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第三章
エルフとの遭遇?
しおりを挟む張られていたラップ…結界は指で破るとフワリと消え、残るは南京錠をかけられた扉のみとなった。
両開きとなっている扉の、2つある取っ手は鉄で出来ており、錆びつき古びた様子を見せる。それをガッチガチに鎖で巻いて固め、さらにばかデカイ南京錠を一つ鎖が外れないようにかけてあるのだ。
それらもまた錆び付いていて、取るのに苦労しそうな感じではあるのだが。
「鍵を開けるね」
後ろをうかがうと、2人と1匹がじっとこちらを見ていて何故だか緊張してしまう。
鍵よ開けと心の中で願えば、南京錠が勢いよく外れてガチャンと音をたて床に転がった。ジャラジャラと巻かれていたくさりも南京錠の上へと滑るように落ちていく。
「外側に鍵がかけられているのに、何で内側から結界を張ってたんだろう?」
「確かに、何だかちぐはぐだよね~」
疑問を口にすると、トモコもそう思っていたのか肯定した。
『別々の人物が行ったとしか思えません』
「結界は中にいる何かが。外側の鍵はこの城に住む誰かがやった事は確かだなぁ」
ヴェリウスもロードもそう言って、難しい表情で扉を見ている。
何というか、鍵の掛け方がまるで何かを封印しているような…そんな印象を受けたのだ。
「さ、入ろうっか~」
トモコだけが緊張感のない調子で取っ手に手を伸ばしたが、それをロードに止められた。
「先に様子を見てくる。オメェらは危ねぇから下がってろ」
さすが腐っても騎士である。
ロードは扉の取っ手に手を掛けると、中の気配を探るように扉に近づきゆっくりと開けた。
中はやはり石造りのようで、床も壁も石で出来ている。冬は寒そうだと思いながらロードの後ろから奥を覗く。明かり取りの窓があるのだろうか、思ったよりも明るく(とはいえ薄暗くはあるが)、部屋の内部がどうなっているかもしっかりと見える。
しかし、入ってすぐはキッチンのようになっているようで奥までは見えない構造のようだ。1Rかと思っていたら、1K以上の物件らしい。案外広そうだ。
右手側の奥から明かりが漏れているので、そちらに部屋があるのだろう。
警戒しながら進むロードの姿はさながら、TVでよく観る特殊部隊のようだと頭をよぎった。
「結界も破っちゃったし、鍵を開けた時結構音が響いたから、中にいる何かも私達が来た事に気付いてるだろうにね~」
トモコはそう呟いてキョロキョロと周りを見ている。しかし立ち位置は、私を守るように前を歩いているようだ。
誰も出て来ない事に、より警戒を深めたのだろうと察する。
2人と1匹にはすでに守りの結界を張っているので何事も無いとは思うが、どうしてか心配になってしまうものなのだ。
ゆっくりと奥に進み、こちらの姿が見えないにもかかわらず壁に身を隠しながら中を覗く様は何と滑稽だろうか。
「……お姿は見えませんが、この荘厳とした空気……まさか、このような所に神がお出でになったと……?」
右側奥の部屋を覗けば、返ってきたのは男女ともつかない声であった。
びくっとして足を止めれば、ロードとヴェリウスが壁になるように私の前に立つ。
ゥ゛ウ゛…と鼻の頭にシワを寄せ、警戒しだすヴェリウスとピリッとした空気を醸し出すロードに変な汗が浮かんだ。
「…このような無作法でお許し下さい」
ジャラリ…と鎖が擦れる音が耳に届く。
ロードが大きすぎて何が起きているのかまったく見えないが、耳に届く音だけで想像するに、男女ともつかない中性的な美人さんが、鎖に捕まっているような状況にあるのかもしれない。あくまで想像だが。
『…ミヤビ様、エルフです』
ヴェリウスのその言葉に、目を見開いた。
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