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第三章
ロードのステータス
しおりを挟む「リン、つったか?」
「は、はい!!」
憧れの師団長様に声をかけられ、更に名前を呼ばれたリンは顔を真っ赤にして、キラキラした瞳でロードを見ている。
「手続きが終わったら、聞いておきてぇ話があるから執務室まで来てくれるか」
「話…ですか?」
少し不安そうな表情をするが、入り口の私達に気付き納得したのか「分かりました」と返事をしていた。
「悪ぃが後でコイツを俺の執務室に案内してやってくれ」
とレッサーパンダのスイ君に声をかけると、他の2人にもそれぞれに声をかけてたから入り口へと帰って来たロードは、理想の上司そのものであった。
「ミヤビぃ、アイツの手続きが終わるまで暇だからお茶にでもしようぜぇ」
ちゃんと仕事しろ。
「さっきまで仕事の出来る上司っぽい感じだったのに、みーちゃんの前ではただのエロいダメなおっさんだね~」
「ミヤビの前では俺ぁ1人の男なんだよ。エロい事考えんのも当然だろ」
トモコにダメなおっさん呼ばわりされた事に否定せず、エロい事も認めた目の前のゴリラは、私を当然のように抱き上げて自身の執務室へと移動したのだ。
その際にぎょっとした顔でこちらを見ていた3人の騎士と、驚愕な表情で顎が外れそうになっていたリンが視界の端にうつったが見なかった事にした。
◇◇◇
「それで、ミヤビが見たっつってたあのガキの“ステータス”ってのは結局どんな内容だったんだ?」
執務室に戻ると、ロードがさっそく切り出してきた例の王子様騒動であるが、ヴェリーちゃんが違う方に食いついた。
『その“ステータス”というのは一体何でしょうか?』
「あ~…トモコに教わった魔法でね、ステータスオープンって念じるとターゲットの情報が数値化されて見えるっていうものなんだけど…それをリンで試したら……」
『成る程、リンの情報に見逃せない事柄があったのですね』
「その通りデス」
ヴェリーちゃんは理解が早いので助かります。
『それで、リンの情報とは?』
「「……」」
私とトモコは顔を見合わせて目配せし合う。
どうする? 言っちゃう? 言わなきゃダメでしょ。というような感じにだ。
「…実は、リンはーー…」
「はぁ!? フォルプローム国の第3王子だぁ!?」
ロードが案の定、開いた口が塞がらないとばかりに私を見下ろしてきた。
勿論後ろから抱き込まれ、彼の腕の中に居る状態なので顔は見えない。声からそうだろうなと想像するだけなのだが、間違ってはいないだろう。
「いや~びっくりだよねぇ。アハハ」
『「……」』
乾いた笑いを披露するトモコに、ヴェリウスは半目になっている。きっとロードもだろう。
「オメェ、身元は確かだって自信満々に言ってたよなぁ」
「身元は確かでしょ! 王子様だよ!!」
「そうだな。王子だな」
冷気が…後ろから冷気が漂ってきています!!
『食糧難で養子に出された年齢が3歳となると、リンは自身がフォルプロームの王子だと覚えていない可能性が高いでしょう』
「確かに、自分の事は完全に田舎から出てきた村人って思ってそうだったし」
嘘を吐いている感じでもなかった。
「養子に出されたとはいえ、他国の王族がウチの騎士団に入ったとなるとなぁ…」
「元王族だよ。養子に出されてるんだからもう王子じゃないって」
急にリンの騎士団入りを渋りだしたのでフォローする。
「大体ここでリンを保護してもらえないなら、もう天空神殿に連れていって私がリンを直々に保護するしかないよ?」
「入団は許可する。保護は俺が責任を持ってするから任せろ」
ちょろいな。師団長。
『まぁ王子といっても名ばかりだろう。当分はお主の所で面倒をみてやると良い』
ヴェリウスにまでそう言われれば否とは言えないロードは、「わかったよ」と渋々返事をして私を抱き締めた。
『そんな事よりミヤビ様、ロードのステータスとやらを確認していただけませんか?』
「良いけど、どうしたの? 突然」
ヴェリウスの突然の言葉に聞き返せば、
『ミヤビ様と気持ちが通じただけで、何やら奴の力が上がっているようなのです。一旦確認していただければ、今の訓練を効率の良いように改める事も出来ますので』
「え!? みーちゃんとうとうロードさんとドッキングしちゃったの!?」
ドッキングいうな。してないからな。
「残念ながら最後まではシてねぇが、惜しいところまではいったんだよ」
ロードよ!! 余計な事をトモコに話すんじゃない!!
「なんだ~。みーちゃん、ロードさんが下手だったの?」
もっとオブラートに包めないかなぁ!? 明け透けすぎて耳を引きちぎりたくなるわ!!
「そんな事よりロードのステータスだよ!! はいっ ステータスオープン!!」
恥ずかしくて言えなかった“ステータスオープン”の言葉を口に出すほどヤケになっていたのだ。
名前: ロード・ディーク・ロヴィンゴッドウェル
年齢: 41
種族: 半鬼神
LV: 100(MAX)
HP: 100(MAX)
MP(GP):80
装備: 神王の創った綿の服(効果: 防御力∞)
神王の創ったのブーツ(効果: 脚力向上∞)
双剣(攻撃力45) ▽
スキル: 気配察知
騎竜
空間魔法(アイテムボックスレベル5)
悪鬼の睨み
鬼才料理
念話
悪鬼の筋力
怒りの雷撃
ミヤビラブ
etc.
称号: 神王のつがい
鬼才の料理人
主夫
暗黒騎士
etc.
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