異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

文字の大きさ
上 下
61 / 587
第二章

盆踊りなら踊れます

しおりを挟む


精霊を神力で生みだせると知った私だが、だからといって自分で生みだすぜ!! なんて事にはならないのだ。
だってこれ以上人口密度が上がると、深淵の森にある小さな家では対応できない。そして我が家にこれ以上人を増やしたくない。
天空神殿ここならいくら人が来ても構わないけれどね。家ではない、リゾート地なのだから。

最近思うのだ。世紀末で人口も減少したあげく文明の発展も遅れている世界がいくら頑張っても、観光地として楽しめるようになるのは最低でも10年はかかるのではないかと。いや、もっとかかるかもしれない。

それなら自分で創った街(島)で、人を拐っ…ゴホンッ 誘致してきて、その人達に様々な技術を教えてあげた方が早く発展するし、観光地として楽しめるのでは…と。
きっと半分の5年もあれば私の考えも及ばない観光地になるに違いないと。

人間不振のズボラではあるが、楽しみがないと長い人(神)生生きていけないんじゃないかって、同じ日常を繰り返す中で最近気付きました。
いや、同じ日常を繰り返す事は好きだけどね。その中のたまに旅行とかショッピングとかね、ないと楽しくないでしょう。

まぁそれは追々考えるとして、今はヴェリウスの精霊の件だ。

よく考えてみるとヴェリウスが生みだす精霊は人型なのだろうか? 獣型であれば、案内係は出来ても給仕は出来ないだろう。

「ねぇヴェリウス、やっぱり精霊はま「ヴェェリウスゥゥゥ!!!! アンタまた抜け駆けしてるわねぇ!?」」

精霊は待って欲しいと言おうとしたら、ランタンさんの怒声に話を遮られた。
突然現れた為ビクッとしてしまった所を、腰をぐっと引かれてロードの腕の中にいきなり囲われてしまう。

「へ? 何…」
「何だあの野郎おとこは」

殺気を纏ったロードはランタンさんを阻むように私を自身の後ろへ隠すと、警戒を露にした。

「精霊の話を小耳に挟んだんだけど…この天空神殿に他神(神王様以外)の眷族や精霊を置いては駄目だと言ってあったでしょ!! 神王様にお心を傾けてもらえるのだと勘違いがおきて御寵愛を競う神族同士での戦争になりかねないのよっ 実際アンタは抜け駆けして神王様から御寵愛いただいているけれどね!」
『盗み聞きとは悪趣味だな』
「う゛…だって仕方ないでしょ!! 登場するタイミングを逃しちゃったんだからぁ!」

どうやらランタンさんは少し前からここに居て、私達の様子を見ていたらしい。

それを聞いてますますロードの機嫌が悪くなっていく。
気付かなかった自分と気配を悟らせなかったランタンさんとの力の差を気にしているのか、それともつがいとしての本能でランタンさんを男として認識し警戒しているのか…とにかく顔が悪鬼のようになっていて滅茶苦茶怖い。

「ロード、あの人が昨日話した竜神のランタンさん。ヴェリウスの友達で古い付き合いなんだって」

相変わらずのメロンの揺れ具合に目で追ってしまうのは、男でも女でも同じ事だろう。

しかしロードはそんなメロンに目もくれず、ランタンさんを睨み付けている。

「ねぇねぇ」

ロードの服を引っ張れば、幾分緩んだ顔をこっちに向けてくれる事にほっとしながら興味本意で聞いた。

「ロードはああいう胸に興味無いの?」
「あ゛?」

突然何言ってんだコイツ。みたいな目で見られたが、聞いてしまったのだから仕方ない。

「だってほら、男の人は大きいのが好きっていう傾向にあるんでしょ」

中には小さいのやまな板が好きだって人もいるけれど。後は胸よりお尻派とかね。

「そりゃ人族以外の男の話だろ。人族の男はつがいが全てだ。胸がデカかろうが小さかろうが、尻がなんだろうが、男だろうと女だろうと、そんなん関係ねぇよ」

いや待て。最後の性別のくだり… 私は色んな意味で気になるんですけどォォォ!?
趣味、薄い本を創作する事です!!

