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番外編 〜 オリヴァーの婚約者選び2 〜
しおりを挟む後日皇后様から送られてきた手紙には、招待候補者たちの名前、年齢、特徴や性格、家柄などが書かれたリストが添付されており、皇后様の情報網のすごさに改めて驚かされた。
「これは……素晴らしいですね。家門の情報は調査済みですが、令嬢個人の事となると私共でも骨が折れますので、助かります」
とはウォルトの言葉だ。
招待候補の年齢は下は3歳から上は16歳までと幅広く、リストの中にはあのブルネッラちゃんの名前も載っていた。
ブルネッラちゃんは、前前世ではノアを好きになったのだけど、今世では今のところ仲の良いお友達なのよね。
「というか……、幼児を候補にするのはどうなのかしら……」
「奥様、今は例え幼児といえども、オリヴァー様がシモンズ伯爵家を継ぐ頃には立派な淑女でございますよ。それに、旦那様と奥様の年の差はもっと大きいです」
うっ、それを言われると何も言えなくなるのだけど……。
「まぁいいですわ。ウォルト、この中で問題のある方はいらっしゃらないとは思うのだけど、確認をお願いね。精査した後、お父様にリストを送ってちょうだい」
「かしこまりました」
◇◇◇
こうして、オリヴァーのお見合いパーティー当日を迎えたのだ。
ディバイン公爵家のお邸に比べると小さめだが、それでも貧乏貴族だったシモンズ伯爵家からすると、十分大きなこのタウンハウスは、新素材の事業が軌道に乗る前に、テオ様が用意してくださったものなのよね。
そこに何故、わたくしとテオ様、ノアも居るのかというと、皇女様が来ると知った父が怖気づき、わたくしたちにオリヴァーのフォローを頼んだからに他ならないのよ。
「もう、お父様ったら。テオ様、お手を煩わせてしまって申し訳ありませんわ」
「ベル、私は義父上に頼られて嬉しいと思っている。愛する君の父上なのだから」
「テオ様……」
わたくしの旦那様、何て優しいのかしら。
「ベル……いつも美しいが、着飾った君はさらに美しくて、周りが霞んでしまうな」
「もうっ、そんな事言われると恥ずかしいですわ」
テオ様ったら、自分の方が美しいのにいつもわたくしを褒めてくださるのよね。
「おかぁさま、おじさま、おたんじょおび?」
ノアが可愛いお顔をこちらに向け、首を傾げる姿が萌え……ゲフンッ。
「ふふっ、お誕生日ではありませんのよ。そういえば、ノアはお誕生日パーティーしか参加した事ありませんでしたわね」
「おたんじょおび、ちがう?」
「そうなの。今日は……お友だちを作りましょうっていうパーティーなのよ」
「おともだち!」
お友達=遊ぶという構図のノアは、すっかりおもちゃや遊具で遊べると思っているようだ。
「あっ、ブルちゃん!」
瞳を輝かせたノアが、わたくしの手を引いて移動を始める。
あらあら、お友達を見つけてもわたくしを一緒に連れて行こうとする所は、まだまだ甘えん坊さんね。
「ぁ……ノアちゃん」
「ブルちゃん!」
ノアが嬉しそうに話しかけたのは、ブルちゃんこと、かませ犬令嬢のブルネッラちゃんだった。
「ベルしゃ、さま……おひさしぶりでしゅ」
もうすぐ4歳のブルちゃんは、ご挨拶もきちんと出来るようになっている。
やっぱり子供の成長って早いのね。
「ブルちゃん、お久しぶりですわね。今日はブルちゃんとテディはお揃いのドレスですのね! とっても素敵ですわ」
薄紫と水色のグラデーションの、プリンセスラインの可愛らしいドレスを抱きしめているテディにも着せていて、そのお揃いコーデがとても可愛らしい。
「はぃ……テディ、いつも……おそろい、でしゅ」
く……っ、かわい……っっ
「ブルちゃん、とってもかわいいのよ!」
「ありがと……ノアちゃんも、かわいい……」
ノアったら、さらりと女の子を褒める事が出来るなんて……将来が恐ろしいわね。
「ベルさまも……かわいい」
「まぁ! ありがとう存じますわ」
ブルちゃんが恥ずかしがりながら言ってくれた言葉に、ノアが胸を張っているのがなんとも……っ。
この子たち、わたくしを悶え殺す気かしら。
ノアとブルちゃんが仲良くお話ししている中、お父様とオリヴァーに挨拶を済ませた皇后様が、10歳前後の女の子を連れてこちらへとやって来る。
「イザベル様、あなたたちも来ていたのね」
「皇后様、ご機嫌麗しく……」
皇后様が連れているという事は……
「紹介するわね。この子は第一皇女のエリザベスよ」
やっぱり!
赤茶の細かいウェーブがかった髪で、皇帝陛下に似たお顔をされている可愛らしい皇女様は、わたくしの事を興味津々に見ている。
「第一皇女殿下、お初にお目にかかります。イザベル・ドーラ・ディバインと申します」
「っ……わた、私、エリザベスと申します!! あの、ずっとディバイン公爵夫人のファンだったんです!!」
はい?
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