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第四章

魔法の授業2

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「理論的には可能ですが…」
「という事は俺にも攻撃魔法が使えるのか…っ」

アフィラートさん輝いてるなぁ。
男の人って攻撃魔法使える=格好良いって思ってる節があるよね。

「そうですね。空間魔法より攻撃魔法の方が易しいかもしれませんね。想像しやすいですし」
「想像?」
「はい。魔法は想像力が一番大切なのです。例えば生活魔法で炎を出す時、炎の色や形を思い浮かべませんか?」
「確かに…」

思い当たるのか、そういえば…と頷く彼に話を続ける。

「それが想像力です。色や形、温度や質感、そういったものを細かく思い浮かべれば思い浮かべる程その効力は高まります。先程言った魔力の無駄遣いは、そのイメージがうまくいってないから起こる事ですね。
上手くイメージ出来ない時は、魔力がそれを補足しようと多く流出するのです」
「だから状態保存魔法で魔力を多く消費していたのか…」

状態保存なんて確かにイメージしにくいだろうしね。逆に魔術書だけで使えるようになったこの人が凄いよ。

「アフィラートさんは魔力の流れを操る事も出来ているし、魔力量もまぁまぁあるので後はイメージさえつかめれば大概の魔法は使えるようになりますよ」
「生活魔法と状態保存魔法だけだった俺が大概の魔法を…」

半信半疑のアフィラートさんに早速ペンと紙を用意する。

「では簡単に想像できる火の魔法からですね」
「…いや、高級そうな紙とその小っせぇ棒で何する気だ」

私の空間魔法にはもはや何のツッコミも無くなった。気にするのはそっちか。

「今からアフィラートさんには拳大の炎を出してもらいます。その為にこの紙とペンで、炎のイメージを出来るだけ細かく書き出してもらおうと思っています」
「その棒はペンだったのか!? しかもそんな高級そうな紙に書く…勿体無ぇ…」

普通の紙とこちらに合わせた万年筆を出したというのにこんなに驚かれる意味が分からない。(←※この世界ではペンとは羽根ペンで紙は羊皮紙が使用されている)

「さ、色や形、大きさや温度、等々を書き出してみて下さい」
「あ、ああ…」

おずおずと紙とペンを受け取った彼は、まず紙の質感にビクリとし、次にペンを色々な角度で見ていた。
なかなか書き出さないので声を掛けると「インクが無いんだが…」と言われ、ペンの説明をするはめになった。

万年筆は貴族しか使わないのだろうか?

驚きながらも私の言うとおりに書き始めたので、手が空いた私は下に居るおっさん達の様子を伺う事にしたのだ。

ティラー姉さんはパーティーの後方を歩き、おっさん達も周りを警戒しながら進んでいる。とはいえ、今の所は特に何も出て来ていないのでただ歩いているだけである。

「なぁ嬢ちゃん、俺らも魔法って使えたりするのか?」

ヒューズさんと目が合い、そんな質問をされる。
私とアフィラートさんの話が聞こえていたらしい。

「そうですね~…ヒューズさんなら、攻撃魔法が3回位使用出来る程度の魔力はありますよ」
「ほ、本当か!?」

ここにも少年の心を持ったおっさんが居た。
アフィラートさんと同じように目を輝かせてこちらを見上げてくる。

「ヒューズさんは魔法を使った経験はありますか? 生活魔法とか」
「あ~…無い…」
「それだと、魔法を使いたいならまずは自分の中にある魔力を自由に操れるようにならないと魔力があっても魔法は使えませんよ」

そういえば見る間に肩を落として「そうかぁ…」と小さな相槌を返した。

「この世界に生きている人は、多かれ少なかれ魔力を持って生まれます。なので、魔力が使えるか使えないかは、自分の中の魔力を操れるようになるかいなかで決まるんです」
「て事ぁ、魔法の才がないと言われる獣人でも魔法が使えるのか?」

今度はリーダーのオーズさんが問い掛けてきた。何だかんだ皆興味があるようだ。

「そうですね。それが出来れば、魔力が一番少ない人でも生活魔法が2回位は使えるようになると思います。とはいえ、アフィラートさんにも言いましたが、魔法で一番大事なのはイメージです。イメージが上手くいかないと魔力を多く使用してしまう為、結果失敗して魔力が尽き、ただ疲れるだけという状態に陥ります」

説明すれば「成る程…」と唸るので、「魔法が使いたいとおもうなら、まずは瞑想をおすすめしますよ」と返しておいた。「瞑想とは何だ?」と質問が返ってきたので、心を落ち着けて頭を空にしてから自分の魔力を感じるのだ。と言ってみたが、良く考えたら、頭を空にしてどうやって魔力を感じるんだと思い直し、「やっぱりその辺はアフィラートさんに聞いて下さい」と投げやりな返事をしてしまった。

「嬢ちゃんはその“メイソー”とかいうもんで魔法が使えるようになったのか?」
「え? 私はアレです。知らず知らずのウチに…いわゆる天才、なんでしょうかね」

真面目な顔でヒューズさんに答えれば、可哀想な子を見るような目で見られた。


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