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第三章
告白4 ~ロードside~
しおりを挟むロード視点です。
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2人で話をしようとミヤビに言われ、辛かったが了承し、今の時間帯は誰もいないであろう騎士寮の自身の部屋へと連れ込んだ。
あんな風に怯えた顔で見られた後に、どうやってつがいと接したら良いのかわからなくなっていた俺は、ミヤビと2人きりになった今も距離をとっていた。
こんな事は初めてで、あの怯えた表情が目に焼き付いて消えなくて、ミヤビを直視する事も辛かった。
しばらく沈黙が続いたが、ラチがあかないので俺から話を始める。
「…あのガキ、そんなに気に入ったのか?」
思ったよりも冷めた声が出てしまい、自分でも驚いた。
ミヤビは俯いていた顔を上げて俺を見る。
「今まで、誰に会っても興味を示さなかったオメェが、あのガキには随分と積極的だよな」
「そんな事ないでしょ。いつもと同じだよ?」
遠くから見たが、あの男はミヤビと同じ位の年齢だった。
並んだ時も俺よりは違和感がないだろう。むしろ…。
だけど、
「……オメェは俺の唯一無二のつがいだ」
いつもと同じにはとても見えねぇよ。
今まであった誰よりも、俺よりも、興味を持ってんじゃねぇか。
心は冷えていくのに、ミヤビを離す事は考えられねぇ。
コイツを好きだっつー気持ちも、一切変わらねぇ。
ミヤビは、他の男に興味を持ってるっていうのに…っ
「俺にゃあ、オメェを諦める事は出来ねぇ。絶対に」
無理だ。
ミヤビを手離す位なら、
「ロード?」
「オメェが俺じゃなく、あのガキを選ぶってんなら……」
オメェの目の前で、
「奴を殺す」
本気でそう言えば、ミヤビは慌ててソファから立ち上がる。
「いや、ちょっと待って。落ち着いて。リンを選ぶなんて事はないから!! むしろどうしてそうなった!?」
そんなに、慌てて止める程あの男が好きなのか!?
もう止めてくれ。
俺の前であの男の名を呼ばないでくれ。
あの男の話をしないでくれっ
「話は終わりだ」
「終わりじゃないよ! 何でそんな話になるのっ」
「っ…オメェがっ …俺の所に来てからずっと、リン、リンってあのガキの話しかしねぇ」
「それはっ」
オメェの口から、これ以上は聞きたくねぇんだ。
「分かってる! あのガキが問題を抱えてんのは…けど、オメェがアイツに興味を持ってる事も分かるんだよ!! 俺はっ オメェをずっと見てるから…っ 好きだから…」
もう、耐えられねぇんだよ…っ
「っ悪ぃ…独りにしてくれ」
ミヤビを部屋から追い出し、勝手に目から溢れてきたものを拭う。
格好悪ぃ…っ
自分が情けなくて、不甲斐なくて、そりゃ、こんな男じゃミヤビも好きにならねぇよな。なんて、余計に落ち込んだ。
あまりの事に、ソファに座ったまま暫く立ち上がれなかった。
ボーッと天井を見つめていたら、扉の外から微かに音がして、なんとなく扉の方を見ていた。するとーー…
「っふ…ぅえ…っ ろ、ど…っ が、苦しい、なら…っ しゅ、ぞく…っ 変えて、つがい、っく、止めても、い…っから、泣かないで…っ」
俺のミヤビが泣いている…っ
しかも、とんでもない事を口走って!!
「!? っ…何でッ そうなるんだ!!」
今まで立ち上がる気力さえなかったが、つがいの泣き声と話す内容に慌てて立ち上がり勢いよく扉を開けた。
「ぎゃっ」という声とともに、ミヤビが転がっていった時にはどうしようかと思った。
◇◇◇
「大丈夫か?」
「お手数をおかけしてスミマセン…」
膝の上に乗っけて、涙と鼻水でどろどろになった顔を濡らしたタオルで拭ってやる。
「…オメェは本当に…ろくな事考えねぇなぁ」
「スミマセン…」
スミマセンじゃねぇよ。
オメェが種族変えるっつったら本当に変わるんだぞ!?
それに、種族が変わったぐれぇで俺のオメェへの想いが消えるわけねぇだろうが!! ふざけてんのか!!
種族変えて、ミヤビを忘れろなんて酷すぎんだろ…っ
「俺ぁ種族を変える気はねぇし、つがいはオメェだけだからな。大体、そんな事言うって事ぁフラれたって事か?」
もうミヤビは俺を好きにはならないって言われたみてぇで、辛くてたまらねぇよ…っ
「……す、きです」
「あ゛ぁ゛?」
今、なんつった?
「ロードが好きだから…えっと…泣かないでほしくて?」
「…………」
幻聴が聞こえたぞ…。
こりゃあ、都合のいい夢か何かか?
好き? ミヤビが俺の事を? 泣かないでほしいだぁ?
「また、芝居か何かか?」
また冗談で終わらせる気なのか?
今それをやられたら、俺ぁもう立ち上がれないぞ…。
「違うから! さっき、ロードが泣いたから…」
「…同情か」
同情もキツイな…泣いたからか。
くそっ 情けねぇなぁ。こんな不甲斐ない所をミヤビに見せるなんざ、男失格だ。
「違うっ だから、あの…ですね、その…」
「ミヤビ?」
さっきからミヤビの様子がどうもおかしい。
顔も赤くなったり青くなったりしているし、もしかして……
「っさっき! 自分の気持ちに気付きましたーーー!!」
「ミヤビ?」
本当に…?
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