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第四章

結局こうなる!?

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契約が成立して上機嫌に部屋を出ていったルーベンスさんを見送りはたと気づく。

私、まだ釈放されてなくね?

呆然と扉を見ていると、ノックの音がしてギィと錆び付いたような軋み音をたてながら開く。
そちらへ注意を向けながらも頭の中は大混乱中である。

ルーベンスさん!! 何も解決してないから!! このままじゃ犯罪者として投獄されるから!!

「お嬢さん、お父上とは話が済んだようだけど…君のお父上は何故か足早にどこかへ行ってしまったんだ…どういう話をしたのか、詳しく教えてもらえないかな?」

先程取り調べをしていたお兄さんが入ってきて困ったように眉を下げる。

ルーベンスさん、せめてどこに行くかは言っておいて下さい。

「こんな事言うのもあれなんだけどね、君は大きな罪を犯してしまっていて、ご家族の立場も危ういんだ。この国の宰相閣下といえど今回の事で責任をとって宰相を辞めなければならなくなるかもしれない」

優しい口調で言っている事は恐ろしいお兄さんに顔が引きつり、あばばばばと変な震えがきた。

「そ、それってつがいも役職に就いていたら辞めないといけない…とか?」

このまま黙っていたら、ロードも師団長を辞めないといけないのか…? と思い至りお兄さんに聞いてみたら「お嬢さんのやってしまった事はそれ程重大な事なんだよ」と肯定された。

「……」

いやいや、ルーベンスさんと契約したしそんな事にはならないだろう。きっとルーベンスさんが上手くやってくれるはず…多分。現在進行形で放っておかれてる状態だけど。

そんな事を思い沈黙していたら、シーンとした空間の中にバタバタと慌ただしい足音が耳に届いた。

もしかしたらルーベンスさんが手を回してくれたのかもしれないと期待して顔を上げると、ガンガンと粗いノックで扉が揺れた。

「そんなに慌ててどうしたんだ?」

ノックと同時に入ってきた騎士にお兄さんは落ち着いて対応する。反対に慌てている様子の騎士は、全力で走って来たのか肩で息をしながら言ったのだ。

「こちらにっ師団長がいらっしゃる!! 直接、取り調べをされると…っ」
「師団長が? お嬢さんラッキーだよ!! 師団長のつがいは精霊様だから減刑を交渉してくれるかもしれない!!」

お兄さんが大慌ての騎士の話を聞き、嬉しそうにこちらを見て言った。



「…お嬢さん? 何しているのかな?」

二人が話している内にそーっと扉から出ようとしていた私は、恐怖を感じるような笑顔のお兄さんに肩を掴まれ、先程座っていた席へ戻されたのだ。


「何で逃げようとしたのかな?」

やはり笑顔で問いかけてくるお兄さんの後退した頭を死んだ目で見つめていると、さすがの温厚なお兄さんも顔が引きつってきたのだ。

「お嬢さん…君の視線の先がとっても気になるんだけど」
「そうですか?」
「頭を見てるよね?」
「いえ、毛根が死滅してしまったんだなぁ。などとは思ってませんから」
「完全に思ってるよね。人の傷口に塩を塗りこむ勢いで抉ってきてるよね」

と、現実逃避にくだらないやり取りをしていれば部屋の外が騒がしくなり始め、奴が遂にやって来たのだと知れた。


ギィィ~…
やけに響く扉を開く音に俯いて冷や汗を流す。

「師団長!!」

向かいに座っていたお兄さんが立ち上がり扉の方へ移動した気配がする。

「ご苦労だった。お前達は部屋から出ていてくれ」

低く太い声が私の耳に届く。
予想通りの男の登場に益々冷や汗が流れる。

「「ハッ」」

この部屋に居たお兄さんと慌てん坊の騎士が最敬礼をして部屋を出ていく。
ギィィ…バタンッと音をたてて扉が閉まった所で、部屋の中に残った男が口を開いた。

「さて…」

溜め息と一緒に吐かれた呟きに身体がビクリと震える。

「どういう事か説明してもらおうか」

向かいに座った男の椅子がギシリと軋む。
取調室の椅子が随分小さく見えるのは、男の身体が大きすぎるからだろう。

「ミヤビ」

私の名前を呼んだその人は…そう、ロードである。



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新年、明けましておめでとうございます。
今年もズボライフ共々宜しくお願い致します!!

最後までお付き合いいただければ幸いです。
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