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第二章

美少女って何をしても美少女だよね

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光が徐々に収まっていく。
一体何が起きたというのか…。

眩しさでチカチカしていた目が、だんだんと元に戻ってきた。
最初に目に入ったのは当然私を抱き上げているロードで…

「いや、何で鼻血垂らしてんだ」

真顔で鼻血を垂らすゴリラに引いた。

「オメェが誘うような事言うからだろうが」
「言ってねぇよ」

私が耳打ちしたのは箱入りドラゴンの名前で、決して誘い文句ではない。

『ミヤビ様…何て事を…』

いや、だから誘ってないから!! ヴェリーちゃん信じて!?
って…え? 何その顔…。

ヴェリウスが首を振って、箱入りドラゴンの方を見た。そういえばあの発光は箱入りドラゴンから……


「…え」


箱入りドラゴンが居たはずの場所を見れば、そこに居たのはーーー…

「主様、“ショコラ”は嬉しすぎて今ならお空の果てまで飛べそうです!!」

少女オオォォォォ!!!!!?

「いや誰!? その名前は箱入りドラゴンの為に考えた名前だけど!?」

箱入りドラゴンの居た所に立っていたのは10歳位の小さな女の子だった。
パッチリとした青い瞳に小さな鼻と口がちょこんとついていて、水色のサラサラした髪が目をひく美少女だ。

睫毛長!! 何だこの超絶美少女!!

『ミヤビ様……ドラゴンの聴力は、犬以上なのです…』
「え゛」

ヴェリウスが尻尾を垂らして言った一言に一瞬思考が止まった。

つまり、目の前に居る美少女は……

「あー、オメェやっちまったなぁ」

鼻血を垂らしたまま私を見るロードの言葉が心に突き刺さる。
私は箱入り…“ショコラ”をもう一度見て泣きそうになった。

「主様?」

きょとんとして首を傾げるショコラは大変愛らしい。


「なぁミヤビ、もう一度さっきと同じように耳打ちしてくれねぇか?」
「何でだよ!? こんな時に何言ってんの!?」

バカな事を言ってくるゴリラに頭突きをしたくなる気持ちを抑えて叫んだ。

「だってよぉ、“ショコラ”って…精力剤だぜ? オメェから、“ショコラ使って?”って言われたら興奮すんだろ」

とんでもねぇスイーツ第2段ーーーッッ

「正確にいやぁ“ショコレート”ってんだが、オメェの可愛い声で耳打ちされたらたまんねぇ」
「“使って?”なんて一言も言ってないでしょうが!!!」
「俺には聞こえた」
「幻聴ぅぅぅ!!!!」

頭の中がどピンクなエロゴリラの胸をドスドス殴り否定する。

「私の故郷では“ショコラ”は甘くてとろけるスイーツの事なの!!」
「ほぅ、そうなのか。確かにオメェの声は甘くて、俺ぁとろけそうだぜぇ。ナニが」

ナニが!?

『ミヤビ様、そんな事より水色…ショコラの事です』
「う、うん。ドラゴンが人化しちゃったね。どうしよ…《僕の…僕の水色の君がアアァァァ!!!!》」

私の言葉を遮って絶叫を上げた変態…マカロンにビクッと肩が震えた。

びっくりした…。

《あの麗しい水色の皮膚がァァッ しなやかな尻尾がァ!! どうしてぇ!?》

ブンブン尻尾を振り回して暴れだしたマカロンに、ロードの顔が凶悪になっていく。

「うるっせぇぞクソマカロン!!!」

ロードの一喝にビリッと空気が震えた。

シン…と静まり返った場に緊張感が漂う。
気まずい。まるで会社の上司が皆の目があるオフィスで同僚を怒鳴っているような気まずさだ。

《ぅ……ぅぅぅっく、うええぇぇぇぇん》

泣き出したー!!?

《だってぇぇ僕の水色の君が人間になっちゃったぁぁぁ!!》
「んな事言ったって仕方ねぇだろ。お前も男なら惚れた女がどんな姿になろうと愛し抜けっ」

あー…マカロンはショコラがドラゴンの姿でないと嫌だって駄々こねてるんだな。

「ふんっ 外見至上主義な雄ってサイテーよ」

小学生のような外見で言ってる事が女子高生のようなショコラに顔が引きつる。

「まぁまぁ。初めは皆見た目から入るから仕方ないよ」
「主様は心が広いです!!大好きです!!」

大したこと言ってないのに滅茶苦茶褒めてくれるよね。ショコラちゃん。

「俺の方がミヤビを大好きだからな!!」

突然入ってきて子供に対抗するなゴリラ。

『結局私が一番ミヤビ様を想っている』

ヴェリーちゃん、お前もか!!

《見た目だけじゃない!! 僕は水色の君の尻尾で殴られた時の痛みも、蔑んだ目も、トゲのある言葉も全てが快感に変えられる位に好きなんだから!!》

ただの変態じゃねぇか。
胸をはって言う事じゃない。
要は尻尾があった方がそれで殴ってもらえるし、蔑んだ目も同じ位の大きさだとより快感だって事だろ。だからドラゴンのショコラが良いんだろう。

「オメェを見る蔑んだ目もトゲのある言葉も変わってねぇんだから姿が人間でも良いじゃねぇか」
《尻尾がっ 僕に物理的な痛みを与えてくれる尻尾が無いと…っ》
「今すぐ消えてなくならないかしら」

言葉のトゲが鋭すぎないですか? ショコラさん。
そして拳がマカロンの横腹にめり込んでますよ。明らかに人間の力じゃないめり込み方デスネ…。

《ぐふぅ…っ う、ぐぅ…ああっ なんて心地の良い痛みと言葉なんだっ 愛を感じる!! やっぱり水色の君は人間になっても水色の君なんだね!!》



やっぱり物理的な痛みソレ目当てじゃねぇか。
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