111 / 587
第三章
告白1 ~ロードside~
しおりを挟むロード視点です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんの前触れもなく、突然執務室に現れた俺のつがいとその親友は、フォルプローム国に行ってきたと、机に向かって苦手な事務処理を必死にやっていた俺に伝えてきた。
いつもなら仕事の邪魔をするどころか、執務室に寄り付きもしないミヤビがやって来てそんな話を始めるものだから、手を止めて2人の話をじっくり聞く事にしたのだ。
勿論いつ来てくれてもミヤビなら大歓迎だが。
話を聞き進める内に、フォルプロームで出会ったリンという青年を保護する為、ルマンド王国の騎士団に入団させて欲しいというつがいからのお願いが発生した。
可愛いつがいの願いは出来るだけ聞いてやりたいが、素性の分からねぇ他国の人間を王国の騎士団に入れろというのは無理がある。
どうするもんかねぇ…と考えていれば、ミヤビは素性は確かなんだと必死に食い下がってきた。
その青年の事を話すミヤビが、今まで出会ってきた男達(マカロン、ランタン、精霊、アーディン、魔神)とは違い、そいつにとても興味を持っている事がすぐに分かった。
確かにミヤビはお人好しで、騙され易い性格だが、今までこんなに熱を込めて話すような男はいなかった 。
昨日のミヤビからの(頬に)キスが無ければ、嫉妬に狂ってすぐに追及しただろう。
勿論気持ちを抑えてはいるが、嫉妬してねぇわけじゃねぇ。
正直今すぐリンって奴をぶん殴りてぇ。
俺のミヤビの興味をそそるだけでも許しがたいのだ。
イライラし出した俺に気付いたのか、ミヤビとトモコがおかしな事をし始めた。
「ーー…違うの。誤解だから。私が好きなのはロードだけ」
突然そう言って胸に飛び込んできたミヤビを、反射的に抱き止める。
芝居がかった口調だが、ミヤビに好きだと言われるのはかなり嬉しい。
小さく華奢な俺のつがいの柔らかさを堪能しながら、抱き締めた手に少しだけ力を込めた。
「ロード、大好き」
芝居でも悪くねぇ。
等と思いながらにやけちまう。
「っミヤビ、俺も大好きだ!! 愛してる!!」
なんてどさくさに紛れて身体中に触れる。
ミヤビは余計な肉が付きづらい体質のようだが、それでも硬い男に比べて女性らしい柔らかさを持っている。
胸もこう…わりとあるし、尻は小せぇがきゅっと上がって丸みをおびていて目が離せなくなる。むしろ両手で掴んで揉みてぇ。
肌は人形のように綺麗で、触り心地がかなり良い。もちもちふわふわしていて、ずっと触っていたくなる程だ。
「雅、嬉しい」
可愛らしい事を言うミヤビに、芝居と分かっていても相好が崩れた。
自分で言っていて違和感があったのか、肌が粟だっている所も可愛いと思う。
「…ねぇロード、ロードしか頼れる人がいないの」
つがいの上目遣いのお願いを断れる男は居ねぇ。
「っミヤビ、何でも言ってくれ。どんな願いも叶えてみせる」
国をとってこいと言われたら、一国とってくるぐらいわけもない。
「ロードぉ。じゃあ、リンさんの事お願いしてもいい?」
ちょっと待て。
仕草も表情も可愛すぎるが、他の男の事を乞われるとな…俺にも限度っつーもんがあるんだよ。
「ダーリン、だめぇ?」
くるくると人差し指で俺の胸に円を描きながら、上目遣いで“ダーリン”……。
俺、鼻血出てねぇよな?
ミヤビ…下半身が暴走しそうなんだが…。何だそのうるうるした瞳は…っ やべぇっ これ、たまんねぇ!!
「ミヤビぃ。勿論構わねぇよ」
「や~ん! ダーリン格好良い!! ありがとう」
俺は理性を保つのに必死だった。
可愛すぎるつがいのお願い攻撃に敗北し、すぐに部下を呼んでリンという青年が待っている場所へと迎えに行かせる。
そのまま入団テストを受けてもらう為だ。
ミヤビには、入団テストで合格出来ねぇ実力なら諦めろと言ってある。
さすがに問題のある奴を騎士団には入れられないからな。
だが、俺のつがいは聡い。すぐに納得して俺の膝の上にちょこんと座り茶菓子を食っている。その様が可愛すぎてつい押し倒したくなるのは仕方のない事だろう。
1
お気に入りに追加
2,533
あなたにおすすめの小説
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
乙女ゲームに転生した世界でメイドやってます!毎日大変ですが、瓶底メガネ片手に邁進します!
美月一乃
恋愛
前世で大好きなゲームの世界?に転生した自分の立ち位置はモブ!
でも、自分の人生満喫をと仕事を初めたら
偶然にも大好きなライバルキャラに仕えていますが、毎日がちょっと、いえすっごい大変です!
瓶底メガネと縄を片手に、メイド服で邁進してます。
「ちがいますよ、これは邁進してちゃダメな奴なのにー」
と思いながら
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
二度目の人生は異世界で溺愛されています
ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。
ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。
加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。
おまけに女性が少ない世界のため
夫をたくさん持つことになりー……
周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。
幼女公爵令嬢、魔王城に連行される
けろ
恋愛
とある王国の公爵家の長女メルヴィナ・フォン=リルシュタインとして生まれた私。
「アルテミシア」という魔力異常状態で産まれてきた私は、何とか一命を取り留める。
しかし、その影響で成長が止まってしまい「幼女」の姿で一生を過ごすことに。
これは、そんな小さな私が「魔王の花嫁」として魔王城で暮らす物語である。
パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!
八神 凪
ファンタジー
勇者パーティに属するルーナ(17)は悩んでいた。
補助魔法が使える前衛としてスカウトされたものの、勇者はドスケベ、取り巻く女の子達は勇者大好きという辟易するパーティだった。
しかも勇者はルーナにモーションをかけるため、パーティ内の女の子からは嫉妬の雨・・・。
そんな中「貴女は役に立たないから出て行け」と一方的に女の子達から追放を言い渡されたルーナはいい笑顔で答えるのだった。
「ホントに!? 今までお世話しました! それじゃあ!」
ルーナの旅は始まったばかり!
第11回ファンタジー大賞エントリーしてました!
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる