53 / 186
番外編 〜 ノア3〜4歳 〜
番外編 〜 イザベル式魔力コントロール法 〜 ノア4歳、イザベル妊娠発覚前
しおりを挟むテオバルド視点
「ノア、お前がベルに習ったという魔力コントロール法を私に見せてもらいたい」
「はい!」
私の息子は4歳にして、すでに魔法が使える。
ベル曰く、以前教会に連れて行った時に、祈りを捧げた際、光っていたという事から、祝福の儀と同じような事が起こり、魔法が使用出来るようになったのだろう。
さらに、ベル独自の魔力コントロール法が精度を高め、4歳児にして大人並みのコントロール力が身に付いたと考えられる。
イーニアス殿下も、ノアと共にそのコントロール法を学んだという事で、今や大人顔負けのコントロール力を誇っている。
天才児だと評価を上げ、貴族からも民からも皇太子として期待されているのだから、結果的には良かったのだろうが、私の妻こそが本当の天才だと思わずにはいられない。
「さいしょ、かりゃだのなかの、まりょく、かんじて……。おへしょ、あったかよ。そちたりゃ、あたまのうえ、おててのしゃき、あちのしゃき、ぜんぶあったかなのよ」
息子は慣れたように身体に魔力を巡らせ、それを手のひらへと集めた。
「おてて、あちゅめて、ちっちゃくね、まんまるにしゅる……そちて、りょーほおのおててで、ちゅちゅむの」
単純なやり方ではあるが、最初に魔力を巡らせる事で、自在に操る感覚を身につけ、身体を魔力に馴染ませるという事か……。
「ノア、手に出した魔力を消す事は可能か」
「けしゅ……ちたことないの」
「ふむ、魔力コントロールが出来るのであれば、試してみる価値はあるだろう……。ノア、その手に集めた魔力を、少しずつ放出し、小さくしていくのだ」
「ちっちゃく……」
「違う。それでは高密度の魔力の塊になってしまう。そうではなく、魔力を外へ流すのだ」
「ながしゅ……」
ノアは私の言葉通り少しずつ、魔力を放出し始める。
「上手いぞ。その調子だ」
『上手、上手~』
『ノア、ガンバレー!』
『イーチョーシ!!』
いつの間にかやって来た妖精たちも応援している。
そして、ノアはゆっくりと全ての魔力を放出し、高密度の魔力の塊を見事に消したのだ。
「ここまでコントロールが出来るとはな」
我が息子ながら、とんでもない才能だ。
『ノア天才だね!』
『アスモテンサイ!』
『ノアスゴーイ!!』
妖精たちがノアに群がり、ノアがそれに応えるように「わたち、やれた!」と胸を張っている。
待て。いつからノアは妖精の姿が見えていた!?
あの妖精共の仕業か……。まぁいい。いつかやらかすだろうとは思っていた。それよりも、
「効率的な魔力コントロール法だ。ノア、ベルは他にどのような事を教えてくれたんだ?」
「えっとね、ひかりゅの! ピカッちたら、めがーって、なりゅのよ!」
「?」
「あとね、えほんの、バーンッてしゅるのと、おしょらとぶの!!」
「?? よくはわからんが、一つずつやって見せてくれ」
「はい!」
実践してもらったが、ノアの言う光る魔法は、ただのライトの魔法を目潰しに使うという意味だった。そしてバーンッというのは、イーニアス殿下が祝福の儀の後に見せたあの魔法の氷版で、空を飛ぶというのは、風魔法を身体の周りに纏わせる事だったのだ。最後だけは全く飛べていなかった。
「ふむ……、最後の風魔法は改良の余地がありそうだ」
「おしょら、とびたいの!」
『僕ら飛べるよ』
『アカトベルー!』
『アオモトベルー!!』
妖精共は黙れ。
「足下に風を纏わせるとなると、バランスを取るのが難しそうだ。まずは座って、風を纏わせるのはどうだろうか……」
「しゅわるの。……かぜ、ちたから、しゅじゅちぃのよ」
「風が弱いのだろうが、あまり強くしすぎると飛ばされてしまうからな……」
『テオがノアの手を持って支えたら良いんじゃない?』
『トランポミターイ!』
『トランポ、イツモノア、カミラガササエル!!』
ああ、あのジャンプをする遊具か。
なるほど、コイツらの話も一理あるな。
「ノア、私が手を掴んでおくから、さっきよりももう少し強く風を出してみるんだ」
「はい!」
「……そのまま少しずつ風を強くしていく……そうだ」
ノアが風の強さを必死でコントロールし、ついに、
「浮いた!」
「おとぅさま、わたち、とんでりゅ!」
地面から数センチだが浮いている。しかし飛んではいない。
風魔法はコントロールが難しく、結局その日は数センチ浮くのがやっとだった。
「もっと、シューッてとびたいの。おとぅさま、おてちゅだいちて?」
その日から何故か私は、ノアが空を飛ぶための訓練に付き合わされたのだった。
私は一体何をやっているのだろうか。まぁ、息子が楽しそうだから、いいのか?
2,465
あなたにおすすめの小説
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】あなたの『番』は埋葬されました。
月白ヤトヒコ
恋愛
道を歩いていたら、いきなり見知らぬ男にぐいっと強く腕を掴まれました。
「ああ、漸く見付けた。愛しい俺の番」
なにやら、どこぞの物語のようなことをのたまっています。正気で言っているのでしょうか?
「はあ? 勘違いではありませんか? 気のせいとか」
そうでなければ――――
「違うっ!? 俺が番を間違うワケがない! 君から漂って来るいい匂いがその証拠だっ!」
男は、わたしの言葉を強く否定します。
「匂い、ですか……それこそ、勘違いでは? ほら、誰かからの移り香という可能性もあります」
否定はしたのですが、男はわたしのことを『番』だと言って聞きません。
「番という素晴らしい存在を感知できない憐れな種族。しかし、俺の番となったからには、そのような憐れさとは無縁だ。これから、たっぷり愛し合おう」
「お断りします」
この男の愛など、わたしは必要としていません。
そう断っても、彼は聞いてくれません。
だから――――実験を、してみることにしました。
一月後。もう一度彼と会うと、彼はわたしのことを『番』だとは認識していないようでした。
「貴様っ、俺の番であることを偽っていたのかっ!?」
そう怒声を上げる彼へ、わたしは告げました。
「あなたの『番』は埋葬されました」、と。
設定はふわっと。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
皆さん勘違いなさっているようですが、この家の当主はわたしです。
和泉 凪紗
恋愛
侯爵家の後継者であるリアーネは父親に呼びされる。
「次期当主はエリザベスにしようと思う」
父親は腹違いの姉であるエリザベスを次期当主に指名してきた。理由はリアーネの婚約者であるリンハルトがエリザベスと結婚するから。
リンハルトは侯爵家に婿に入ることになっていた。
「エリザベスとリンハルト殿が一緒になりたいそうだ。エリザベスはちょうど適齢期だし、二人が思い合っているなら結婚させたい。急に婚約者がいなくなってリアーネも不安だろうが、適齢期までまだ時間はある。お前にふさわしい結婚相手を見つけるから安心しなさい。エリザベスの結婚が決まったのだ。こんなにめでたいことはないだろう?」
破談になってめでたいことなんてないと思いますけど?
婚約破棄になるのは構いませんが、この家を渡すつもりはありません。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる