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第二章
謎はやっぱり謎のまま?
しおりを挟む精霊ガット視点です。
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一体何が起こったというのか…。
“あの御方”の逆鱗に触れたかと思えば、手の中に在るはずの核がなんの前触れもなく消えていた。隣にいるラーヴァも自身の手を見て唖然とし、その後に手を振ったり床を見たり、さらには自身の身体を服の上からまさぐりだしたりしている様子から、私と同じ事が起きたのだろう。
畳み掛けるように、突如聞こえてきた女の声に驚き辺りを見回す。
この声は、先程出会ったあの黒髪の女神の声だと当たりをつける。
しかし声は聞こえど姿は見えず、気配すら感じないのだ。
頭を振り、幻聴や幻覚の類いかと疑う。もしかしたら対峙した時に何かされたのかもしれない。そうでなければ考えられないのだ。
何故ならここは、“あの御方”の神域の中でも限られた者しか入れない場所。
幾重もの結界を張り巡らせ、侵入者を拒む神域の中心地なのだ。
そんな場所で“あの御方”以外が、例え神であろうと力を使う事等と易々と出来るはずもない。
にもかかわらずいとも容易く声を届け、我らから核を奪うなどあの時に何かをされたとしか思えない。
しかし例えそうだったとしても、こんな真似ができるのは私が知る限り“神王様”ただお1人だけだ。
そんなバカなっ “神王様”は、魔素を満たした事でお力を消耗され、今はお眠りになっていると“あの御方”がおっしゃっていたではないかっ
“あの御方”のいう事に間違いはないのだ。惑わされてはならない。
それに我らは見たはずだ。世界が魔素に満たされたあの時、この神殿に現れた“神王様”の神々しく輝くあのお姿を。
あの女神とは似ても似つかぬ美しさをーー…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
雅視点
◇◇◇
《ミヤビ様ァーーーー!! ごめんなさいぃぃぃッッ 僕、僕…ロードさんをどこかに落としちゃったんですぅぅぅ!!!》
そろそろ森に帰ろうかなと思っていた所に飛び込んで来たのは、今まで完全に存在を忘れていたマカロンだった。
マカロンはなぜか慌てていて涙目になっている。
《僕がまたロードさんの事を忘れてぐるぐるしちゃったから…っ 気付いた時にはもういなかったんですぅぅぅぅ!! あの人ただでさえ魔力を消耗して死にかけてたのに、落としちゃうなんて絶対死んじゃいましたよね!? ミヤビ様っ 生き返らせる事って出来ますか!? あ、でもまだ遺体を見付けてないのでどうしたらいいですか!?》
「「…………」」
思いっきり目の前でロードに抱き上げられている私に、捲し立てるように叫ぶマカロンに言葉が出てこない。
ロードなど目が据わっている。
《何バカな事言ってるのよ。あんたの背中から落ちたら潰れて再生も難しいはずよ》
ショコたんそこォォォ!!!?
『馬鹿者。そもそも死者の蘇生なぞいくら神王様でも出来ぬわ』
ヴェリウス違う!! ソコじゃない!!
《え……じゃあロードさんはもう…っ うわぁぁぁぁぁん!! ごめんなさいロードさーーーんっ 僕を恨まず安らかに眠って下さいぃぃぃ》
「テメェを安らかに眠らせてやろうか」
ついに我慢出来なくなったロードが私を地面に降ろし、そう言葉にするやいなやマカロンのボディに回し蹴りを炸裂させた。
《ウギャア!!!? ロードさんのゴーストが出たァァァァァ!!!? 恨まず安らかに眠ってって言ったのにーーーー!!》
「バカロン、俺が死ぬときゃ必ずテメェを道連れにしてやるから安心しろ」
凶悪な顔でニタリと嗤う様はまさに悪霊のそれである。
《嫌ァァァ!!! 僕じゃなくてミヤビ様を道連れにしてよぉ!! ロードさんのつがいでしょ!?》
マカロン…お前今日からバカロンな。
「当たり前な事言ってっとシバくぞコラァ」
ギャアーーーー!!! ヤンデレ発言は禁止でお願いしますーーーー!!!
『ミヤビ様を道連れにだと? 神王様と契れば、契った相手は当然同じ時を過ごし共に消えるのがさだめよ。すなわち道連れにするのはお前ではなく、ミヤビ様がお前を道連れにするのだ』
それどこからツッコんだらいいの? 気になる所がありすぎて逆にツッコミ辛いから。
「そりゃ良い事を聞いたぜ。人族の俺の方が早く死んじまうと思ってたが、そうか…契りゃいいのか」
ロードの本気な声のトーンに逃げ出そうと思う。
さぁ森に帰って薬作りを再開しなくては!! あ、それより昼食が先かな。
思い出したらお腹が空いてきたや。
ショコラ、ヴェリウス、お家に帰りますよ~。
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