継母の心得

トール

文字の大きさ
360 / 369
第二部 第5章

573.表裏一体

しおりを挟む


「ベル、実は私もずっと疑問に思っていた事がある」
「テオ様?」

オリヴァーに、お姉様は何を言っているのか、と自分を見られたからか、テオ様が口を開く。

「王女たちの裏切りや、私たちがこの屋敷に居る事を、二代目はロギオン国王に報告するそぶりも見せなかった。義父上の性格を無視したような話し方を貫き、ノアに冷たい態度をとった事も、部屋から出てこず、堂々と日記を見ていた事も、影のいるディバイン公爵家において、迂闊すぎる行動だ」

テオ様が言うように、二代目の話し方や行動がおかしかったから、わたくしは憑依に気付けましたわ。

「まるで、憑依という得意魔法に気付かせようとしていたようだ」
「それではやはり⋯⋯」

二代目は、ロギオン国王から解放されたかった⋯⋯いえ、わざと憑依を見せたのなら、彼は父親を、止めたかった⋯⋯?

「閣下⋯⋯いえ、お義兄様。それでは二代目は、お姉様の作戦も、僕が寝たふりをしていた事も全部知った上で⋯⋯!?」
「ああ。だからあの時、わざわざ乗っ取りを宣言したのだろう」
「その人を、お姉様は浄化したのですね」

弟がわたくしを横目で、浄化しても良かったんですか⋯⋯というように見てくるのだけど、浄化以外に方法がありまして!?

「その浄化だが、ベル」

まさかテオ様まで、浄化したらダメだったと仰いますの!?

「浄化時に、闇魔法が発動したようだが、何をしたんだ?」
「え、あ⋯⋯わたくしも何がなんだか⋯⋯、ただ魔石を起動する為に、魔力を込めただけですのよ?」
「⋯⋯起動する際、何を考えていたか覚えているだろうか」

何をって⋯⋯

「フロちゃんから込めてもらった治癒魔法は、魂の傷を治して、浄化魔法は魂の汚れを綺麗にするという事しか⋯⋯」
「ベル、光属性の魔法は器の外傷や汚れを綺麗にする事は出来るが、精神⋯⋯魂には作用しない」

え?

「精神に作用する属性は、闇のみだ」
「ま、待ってくださいまし! 先代の聖女は、悪霊を除霊しましたのよ!?」
「おそらく光魔法では、魂の傷や汚れはそのままに、強引に輪廻の輪に蹴り出すのだろう」

蹴り出す!? 強引って、聖女のイメージが崩れそうなのですけれど⋯⋯

「お義兄様、魔石を起動する為の魔力注入で、お姉様が考え事をしながら注入作業をしただけで、魔法が展開されるなど考えられません。そんな事が可能なら、相当な数の事例が上がってくるはずです」

オリヴァーがもっともな事をテオ様に言挙げすると、テオ様はその通りだと頷きわたくしを見る。

「それは、ベルの属性に関係あるのだろう」
「わたくしの属性に?」
「ああ。光属性と闇属性は稀少な属性だというのは有名だが⋯⋯」

オリヴァーとわたくしに交互に目をやると、テオ様は説明をしようとしたのだが⋯⋯

『あのさ、光と闇は一見正反対に思えるでしょ? でも実際は、光があるから闇が出来るよね』

なーたんに台詞を取られ、口を噤んだ。

なーたんの存在を忘れておりましたわ⋯⋯

『だから表裏一体なわけなのさ。それでね、人間にはあまり知られていないけど、実は光と闇の神は双子の兄妹なんだよ』

まぁっ、そうでしたの? それは初耳ですわね。

『そんな表裏一体の特性を持つの二つの属性が掛け合わさると、今回みたいな事が起きてもおかしくはないと思うよ』

なるほど。と納得していたのだけど、オリヴァーにはなーたんが見えないものだから、何でお義兄様はいきなり黙るのか、何でお姉様は一人で納得しているのか、と突っ込まれてしまいましたわ。

テオ様はというと⋯⋯

「テオ様、機嫌を直してくださいませ」
「⋯⋯私は不機嫌になってはいない」

こんなに眉間にシワを寄せて、不機嫌じゃないなんて嘘、通じませんわよ。

しおりを挟む
感想 11,982

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート ☆書籍化 2026/2/27コミックス3巻、ノベル8巻同時刊行予定☆ ノベル8巻刊行前に8巻に掲載される番外編を削除予定です。何卒よろしくお願いいたします】

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。