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番外編 〜 ぺーちゃん 〜
番外編 〜 教皇の正体4 〜 ノア10歳、アベル5歳
しおりを挟む教皇フェリクス視点
「まじゅ、こーちょくにょ、こーてぃがいきてりゅのも、おかちぃ!」
「皇帝陛下は好色と言われておりますが、私の見た所、あれは皇后陛下にべた惚れですな」
「ちょんにゃこと、どーでもいぃにょ!」
イザベル・ドーラ・ディバインが全ての運命を変えたとしたら、あの悪女に回帰前の記憶があると考えるのが普通だ。
調べた所、ノアも聖女フローレンスも、あの女の手中にある。
「あにょおんにゃ、にゃにしゅるきにゃんだ……」
「ニャンニャンですな」
「うりゅしゃい! くりぇお、ちぇぃじょ、ふりょーれんちゅが、いみゃもちぇぃじょか、ちょちて、にょあと、ふりょーれんちゅが、じょのよーなあちゅかぃ、しゃれてりゅのか、ちらべりゅのだ!」
「猊下、何を喋っておられるか、赤ちゃん言葉すぎて、この爺にはちょっとわかりかねます。もう少しゆっくり教えていただけますかな」
「むきー!!」
このぷにぷにな身体と回らぬ舌が憎い!
とにかく、聖女フローレンスとノアが、あの悪女に良いように利用されているのではないかと疑っているのだ。
酷い扱いをされているかもしれない二人を、私が救わねば、誰が救えるというのだ!
などと思っていたが、その過程でまさか、ノアの弟が聖者だと発覚するとは、思ってもみなかったのだ。
「いっちゃい、どーにゃっていりゅのだー!?」
◇◇◇
「猊下、ノア公子も聖女様も、いきいきとしているように見えましたなぁ」
「おもてみゅきはにゃ!」
「イーニアス皇太子殿下をひと目で気に入られたようですし」
「ぅにゅ!?」
「にー、ちゅきー。でしたかなぁ」
あれは、イーニアス皇太子殿下が、鑑定で素晴らしい人格者だとわかったからだ!
素直で頼りがいもあって、ノアにも引けを取らぬ素晴らしい御人だった。
回帰前、あの方に何があってああなってしまったのか、不思議でならない。
「ぅにゅ……、くりぇお、ぃばいんふじん、じょうだった?」
クレオが以前間近で見たディバイン公爵夫人の印象を聞いてみる。
「少ししか話してはおりませんので、何とも言えませぬが、猊下が言うような悪女にはとても見えませんでした。理性的で優しく、子供の事を一番に考えられているようでした」
クレオが、あの悪女をベタ褒めしているだと!?
「そばには妖精様もお二人、いらっしゃるようでしたし、何より、あの御方からは普通の人間にはない優しい光が、私の目には見えました」
「にゃんだちょ!?」
悪女に妖精が!?
いや、そういえば聖女フローレンスとノアが、あの女には妖精がついているから、元に戻せるとかなんとか言っていた記憶が……。クソッ、回帰前の記憶が一部抜け落ちているのか……よく思い出せん!
やはりイザベル・ドーラ・ディバインに接触し、鑑定してみる他ないだろう。
「くりぇお、やはり、ちきゃぃうちに、ぃばいんこぉちゃくふじんに、あわにゃければ、にゃらにゃい」
待っていろ、悪女イザベル!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イザベル視点
「くしゅんっ」
「奥様、お風邪を引かれたのでしょうか。すぐ医師を呼びますので、ベッドで横になってお待ちください」
「ミランダ、大丈夫ですわ。きっと誰かが噂をしているのよ」
珍しく慌てているミランダを宥め、鼻をかむ。
「もしかしたら、教皇様に噂されているのかしらね」
『タマゴタチ、キク?』
「ふふっ、今は大丈夫ですわ。チロ」
『イツデモ、チロ、タヨッテネ』
「ありがとう」
教皇様は可愛らしい赤ちゃんだと、チロからは聞いたけれど。
頭脳は大人、身体は子供だなんて、どこの名探偵なのかしら。そんな事聞いたら、ますます会ってみたくなりますわ。
「ベル、奴らが動いたぞ」
そんな事を考えていたからだろうか、大司教から、面会の申し出があったことを、テオ様が伝えに来てくれたのだ。
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