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第二章
リターン・オブ・変態ドラゴン
しおりを挟む《…分かりました。竜神様にはそのようにお伝えします。それで、その…僕もここに住まわせてもらいたいのですが。あ、勿論竜神様にお話を伝えてからここへ帰って来ますのでどうかお願いします!》
ロードの手の平で頭を下げている変態ドラゴンだが、コイツは自分が小さくなった事を自覚しているのだろうか? 普通最初に気付きそうなものだが。
『移住は認めん。運命だか何だか知らんが貴様は未熟すぎる。深淵の森に住む魔獣達は皆、すぐに神王様に挨拶に来たが、貴様は目の前に居るにも関わらず気付く事も挨拶も出来ぬ』
そういえば、ヴェリウスは私の“力”は桁違いだから神族にはすぐわかるって言ってたなぁ。魔獣達もわかるのかな? 人族は“力”を感じられないみたいだったけど。
《え!? 神王様が目の前に!? 》
『ミヤビ様、申し訳ありませんがこの未熟者を元居た場所へ戻していただけませんか』
ヴェリウスが可愛らしくお願いしてくるので、キョロキョロと私とロードを見てロードに頭を下げているこの変態ドラゴンを元の場所に帰した。勿論元の場所に着いたら自動的に大きさが戻るようにと願ってね。
『ありがとうございました』と言って尻尾を振るヴェリーちゃんが可愛らしく、撫でてやりたいが私は神輿に乗ったままなので代わりに笑顔と言葉を返す。
「どういたしまして。でも良かったの? 竜神の使いなんでしょ。結構雑な扱いをしてたけど…」
『良いのです。あんな未熟者を寄越した竜神が悪いのですから。まさか人族と神王様を間違えるなどあり得ません!!』
まぁ神王がこんな奴だとは誰も思わないだろう。私だってロードと私のどちらが神王だと言われたら迷わずロードを選ぶ。
「それなんだけど、神族は私の“力”がわかるって言ってたけどドラゴンや魔獣もそうなの?」
『神族程はっきりとではないですが、ドラゴンや魔獣は他より力に対して敏感ですので。人型の中でも魔力の高い者は何となくわかるかもしれませんが、そういった者は魔素が枯渇した時早々に亡くなっていますから…』
て事は変態ドラゴンは鈍感? ドラゴンとしての本能が薄れてる?
「オメェが小さくしたのが原因じゃねぇか?」
「え?」
「この結界がある場所まで来たってこたぁ、デカイ時は魔素の濃さの違いがわかってたってこったろ?」
ロードのいう通り奴は結界の近くにやって来ていた。
あれ? これウチの場所皆にバレてない?
『確かにサイズが変われば内包する魔力の量も比例して小さくなるかもしれません…』
つまりヴェリウスに未熟と言われたのは私のせいと…。
『どちらにしてもあやつは未熟者ですから構いません。さっさと忘れてしまいましょう』
「まぁそうだな。アイツのせいでミヤビとゆっくりする時間が削られちまったしなぁ。さっさと風呂に入ってベッドの上でイチャイチャしようぜ」
おいゴリラ、お前とベッドの上でイチャイチャした事など一度もないぞ。妄想をさも現実のように語るな。
しかし、あの変態が箱入りドラゴンを諦めるとは思えないんだが…。
「ミヤビ~どっちの風呂に入るんだ?」
「家の中のお風呂でいいよ」
「なら俺もそっちだな」
おい。何サラッと一緒に入ろうとしてんだ。
「露天風呂に1名様ご案内ー!!」
さすがに怒るように叫べば、ゴリラはチッと舌打ちして露天風呂へと行った。
ちょっと奥様、普通つがいとか言ってる相手に舌打ちしますー? 紳士の風上にもおけませんことよ。
『ミヤビ様、私は人族がお風呂を覗かないように見張っておきますね』
脱衣場の扉の前にちょこんと座るヴェリーちゃんはさすがである。
ウチの子は何て賢いのかしら!!
そういえば、この世界に来てからロクな男に出会ってないな。女の子(獣)は良い子ばかりなのに。
そんな事を考えていた一週間後の事だ。
《お願いしますー!! 何でもしますから、深淵の森に住まわせて下さいー!!!!》
やはり舞い戻ってきた。
変態ドラゴンが。
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