異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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第四章

迷探偵ミヤビ

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「どうしよう…」
「俺に黙って変な契約してるからだろうが」

ソファの背もたれの上に丸太のような腕を片方伸ばし、もう片方を私の肩に回しているロードは呆れたような顔で意地悪な事を言ってくる。
しかし自分の行いのせいなので言い返せない。
一生懸命何か解決策がないかと頭を回転させた。


「あっランク!! 確かギルドにはランクがあったよねっ」


確か、
Gランク…赤色のドッグタグ(←私は今ココ)
Fランク…黄色のドッグタグ
Eランク…緑色のドッグタグ
Dランク…青色のドッグタグ
Cランク…紫色のドッグタグ
Bランク…白色のドッグタグ
Aランク…ブロンズのドッグタグ
Sランク…シルバーのドッグタグ
SSランク…ゴールドのドッグタグ

と、こんな感じだった気がする。

「…まぁ、あるな」
「じゃあ、森で狩りをするのはAランク以上の冒険者限定にするとか!?」
「そうすると、ヤコウ鳥の値段は跳ね上がんだろうなぁ。買い取り価格は500万ジットはくだらねぇし、そんな事になりゃ庶民にはまず手が出せねぇ」

200キロのマグロが大体200万円くらいすると聞く。つまりマグロよりも高価という事か!!
それは庶民には手が出ない。

頭を抱えう~ん…と唸っていれば、ロードが言った。

「オメェが今後、俺への相談なしに勝手な行動を取る事を止めるなら解決策を教えてやるが?」
「!? 解決策があるの?」

顔を上げると、ロードはニヤリと笑って見下ろしてきたのだ。

「……何か嫌な感じだからロードに教えは乞いません!!」
「ミヤビ!?」

ロードから顔を背けると、ロードが言った“解決策がある”という言葉と“ロードが死にそうになった状況”に引っ掛りを覚えたので焦らず考え直してみる事にした。

確かロードと出会った時、背中を珍獣化する前の魔獣の爪で攻撃された事が瀕死の原因だったはずだ。
ん? ロードは珍獣達に攻撃され死にそうになった…つまりヤコウ鳥に攻撃されたわけではない。
なら珍獣達に冒険者は襲わないよう伝えれば問題ないのでは?

いや、ヤコウ鳥は昔に比べて2倍近く大きくなっていると言っていた…という事は、単純に考えれば一人で狩れていたものを二人で狩らなければならなくなる?
確か“ヴェア”が二人で倒して30万前後、の収入だから、ヤコウ鳥なら生息地が限られているという珍しさと森の難易度から、二人で倒してもその倍…60万程度だと推測される。まぁ国が買い取るならもう少し買い叩くかもしれないが。それならば庶民にも手が届くのではないか。

そんな考えに至り、立ち上がった。
ロードは突然の行動に多少驚いているようだ。

「ロード、解決策が見つかった!!」
「あ゛?」
「珍獣達にさえ冒険者を襲わないように伝えておけば、後は契約書通りでも大丈夫だという考えに至りました!!」

私の言葉に驚いたのか、「何でだよ!?」と叫んだロードは同じく立ち上がって私の腰を引き寄せ見つめてきたのだ。

「だってロードは“珍獣達に殺されそうになってた”でしょう。という事は、深淵の森のは脅威ではないという事だよね。だって神域になる前は狩りに入ってた森なんだから」

どこぞの探偵ばりに推理した事を口に出していれば「単純に考えすぎだろ」と溜め息を吐かれた。

「動物達が私の力の影響を受けて大きくなった事を考慮しても、2、3人で協力すれば狩る事は出来ると思う。だからこの契約は間違っていない!!」

ビシッと人差し指をたててロードにつきつければ、眉間のシワが深くなった。

「ヤコウ鳥がただデカくなっただけだと思ったら大間違いだぜ」
「へ?」

つきつけた人差し指をゆっくり下ろす。

「大きくなってるだけじゃないの?」
「オメェの力の影響を受けてるって言ってんだろ…って何で俺ぁヒント出してんだっ」

今度はロードが頭を抱えてしまった。
ヒントはありがたく受け取ろう。

「う~ん…て事は多少前よりも危険度が増すのか……ならやっぱりランクで区切るのはありかな?」
「……」

黙り込んだロードにニヤリと笑えば、う゛と唸り目をそらしたのだ。

「ありなんだ~。私の考え方は間違ってないって事だよね!! ならその辺をルーベンスさんと相談すれば大丈夫そうだねっ」
「何でルーテル卿なんだよ! そこは俺だろうがっ」
「だってロードに相談したら交換条件付けてくるでしょ」

ジト目で 見やれば、「もうそんな条件付けねぇから!!」と言われ勝ったと思った。

しかし私は忘れていたのだ。
自分のランクが“Gランク”だということを。
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