上 下
112 / 587
第三章

告白2 ~ロードside~

しおりを挟む


ロード視点です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


全く見飽きねぇつがいの茶菓子を食う様子だったが、おかしな遊びで中断していた話を聞かねぇとなぁ、と声を掛ける。
ダーリンごっこは勿体なかったが、もう好きだのダーリンだのと言ってくれそうにねぇしな。

「おかしな遊びは終わりにして、そろそろ詳しく話を聞かせてくれるか?」

ミヤビがぎょっとした顔で俺を伺ってくるが、それが小動物のようで何とも可愛い。

「あれ~今までノリノリだったのに、バレてたんだ~」
「役得だったぜぇ。なんせミヤビの口から“ダーリン大好き”って聞けたからなぁ」

口をあんぐりと開いて両手を自身の頬につけ、青い顔をして声無き声で叫ぶ真似をしているんだが、バレてねぇと思ってる事に驚いたぞ。

「んな、何で演技だって!?」
「オメェ普段そんな事言わねぇだろ。トモコも念話してるって丸わかりだしなぁ。最初は変な遊び始めやがったって思ってたが、オメェが可愛い事言うからよぉ」

トモコは念話している時は黙りこむ上に、表情に出ているし、ミヤビはトモコの方を見て首を振ったりしてたからなぁ。
わかりやすすぎて面白かった。

お、段々顔が赤くなってんぞ。可愛い反応だなぁ。

「念話丸分かりだったか~。あれ無表情保ってられないし、念話中って他の人と話せないんだよね…」
「俺を騙そうとする気なら、念話も使えるようになってから挑戦するこったな」
「くっ 私ではまだこの男には勝てないのか!!」

人族の神でも、あれで俺に勝とうなんざまだまだだな。

「で、フォルプロームはどうだったよ」
「暑かったよー。ね、みーちゃん」

トモコに話をふられたミヤビだったが、膨れっ面でこっちを見るもんだから可愛くてたまらねぇ。
何だその可愛い面!!

「あら~みーちゃんがヘソ曲げちゃった~。可愛いねぇ」
「ミヤビ、すげぇ可愛かったぜぇ。だから拗ねんな」

トモコも俺と同じ事を思ったのか、可愛いと口に出している。
コイツはある意味ライバルだからな…。負ける気はねぇけどよぉ。

「そんな事より、フォルプロームの事!!」

トモコにまで嫉妬していれば、ミヤビが俺の考えを読んだように話の軌道を戻そうとする。
しかも膨れっ面が益々膨れているので、口一杯に食い物を含んだ小動物のようで、たまらず笑ってしまった。



「ーー…とううわけで、リン君の事をロードさんに頼みたいんだぁ」
「奴隷ねぇ…」

さっきミヤビから聞いたお願いを、再度トモコからも頼まれ思案する。
性奴隷なんざ、大昔にルマンドじゃあ禁止されているが…大体人族は性奴隷を必要とはしねぇし、つがいが他種族に居るかもしれねぇってんで、基本人族の国では奴隷制度も差別も禁じられている。
ルマンドは王が人族ではあるが、他種族が混ざりあって暮らす国だ。だからこそ余計な争い事を避ける為にも大昔に禁じられたらしい。
それを人族が、仲介とはいえメリットもないような事をするとは思えねぇ。こりゃキナ臭ぇ何かがあるなと嘆息したのだ。

癒しを求めて、膝の上に居るつがいの肩や腰を撫でる。
胸と尻も撫でたいが、それをすると怒られそうなので止めておいた。

「普通、キャラバンの護衛がそんな機密事項を皆が眠っているような場で漏らすなんて考えられねぇが…リンって奴の話が本当なら、わざと話したんじゃねぇか? しかもキャンプ1日目に話すなんて逃げて国に知らせろって言ってるようなもんじゃねぇか」
「だよね~。ヴェリーさんはその護衛が人族じゃなくて、獣人族じゃないかって思ってるみたい」

『トモコよ、私は獣人族とは断言しておらんぞ』

突如師匠であるヴェリウスの声が響き、執務室の真ん中に転移してきた。
転移は割りと頻繁に行われているので珍しくもない。
それよりヴェリウスの言葉が気になり、聞き返した。

「断言してねぇって事ぁ、獣人族以外の可能性もあんのか」
『リンの話から、竜人という可能性も捨てきれぬと思ってな』

まだ推測の域は出ねぇが、この話が本当なら…戦争が起こるかもしれねぇ。
グリッドアーデン国が落とされでもしたら大問題だ。
神族であるコイツらに任せられる問題じゃねぇ。早々に陛下に伝えなければならない。国同士の政治が絡む問題になってくる。

「成る程なぁ……ミヤビ、トモコ、この件、しばらくこっちで預からせてもらっていいか」

面倒な事になった。
ため息を吐きたくなる気持ちを我慢して、嫌々ミヤビを膝から降ろし立ち上がった。

「少し気になる事があってな」

心配そうな顔をするミヤビの頭を撫でると、足早に陛下の元へと向かったのだ。
しおりを挟む
感想 1,620

あなたにおすすめの小説

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのにいつのまにか溺愛ルートに入りそうです⁉︎

sutera
恋愛
仕事に疲れたボロボロアラサーOLの悠里。 遠くへ行きたい…ふと、現実逃避を口にしてみたら 自分の世界を建て直す人間を探していたという女神に スカウトされて異世界召喚に応じる。 その結果、なぜか10歳の少女姿にされた上に 第二王子や護衛騎士、魔導士団長など周囲の人達に かまい倒されながら癒し子任務をする話。 時々ほんのり色っぽい要素が入るのを目指してます。 初投稿、ゆるふわファンタジー設定で気のむくまま更新。 2023年8月、本編完結しました!以降はゆるゆると番外編を更新していきますのでよろしくお願いします。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

処理中です...