「つがいの全てが愛しくてたまんねぇんだからよぉ。勿論俺も類に違わずな」

何て目を細めて見つめられるものだから……そんな事よりさっきの発言が気になりすぎて私のBなLの情熱が頭を占領し始めたじゃないか!! 
ロードさん、そこの所詳しく。
いや、つがいが同性だったらって所だよ!!



結局ヴェリウスはランタンさんに怒られて精霊の派遣が出来なくなったので、ダンスホールの隅でいじけている。
機会があればヴェリウスの精霊を紹介してもらおう。可愛い精霊を希望する。
ばかデカイ猪と無表情な鹿が出て来たら即逃げようと思う。

ロードは胸の話から多少表情が和らいだが、私が嫉妬したのだと勘違いしている節がある。

元凶であるランタンさんは、私にパーティーの流れについて教えてくれているのだが…

「という流れで一同にお顔を見せていただければとーー…この後はダンスホールでダンスを「ちょっと待って下さい」」

ランタンさんの話を遮った私は、ハイッと挙手して言った。

「ダンスはしない」

と。
この言葉にランタンさんだけでなく、ヴェリウスやロードまで驚愕している。
何故なら、この娯楽の少ない世紀末のようだった世界で、音楽とダンスだけが人々や神々の唯一の楽しみだったらしい。
つまり、パーティーに音楽とダンスは欠かせないのだ。それを私は拒否しているわけで、当然ランタンさんからは戸惑いの声が漏れている。
しかしリズム感ゼロ、社交ダンスの経験も無いどころか、ダンスはマイムマイムか盆踊り位しか経験もないのだ。そりゃあ力を使えば踊れるだろうが、ダンスホールの真ん中で優雅にダンスなどぶっちゃけこっ恥ずかしいわけだ。

そんな私が希望するのは、全員が踊らなくても楽しめるパーティーである。
そう、踊りたい人は踊ればいい。私を巻き込まなければな。
他の人は何をするのかといえば……

「食べる事に楽しみを見出だせば良いのです」

食に特化したパーティー。“ビュッフェ”を提案したい!!
しおりを挟む
感想 1,621

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……! 前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。 正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。 そして、気づけば違う世界に転生! けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ! 私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……? 前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー! ※第15回恋愛大賞にエントリーしてます! 開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです! よろしくお願いします!!

皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~

saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。 前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。 国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。 自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。 幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。 自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。 前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。 ※小説家になろう様でも公開しています

今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました

四折 柊
恋愛
 子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

3年前にも召喚された聖女ですが、仕事を終えたので早く帰らせてもらえますか?

せいめ
恋愛
 女子大生の莉奈は、高校生だった頃に異世界に聖女として召喚されたことがある。  大量に発生した魔物の討伐と、国に強力な結界を張った後、聖女の仕事を無事に終えた莉奈。  親しくなった仲間達に引き留められて、別れは辛かったが、元の世界でやりたい事があるからと日本に戻ってきた。 「だって私は、受験の為に今まで頑張ってきたの。いい大学に入って、そこそこの企業に就職するのが夢だったんだから。治安が良くて、美味しい物が沢山ある日本の方が最高よ。」  その後、無事に大学生になった莉奈はまた召喚されてしまう。  召喚されたのは、高校生の時に召喚された異世界の国と同じであった。しかし、あの時から3年しか経ってないはずなのに、こっちの世界では150年も経っていた。 「聖女も2回目だから、さっさと仕事を終わらせて、早く帰らないとね!」  今回は無事に帰れるのか…?  ご都合主義です。  誤字脱字お許しください。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

処理中です...