継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 アベルとフローレンス 〜

番外編 〜 聖者コンビの大冒険3 〜 アベル5歳、フローレンス8歳

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アベル視点


「もうだいじょぶだよ」
「にゃ~」

ちゆまほーつかって、ネコをなおしたら、ありがとっていうように、ネコがオレのゆび、ペロンってなめたんだ。

「元気になって良かったね」
「うんっ」
『アベル、治癒魔法とっても上手になってた!』
『さすが歴代最強の聖者だよね~!』

えっへん! オレは、おとうさまのこどもだからね! っていったら、ウィルにわらわれちゃった。

「フロちゃん、ひとに、みつかりにくいところ、みつけてくれてありがとう!」
「どういたしまして」
「あのさ、フロちゃん」
「なぁに?」
「ここって、どこなの?」
「うーん、わかんない」

どこにいっても、ひとにであいそうだったから、どこかのおにわへ、こーしのすきまから、かってにはいっちゃったんだけど……。

「はやくでよ……、」
「おい! そこで何してる!」

とつぜん、やりをもったひとにみつかって、どなられたんだ。

こわかったけど、フロちゃんをまもらないとって、まえにでたんだよ。
だってオレ、おとこのこだもん。

「ごめんなさい! まいごに、なったの!!」

おっきなこえで、ごめんなさいってして、りゆーをいったの。そしたら、あやしいっていうおかおを、されちゃったんだ……。

「迷子だと? 今日は子連れの馬車も通っていないはずだが……一体どこの子供だ??」

どーしよう。おそとでおなまえ、いわないほーがいいよね。だってオレたち、ふほーしんにゅうしてるんだもん。

「おじさん……、ここどこですか?」

どーしよう、どーしようってかんがえてたら、フロちゃんが、どなってきたひとに、ここがどこかきいたの。

フロちゃんのこえ、すこしふるえてる……。おかおは、へーきそうなのに。

「皇城に決まっているだろう。お前たちそんな事もわからずここにいるのか?」

え、こーじょー?

「アスおにいさま! ここ、アスおにいさまのおウチだ!!」
「あすおにいさまだと? まぁいい。とにかく、こちらに来てもらおうか」

おじさんが、こっちにちかづいてくる。
おじさんのおかおは、とってもおこってるおかおだ。

きっとオレたちがわるいことしたから、どこかに、うりとばすきなんだ。

オレが、ばしゃにのったから……っ、フロちゃんまで、まきこんじゃった……っ

「ふぇ……っ、ごめんなさぃ……っ」

こわいよぉ……っ、おとうさま、おかあさま、たすけて!

「アベル! フローレンス!!」

そのとき、アスおにいさまのこえが、きこえたんだ!!

「!? 皇太子殿下! 何故こちらに!?」
「ご苦労。この子たちを探していたのだ。よく見つけてくれた。持ち場に戻って良いぞ」
「はっ!!」

おじさんは、すぐにどこかにいっちゃった。
たすかったの?

「アス、おにいさま……?」
「うむ。アベルよ、アカに聞いて驚いたのだぞ。フローレンスと二人で皇城に来たのだろう?」

アスおにいさまが、やさしくわらって、オレのあたまをなでなでしてくれた。

「ふぇ~……っ、お、おで……っ、わるいごと、し、っく、じだ……っ」
「うむ」
「フロちゃんまで……まぎ、まぎこん……っ、ヒック、ごべんなさぃ……っ」
「そうか。アベルは今回の経験で多くの事を学べたのだな。頭の中も、心も、大きくなったのだ」

あたま、なでなでしてくれるけど、オレ、わるいことしたから、なでなで、してもらったらダメなんだ。

「ごべんね、フロちゃん……っ、まもって、あげられなかった……」
「あーちゃん、ちがう……。あーちゃんを、守ってあげないといけないの、私だった。でも、さっきのおじさんがこわくて……うごけなかった……っ」

フロちゃん、ないてる……っ、さっき、ぜんぜんへーきそうなおかお、してたのに。

がまん、してたんだね。

「ごめんなさい。あーちゃん、ごめんなさい……っ」
「フロちゃ……っ」

オレたち、ぎゅってして、たくさんないたんだ。

「……ディバイン公爵、二人とも反省しているようだ。許してやってはもらえないだろうか」
「皇太子殿下……。いえ、今後このような事がないよう、しっかり言い聞かせます」
「うむ……。では、ほどほどにしてやってくれ」
「それは、あの子たち次第です」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



あのあと、フロちゃんはごえーの、オレはおとうさまのうまにのって、おウチにもどったんだ。

オレもフロちゃんも、おかあさまに、すっごくおこられて、ずっとごめんなさいしてたけど、「二人が無事で、本当に良かった……っ」てだきしめられたから、またないちゃったんだよ。

おとうさまにも、おへやによばれて、ぜったいおこられるっておもってたの。でもね……、

「ベルを悲しませる事だけはするな」って、それだけだったの。だからオレ、どーして? ってきいたら、「お前はもう、何が悪い事だったのか、十分理解出来ただろう」って。

うん。オレ、たくさんわるいことしてた。みんなに、しんぱいかけた。ごめんなさい。

「おとうさま、オレ、おとうさまのように、つよくなりたい! たいせつなひとが、なかないように、まもれるように、つよくなる!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



~ おまけ ~


「それで、お前たちはどういうつもりだ」
『アカ、なにもしてない!』
『アオも、なにもしてない!!』
『すいませんでしたー!! ボク、ボク、妖精の性でつい甘やかしちゃうんだよぉ!!』
「…………」
『アカ、ほんのすこし、わるかったかも!』
『アオも、むせんいんしょくのことだけ、ちょっとはんせー!!』
『もう甘やかしません! 本当です!!』
「…………」
『アカ、あやまる! ごめんなさい!』
『アオも!! ゆるして!!』
『ヒィィッ! ごめんなさいっ、ごめんなさい!』


「何も言っておりませんのに、妖精たちが謝罪しておりますわ。さすがテオ様」

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