継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜

番外編 〜 狙われたイザベル1 〜 ノア4歳、イーニアス5歳

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??視点


「───新素材に新型馬車、そしてレール馬車に娯楽施設、その他にも画期的な開発をし、販売しているディバイン公爵家とシモンズ伯爵家……、その全てに、一人の人物が関わっている」
「なんと!? して、その人物とは……?」
「イザベル・ドーラ・ディバイン。ディバイン公爵の妻であり、シモンズ伯爵家の長女。そして、あの『ベル商会』の会長だ」
「では、そのイザベル公爵夫人を……?」
「手に入れなければ、我らに未来はない───」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



イザベル視点


最近、外出すると視線を感じるようになった。
ディバイン公爵家の紋章が入っていない馬車を使用しているというのにだ。

それもこれも、親方たちがおかしな像を立てたからに他ならない。

あれが庶民街の広場に建てられてから、街に行けば皆が見てくるようになったのですわ……!

なんですのあの女神像!?

女神様の像を建てたいという事だから許可したとウォルトから聞きましたけど、わたくしてっきり、教会にあるような、風の女神様の像だと思っていましたのよ。ディバイン公爵領だから、風と水の神の像を建てるのかしら。なんて思っていたら……、

なぜわたくしをモデルにしましたの!?

「ハァ……、何だか慣れませんわ」

外出の度に視線にさらされると、胃がチクチクしてきますの。悪女顔の女神像とか笑えませんもの。

「おかぁさま、おなか、いたた? だいじょぶ?」

今日は外出せず、大人しく邸にいたのだけど、思い出して胃を押さえいたら、愛息子に心配されてしまった。

ノアは、黒蝶花の解毒の際に、わたくしがお腹を壊した事が記憶に刻まれているのか、お腹を押さえると、腹痛を起こしたと思うようになってしまったのよ。

「ノア、大丈夫よ。お腹は痛くありませんわ」
「おなか、おてて、あててりゅのよ?」

心配そうに見上げてくる息子を抱き上げる。

あら、昨日よりも少し重くなったかしら? 背も高くなった? なんて、そんなわけはないのだけど、抱っこする度そう思ってしまうのよね。

「おかぁさま、おげんき?」
「ええ、元気いっぱいですわ!」
「わたち、おかぁさまとおにわ、いきたいの」
「じゃあ、お庭に行きましょう。デュークとナラも触らせてもらいましょうか」
「はい! でゅーくと、なりゃ、さわりゅの!」

そんな他愛のない話をしながら、二人で庭に出る。

『ベル! ノアー! 聞いてよー!! ボク最近アカとアオに除け者にされてるんだ! 今日だって、連れて行ってくれなかったし、酷いよねっ、酷すぎるよね!?』

外に出た途端、正妖精が泣きながら突撃してきたのだ。

そういえば、今日はアカとアオの姿を見てないと思っていたけど、どこかに出掛けているのかしら?

「のけもの、めっね!」
『そうなんだよノア! アカとアオをめっしてよー!!』
「はい! めっ、ちてあげりゅの!」

あらあら、ノアがアカとアオに「めっ」する気満々ね。

「それで、アカとアオはどこに行ったのかしら?」
『それも教えてくれないから困ってるのさ! ボク、妖精王なのに!』

ぷんぷんしながら、ぐるぐる飛び回る正妖精に呆れながら、デュークとナラの所へ向かう。正妖精も付いてくるので、今日はわたくしたちと一緒に過ごすらしい。

「でゅーく、なりゃー!」
「ワンッ」
「ウォンッ」

ノアが名前を呼ぶとすぐにやってくるデュークとナラは、千切れそうなほど尻尾を振って、ノアに飛びつい……あら、急ブレーキをかけましたわ。もしかして、ノアを驚かさないように気を使ったのかしら。

『あー、怖い顔の犬だ!』
「ワンッ」
「ウォンッ」

妖精が見えるのか、正妖精の言葉に反応して吠えると、正妖精はわたくしの後ろにサッと隠れる。

妖精って犬が苦手なの?

『犬って、突然飛びついてくるから、ちょっと苦手なのさ……』
「あら、デュークとナラはとても賢いのよ。ノアにも飛びつかなかったでしょう」
『そうだけど……顔が怖くない?』

それはわたくしも思っていたけれど。

「フフッ、くすぐったいのよ!」
「ワンッ」
「ウォンッ」

まぁ、ワンちゃんと戯れるわたくしの息子、可愛いわぁ。

『やっぱり怖い顔だね』
「ノアと戯れる二匹は可愛らしいですわ。あなたも触ってみらたどうかしら?」
『ぅう……、ボクは遠慮しておくよ』

正妖精、やっぱり犬が苦手なのかもしれませんわ。
アカとアオは平気のようですけれど。

「おかぁさま! でゅーくと、なりゃ、おさんぽちたいの!」
「ノアがお願いすれば、デュークとナラも付いてきますわ」
「はい! でゅーく、なりゃ、わたちと、おさんぽちよ?」
「ワンッ」
「ウォンッ」

今日も我が家は、平和ですわ。

そう、思っていたのだけれど───

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