異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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第三章

キノコ狩りって素人はやっちゃダメ

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大声で“これから商売仇になりますぜ!!”と叫んだようなものの私達はそれからすぐ店主に追い出され、けれど2人でテンションが上がっていたものだからウヒャヒャッと笑いが止まらず、周りからおかしな目で見られたのだった。

ちなにみ服屋の店主は私達を追い出す時に、「頑張りな!!」と激励してくれてウィンクをバチーン!! とかましてから外にポイッと追い出した。

今日はもう帰ってお酒でも飲み交わそうよという雰囲気になり、転移どこでも扉を出した所で突然ロードに捕獲されたのだ。
それに対してトモコがウヒャウヒャと笑いながら、

「こっちの世界の連れ込み宿がどんなだったかまた教えてね~」

と爆弾を落として扉を潜ったので、口が開いたまま塞がらない。
しかし、

「やばーい!! お土産買ってなかったー!!」

となに食わぬ顔で戻ってきたので頭を両拳でグリグリしてやった。
「ギャァァァ」と悲鳴を上げているが知らん! お前はさっきの女子力をどこに落としてきたんだ。今すぐ拾ってこい!!

「ミヤビ、許してやれって。オメェの言葉にテンションが上がってんだ。よほど嬉しかったんだろうよ」

等と私の腰を抱いた捕獲したまま宥めてくるロード。

「そうだよみーちゃ~ん!! 許してぇっ お土産買いに行かせてーー!!」

半泣きのトモコとそれを見て苦笑いするしかないロードに、仕方ないと頭グリグリ攻撃を止める。するとホッとしたのか、トモコがロードの前に手を出して、「おみや代下さーい」とたかり始めた。
お前…本当にご飯屋さんの時のトモコと同一人物か!?

「…やるからデートの邪魔すんなよ」

と懐から革で出来た袋を取り出しているロードを見てぎょっとする。

「ハーイ!! ショコたん行きますぞーー!! あっみーちゃん扉そのままにしておいてね~」
「トモコ様ぁ、ショコラは主様をお守りしなくてはいけないのです~」
「ダイジョブ、ダイジョブ~。みーちゃんにはロードさんがついてるものぉ。ショコたんは私と一緒にヴェリーさん達のお土産買って帰ろう!」

そう話ながらショコラを引きずって行ったトモコを黙って見送ったのは、あまりの事に声が出なかったからだ。

「っし!! 邪魔者は消えたし、デートすんぞ」

ニッと笑って私を見下ろすロードに胡乱な目を向ける。

「邪魔者って…。しかも買収した…」

ボソリと呟けば、顔を耳元に近づけてくる。

「なぁミヤビ」
「ナンデショウカ?」

嫌な予感がして一歩下がろうにも、腰を抱かれていて動けない。

「トモコが家に来てからひと月。全然俺の事構ってくれてねぇよなぁ」

掴まれていた腰を両手で持って、クルンと回され向かい合わせにさせられる。

「…3人と1匹で飲んだりしてるよ?」
「2人きりでは飲んでねぇだろ。それに…」

右手の親指でちょん、と唇に触れられて心臓が跳ねた。

「キスも、してねぇ」

耳元で吐息を感じながらの色っぽい声と言葉に、心臓どころか身体が跳ねた。さながら、しっぽを太くしながら硬直して跳ねる猫のように。


き、き、き、くぅぇあーーー!!!?

「ミヤビ…」

ゾクリとするような色っぽい声で呼ばれて「うひゃい!?」と声を出してしまった。

耳がっ耳が溶けそうだ!!

「ミヤビ、好きだ」

私の反応が面白かったのか、そう言ってククッと笑うロードがいつもより男らしく見えて顔に熱が集まってくる。
しかし、ニヤニヤ笑うロードの余裕そうな態度に段々と腹がたってきた。

「何だかロードは女慣れしてる」

だから言ってしまった。子供のような事を。

「あ゛?」

眉間にシワを寄せるロードから顔を反らし、さっきからモヤモヤしていた事を口にする。

「だって女の子の好きそうな所に詳しいし、エスコート慣れしてた」

自分でも一体何を言っているんだと心の中では思うのに、口は勝手に言葉を紡ぐ。

「騎士はレンメイさんやカルロさんみたいに紳士だから、ロードも女の子には紳士なんでしょ」

ロードは私をつがいだと言って好いてくれているが、実質恋人でもないのにこんな発言はおかしいんだと分かっている。
なのに何故か止まらない。
あれだけ助けてくれたのに。お礼を言わなくちゃいけないのに。何だコレ!?

「ちょっと待て、そりゃあオメェが好きそうな所は事前にチェックすんのが当然だろ。大体、レンメイとカルロが女に対して紳士っつーが、アイツらが紳士なのは好きな女とその関係者にだけだぜ。騎士とか関係ねぇからな。俺だってオメェとその家族以外にゃこんな接し方しねぇよ。…つーか、オメェ何かおかしくねぇか?」
「おかしくないよっ ロードなんてレンメイさんとカルロさんと3人でお付き合いしてれば良いんだよ!!」

何言ってんだぁ!? 私の口ィィ!? ちょ、これ違う。私じゃない。そりゃちょっとはロード×レンメイとか色々よぎったけどもォ!?

「ミヤビ…オメェ変なもんでも食って……あ゛」

あ゛? あ゛って何だ。

「オメェがさっき食ってたサラダにキノコが入ってなかったか?」
「入ってたけどそれが何!? 」
「それって、ほんのりピンクがかってなかったか?」

……確かにピンクがかってた。けど味は椎茸だったよ。サラダに椎茸って微妙って思ったから覚えてる。

そう言うと、ロードの顔が引きつり「やっぱりな」と小さな声で呟いた。

「もしかして、毒キノコだったり……?」

私の顔も盛大に引きつる。

「いや、毒じゃねぇ。毒じゃねぇがちょっと厄介なやつだな」
「厄介!?」

解毒!! 解毒しろ私の身体!!

「そのキノコな、“ジェラシータケ”って言って…食った人間のさせるキノコなんだわ。しかもシイタケとそっくりで間違い易いから、割りと頻繁に飯に紛れてる」

ジェラシータケ……嫉妬心の増、幅……

はいぃぃ!!!?
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