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やっと帰って来たよ
しおりを挟むいつかロードがこの国の王様は変態だって言ってたけど、もしかしてこの事から変態だと!?
確かに自分の伴侶がまだ6歳だとニコニコ笑って話せる奴は変態だろう。しかもさっきつがいに関しての説明で欲しくてたまらないとか、閉じ込めてしまいたくなるとか言っていた男だ。
「アハハ。そんなに警戒しなくても、人族の男はつがいが成人しなければ性欲はわかないんだよ」
明け透けにものを言い過ぎー!!
あんたの発言でロードの眉間のシワが増えて、ヤクザから夜叉に変わってるから!!
「まぁ、可愛すぎて閉じ込めてしまいたい感情はあるけどね」
お巡りさーん!! ここですっ ここにヤバイ奴が居ますー!!
「テメェいい加減本題に入らねぇと殺すぞ」
まるで世紀末にヒャッハーしている人へ、主人公が激怒した時のようにこめかみに血管を浮かべ、今にも技を繰り出しそうな勢いのある顔で地を這うような声を出すロード。
間近にその顔があるから余計怖い。
「うわっ 凶悪だなぁ。わかったからそんなに睨まないでよ」
ヘラヘラしているが、冷や汗をかいている王様はロードに恐れをなしているらしい。顔色が悪い。
「ミヤビ殿、貴女の作られた薬で私は命を救われた。感謝しても、し足りない程だ。何か褒美をと思うのだけれど、欲しいものはあるかい?」
急にそんな事を言ってきた王様に驚くが、さして欲しいもの等ない。願えば出てくるしね。
「なら、もう森へ帰るので何も言わず見送って下さい」
「それは…そうしてあげたいが、ロードがね…」
チラリとロードの顔色をうかがう王様は、言い辛そうに私を見た。
「俺ぁミヤビのそばに行くから騎士団を辞めるって行ってんだろ」
「だから辞められては困ると言ってるだろうっ ただでさえ第3師団は副団長も空席になったというのに、団長まで居なくなってどうするんだ!」
「つがいが居るオメェにゃ分かんだろ。つがいのそばに居たい俺の気持ちが」
言い合いを始めたロードと王様に、蚊帳の外な私はボケっとするしかない。抱き込まれていて動けないし。
「……辞めない方向で何とかならないかな…?」
結局、隊舎のロードの部屋と深淵の森を繋げる事で解決した。しかし、それは前提がロードと一緒に暮らすという事で…いつの間にか周りを固められているこの状況に、戸惑いながらも受け入れるしかなかった。
「…魔法について私は詳しくないんだが、扉一つで違う場所に行けるというのは、精霊や神々なら誰にでも出来るのかな?」
ロード部屋のクローゼットの扉の向こうを見ながら、誰にでもなく呆然と呟く王様に答えたのはヴェリウスだった。
「そんなわけがないだろう。神族であれば膨大な時間をかければ出来なくはないが、こうも簡単に空間を繋ぐ事が出来るのは主だけよ」
自慢気に話す所が何とも可愛らしい我が家のペット様である。
「…ミヤビ殿は一体……」
「フンッ 貴様らの矮小な頭でも考えればわかるだろう。神族である我が仕えるお方よ。一人しかおらぬであろう」
王様を見下して悠々と歩く姿はまさに獣の神といった風情だった。
「ちなみにこの扉は私達とロードしか出入り出来ないようになってるので」
と言い残し、さっさと扉を潜る。
その後にロード、ヴェリウスと続いた。
ヴェリウスが喋り終えた後からは、王様は約束通り黙って私達を見送ってくれたのだった。
口がパクパクしていたが、気にしない気にしない。
そして、やっと帰って来ぞ!! 深淵の森へ!!
いや、毎日帰って来てたけどね。気分的にね。
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