継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜

番外編 〜 イザベル式魔力コントロール法 〜 ノア4歳、イザベル妊娠発覚前

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テオバルド視点


「ノア、お前がベルに習ったという魔力コントロール法を私に見せてもらいたい」
「はい!」

私の息子は4歳にして、すでに魔法が使える。
ベル曰く、以前教会に連れて行った時に、祈りを捧げた際、光っていたという事から、祝福の儀と同じような事が起こり、魔法が使用出来るようになったのだろう。

さらに、ベル独自の魔力コントロール法が精度を高め、4歳児にして大人並みのコントロール力が身に付いたと考えられる。
イーニアス殿下も、ノアと共にそのコントロール法を学んだという事で、今や大人顔負けのコントロール力を誇っている。

天才児だと評価を上げ、貴族からも民からも皇太子として期待されているのだから、結果的には良かったのだろうが、私の妻こそが本当の天才だと思わずにはいられない。

「さいしょ、かりゃだのなかの、まりょく、かんじて……。おへしょ、あったかよ。そちたりゃ、あたまのうえ、おててのしゃき、あちのしゃき、ぜんぶあったかなのよ」

息子は慣れたように身体に魔力を巡らせ、それを手のひらへと集めた。

「おてて、あちゅめて、ちっちゃくね、まんまるにしゅる……そちて、りょーほおのおててで、ちゅちゅむの」

単純なやり方ではあるが、最初に魔力を巡らせる事で、自在に操る感覚を身につけ、身体を魔力に馴染ませるという事か……。

「ノア、手に出した魔力を消す事は可能か」
「けしゅ……ちたことないの」
「ふむ、魔力コントロールが出来るのであれば、試してみる価値はあるだろう……。ノア、その手に集めた魔力を、少しずつ放出し、小さくしていくのだ」
「ちっちゃく……」
「違う。それでは高密度の魔力の塊になってしまう。そうではなく、魔力を外へ流すのだ」
「ながしゅ……」

ノアは私の言葉通り少しずつ、魔力を放出し始める。

「上手いぞ。その調子だ」
『上手、上手~』
『ノア、ガンバレー!』
『イーチョーシ!!』

いつの間にかやって来た妖精たちも応援している。
そして、ノアはゆっくりと全ての魔力を放出し、高密度の魔力の塊を見事に消したのだ。

「ここまでコントロールが出来るとはな」

我が息子ながら、とんでもない才能だ。

『ノア天才だね!』
『アスモテンサイ!』
『ノアスゴーイ!!』

妖精たちがノアに群がり、ノアがそれに応えるように「わたち、やれた!」と胸を張っている。

待て。いつからノアは妖精の姿が見えていた!?
あの妖精共の仕業か……。まぁいい。いつかやらかすだろうとは思っていた。それよりも、

「効率的な魔力コントロール法だ。ノア、ベルは他にどのような事を教えてくれたんだ?」
「えっとね、ひかりゅの! ピカッちたら、めがーって、なりゅのよ!」
「?」
「あとね、えほんの、バーンッてしゅるのと、おしょらとぶの!!」
「?? よくはわからんが、一つずつやって見せてくれ」
「はい!」

実践してもらったが、ノアの言う光る魔法は、ただのライトの魔法を目潰しに使うという意味だった。そしてバーンッというのは、イーニアス殿下が祝福の儀の後に見せたあの魔法の氷版で、空を飛ぶというのは、風魔法を身体の周りに纏わせる事だったのだ。最後だけは全く飛べていなかった。

「ふむ……、最後の風魔法は改良の余地がありそうだ」
「おしょら、とびたいの!」
『僕ら飛べるよ』
『アカトベルー!』
『アオモトベルー!!』

妖精共は黙れ。

「足下に風を纏わせるとなると、バランスを取るのが難しそうだ。まずは座って、風を纏わせるのはどうだろうか……」
「しゅわるの。……かぜ、ちたから、しゅじゅちぃのよ」
「風が弱いのだろうが、あまり強くしすぎると飛ばされてしまうからな……」
『テオがノアの手を持って支えたら良いんじゃない?』
『トランポミターイ!』
『トランポ、イツモノア、カミラガササエル!!』

ああ、あのジャンプをする遊具か。
なるほど、コイツらの話も一理あるな。

「ノア、私が手を掴んでおくから、さっきよりももう少し強く風を出してみるんだ」
「はい!」
「……そのまま少しずつ風を強くしていく……そうだ」

ノアが風の強さを必死でコントロールし、ついに、

「浮いた!」
「おとぅさま、わたち、とんでりゅ!」

地面から数センチだが浮いている。しかし飛んではいない。

風魔法はコントロールが難しく、結局その日は数センチ浮くのがやっとだった。

「もっと、シューッてとびたいの。おとぅさま、おてちゅだいちて?」

その日から何故か私は、ノアが空を飛ぶための訓練に付き合わされたのだった。

私は一体何をやっているのだろうか。まぁ、息子が楽しそうだから、いいのか?


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