミヤビの元に辿り着いたのだ。

「ミヤビ!!」

ノックもせず扉を開ければ、びっくりしたぁー! と可愛らしい反応を見せてくれるミヤビを抱き寄せる。
え? ロード仕事じゃなかったの? 何で戻って来てるの? と俺の腕の中でコテンと首を傾げる姿がたまらなく可愛い。

「リンの様子を見てきたぜ」

言えば、本当に? どうだったと食い気味に聞いてくるので腹立たしいが、友人らしいので気になっていたのだろう。城の客室でレンメイと二人お茶を飲んでいた事を伝えれば随分と安心していた。

「それより、ショコラ達の帰還命令を出したって念話が来たが…」

ヴェリウスからの念話で大体は把握していたが、どうやら神罰がすでに決行されていたらしい。

どうして俺を待てないんだと声に出しそうになったがぐっと堪える。
ヴェリウスが止めなかったのだ。きっと相応の罰を与えたのだろう。

「ミヤビ、リンを新王にと考えている奴らには手を出すなよ。そいつらに関しちゃ人間の領分だ」
「あ、うん。リンに危険がないなら」

くっそ…リンめ。何でこんなにミヤビに想われてんだよ。そりゃ恋愛感情でないのは分かるが、正直妬けちまう。

今夜は絶対ぇミヤビに好きだって口に出してもらおう。じゃねぇとリンを殺したくなる。

「ロード?」
「ん? ああ、リンには珍獣の誰かがつくから大丈夫だろ。それより、宰相どこ行った」
「ルーベンスさんは教会について調査する為に出て行ったきりだよ」

教会ねぇ…。
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