継母の心得 〜 番外編 〜

トール

文字の大きさ
82 / 186
番外編 〜 ノア3〜4歳 〜

番外編 〜 狙われたイザベル8 〜 ノア4歳、イーニアス5歳

しおりを挟む


「ウェルス様はテオ様と同じように魔力量が多く、何らかの理由で、魔石鉱山に魔力が溜まり、氷の魔法が込められた魔石が出来上がったのではないかと推測いたしますが、その辺りは歴史書にも詳しい事は書かれておりませんし、推測の域を出ませんわ」
「……まさか、先祖の保養地だったとは……」

予想外だとテオ様が息を吐く。

「あの領地がどういった経緯でウィニー男爵に渡ったのかはわからないけど、魔石鉱山が、しかも希少な氷の魔法が込められたものが見つかったとなると、例の貴族と商人の動きが変わるかもしれないわ……」

例の貴族?? 何の事かしら……。

「ウィニー男爵領は何の力も、現当主も未熟で後ろ盾もない。この事が表沙汰になれば恐らく、魔石を手に入れようと画策してくるはずだ。ベルを狙うよりも確実だと考えるだろう」

皇后様とテオ様がよくわからない話をしている。

『テオ! アカ、あのりょーちと、くにで、あばれる!』
『アオも!! めちゃくちゃ、する!!』
「止めろ。そんなことはしなくていい」

あの領地と国?? アカとアオも何か知っているのかしら?

正妖精を見ると、わたくしと同じように首を傾げているので何も知らないようだ。
もしかして、アカとアオが内緒で行動した事と関係があるのかもしれない。

皇帝陛下が悪魔に洗脳されて長いですもの。
その間にリッシュグルス国だけでなく、他国にもグランニッシュ帝国の情報を流す者、通じる者はいたでしょうし……、皇后様もテオ様も、問題は山積みなのだわ。

政治絡みの事は、聞かない方が無難ですわね。

「ベル、君は“氷の魔石”をどのように利用しようと考えている。君の事だから、そのまま売り物にするという考えはないのだろう」

テオ様、わたくしの思考が読めるのかしら!?

「ええ。その通りですわ。“氷の魔石”ならば、いくらでも使い道はございますので、そのままでも構わないのですが、どうせなら特産となるようなものを作るのが良いのではないかと思いますの」

これぞウィニー男爵領の特産品だという代表的なものがあれば、雇用も生まれるのではないかと思いますの。

「それと、ウィニー男爵領は早々にお金を作り、食糧と燃料を備蓄しなくてはなりませんわ。ですから、国が当面の間魔石を買い取り、ウィニー男爵領地の当分の備蓄とし、その間に特産品を作るという流れが良いのではないかと思うのです。魔石に関しては、表だっては国が補助をしているように見えますから、当分は隠しておけますもの」

とはいえ、魔石の採掘を始めてしまえば、人の噂に戸は立てらないと言いますし、時間稼ぎ程度になるでしょうが。

「それしかないわよね……」

皇后様が深い溜め息を吐く。

何だか申し訳ないわ……。

「テオ様、お願いがあるのですが……」
「ベルの願いなら何でも叶えよう」

テオ様が爽やかに微笑んでくださるわ。眩しい!
皇后様は「わが人生に悔いなし!!」などとあのヒャッハーしている人が出てくる漫画の人物のような事を言っていますわ。

「魔道具師を幾人か、ウィニー男爵領に派遣していただきたいのです」
「それは……」

我が領の魔道具師なら優秀な方も多いですし、最近魔道具師になりたい方が増えたと聞きますもの。

「ベル、いくら君の頼みであっても、それは出来ん」
「え……」

わたくしのお願いを叶えられないと辛そうなお顔をされるテオ様と、首を横に振るウォルト。

わたくし、言ってはいけないことを言ってしまったのだわ。

「イザベル様、現在ディバイン公爵家には富が集中している状態なのよ。それをさらに、ディバイン公爵家が他領の魔石産業に手を出してしまえば、貴族の反発どころの話じゃなくなるのよ。最悪、ディバイン公爵は現皇帝の転覆を企んでいると、討伐対象になる危険性も増すの」

人の妬み嫉みは時に戦争を引き起こすのだ、と皇后様は仰った。

「そうですのね……」
「だからこそ、レール馬車は国の事業にしたんだ。ディバイン公爵家が皇族よりも力を持つわけにはいかないからな」

つい最近まで、皇帝派とディバイン公爵派が火花を散らしていたのだから、今は慎重になるべきだと二人は考えているようだ。

そうなると、魔道具師はどうしようかしら……貧乏だと言っていたウィニー男爵領では、魔道具師なんているのかしら??

「ベル、魔道具師に何をさせる気なんだ?」

テオ様はすまなそうに問いかけてくる。

もちろん、氷の魔石を使用した魔道具───


「冷蔵庫やエアコンを作ってもらうのですわ!」


しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】あなたの『番』は埋葬されました。

月白ヤトヒコ
恋愛
道を歩いていたら、いきなり見知らぬ男にぐいっと強く腕を掴まれました。 「ああ、漸く見付けた。愛しい俺の番」 なにやら、どこぞの物語のようなことをのたまっています。正気で言っているのでしょうか? 「はあ? 勘違いではありませんか? 気のせいとか」 そうでなければ―――― 「違うっ!? 俺が番を間違うワケがない! 君から漂って来るいい匂いがその証拠だっ!」 男は、わたしの言葉を強く否定します。 「匂い、ですか……それこそ、勘違いでは? ほら、誰かからの移り香という可能性もあります」 否定はしたのですが、男はわたしのことを『番』だと言って聞きません。 「番という素晴らしい存在を感知できない憐れな種族。しかし、俺の番となったからには、そのような憐れさとは無縁だ。これから、たっぷり愛し合おう」 「お断りします」 この男の愛など、わたしは必要としていません。 そう断っても、彼は聞いてくれません。 だから――――実験を、してみることにしました。 一月後。もう一度彼と会うと、彼はわたしのことを『番』だとは認識していないようでした。 「貴様っ、俺の番であることを偽っていたのかっ!?」 そう怒声を上げる彼へ、わたしは告げました。 「あなたの『番』は埋葬されました」、と。 設定はふわっと。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

皆さん勘違いなさっているようですが、この家の当主はわたしです。

和泉 凪紗
恋愛
侯爵家の後継者であるリアーネは父親に呼びされる。 「次期当主はエリザベスにしようと思う」 父親は腹違いの姉であるエリザベスを次期当主に指名してきた。理由はリアーネの婚約者であるリンハルトがエリザベスと結婚するから。 リンハルトは侯爵家に婿に入ることになっていた。 「エリザベスとリンハルト殿が一緒になりたいそうだ。エリザベスはちょうど適齢期だし、二人が思い合っているなら結婚させたい。急に婚約者がいなくなってリアーネも不安だろうが、適齢期までまだ時間はある。お前にふさわしい結婚相手を見つけるから安心しなさい。エリザベスの結婚が決まったのだ。こんなにめでたいことはないだろう?」 破談になってめでたいことなんてないと思いますけど?  婚約破棄になるのは構いませんが、この家を渡すつもりはありません。

処理中です...