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第三章

扉の中には何がある?

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「あ゛ーー…ヤバイ。目が回る…酔った…」

うぇ゛ーっと地面に手足をついて唸っていると、

「みーちゃん三半規管弱いもんね~」

と先程階段を踏み外して落ちてきたトモコが、そんな事は無かったかのように声を掛けてきた。

「いや……ほぼトモコのせいだから。人が目を回している所に落ちてきて、ロードが支えて上下に揺さぶられたからこんな事になってるんだからね」

ぅう゛…気持ち悪い…。

「いやぁ~ロードさんのおかげで助かったわ~」
「危ねぇから階段の上でふざけるんじゃねぇぞ」 

私の背を擦りながら、ロードが父親のような事を言っている。トモコは軽い調子で「は~い」と答えながらヘラヘラと笑っていた。

体調よ良くなれと全力で祈り復活する。この能力に感謝しかない。

「あ、全身の筋肉痛が楽になった」

初めからこうすれば良かったと後悔したが、何故かロードは顔をしかめていた。

「何デスカ? その顔は」
「その筋肉痛は俺と愛し合った証でもあったのによぉ…」

不満気にぶつくさ言い出した、ゴリラに言いたい。
愛し合った証の筋肉痛って何だ。

「治ったものは仕方ないデショ」

引きつりそうになる顔を何とか誤魔化しながら答えると、「なら今夜は消えない証を残さねぇとな」等と返ってきたので血の気が引いた。今夜こそ息の根を止められる、と。


「も~2人共ちょっと油断するとすぐイチャイチャし始めるんだから~」

腕を前で組み頬を膨らますトモコが絡んでくる。
どこからどう見たらイチャイチャしているように見えるのかは知らないが、今は殺人予告をされたとしか思えないロードの発言に、こっちは怯えている所なのだ。

「階段も登りきったんだし、次に進むからね」

その言葉にハッとして周りを見た。
階段を上がってすぐ扉があるわけではないようだ。
登りきっ てから真っ直ぐ廊下が一本道で通っている。薄暗いので見えにくいが、廊下の奥には扉が見えた。

「奥な部屋があるようだから行ってみよう」
『また勝手に扉を開けぬようにな』

ヴェリウスからの注意に、「任せてよ~」等と言っているがとても信用出来るものではない。

「さぁて、鬼が出るか蛇が出るか」

ニヤリと笑うトモコはそう言って歩き出したのだ。
筋肉痛ではなくなったので、トモコの後をついていく。
ロードは抱き上げようとしたが断り、薄暗い廊下を進んでいった。

5メートル程で行き止まりになり、目の前には木で出来た扉が存在をアピールしている。

「古そうな扉だね~。一体何があるんだろ?」

木の扉に触れ、感触を確かめているトモコにまた開けやしないかとハラハラしていると、ヴェリウスが耳をピクピク動かして鼻の頭にシワを寄せた。

「ヴェリウス?」
『…中から鎖の擦れる音が微かに聞こえてきます』

鎖…あまり良いイメージが無いな。

「…開けてみる?」

トモコの問いかけに、ヴェリウスとロードを見る。


「鍵がかかってるみてぇだな」

どうやら鍵がかかっているらしく、開かないようだ。
一体この中になにがあるのか……ますます気になってきた。


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