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第二部 第4章
510.士気を上げる
しおりを挟むあの穏やかで優しいノアが、かなり怒っておりますわ。けれど、可愛らしい声でぷんぷんって、天使すぎですわよ。
『ぷんぷんって、ノア、何がありましたの?』
『おかぁさま、あすでんか、ないてりゅの』
もしかして、イーニアス殿下の目の前で皇后様が拐われましたの!?
『わたちもぅ、ぷんぷんなのよ!』
『ノ、ノア、落ち着いて……』
『おかぁさま、こーごーさま、たしゅけて、さりゃ、さらったちと、めっ、するのよ!!』
ノア、可愛いけれどね本当に落ち着いてちょうだい。
すぐにでも転移してきそうな勢いの声が、頭に響く。どうにか落ち着かせなくては、こんな危険な場所にノアが来てしまうのだ。
『ふりょ、めっしゅりゅ!』
フロちゃんまで!?
『ぺぇちゃ、みょ!』
『ぐす……っ、は、ははうえを、だず……ぐ、たす、ける……っ』
ぺーちゃんにイーニアス殿下まで、こちらに来る気でいますの!? ぺーちゃんは王女のターゲットの一人のようだし、子供たちに何をするかわからない人たちの前に、突然姿を現したりしたら、転移出来る事も知られて大変な事になる予感がしますわ!
『ノア、めっ、するのはお父様に任せた方がいいのではなくて?』
『おかぁさま、アスでんか、いちばん、なかよち!』
『え、ええ。そうですわね……』
『だから、わたち、めっ、しゅるの!』
ダメだ。こうと決めたら曲げない所はテオ様にそっくりではないか。
『おかぁさま、ノアもイーニアス殿下も、ぺーちゃんやフロちゃんも危険な目に遭わせたくはないのよ』
『だいじょぶよ。わたち、ちゅよーい!』
恐らく、手を掲げているのではないか、と想像が付くような自信満々の声だ。
『ちゅおーい!』
『ぅにょーぃ!』
『ぐす……っ、づよい、のだぞ』
ノアが今までよりも大きく声を上げると、子供たちが次々と声を上げていくではないか。
すっごく可愛いけれど、子供たちの士気を増々高めてしまっている。
「───エリス、子供が見当たらない……。子供の侍女もいないから、どこかに逃げられた……」
突然すぐそばで知らない女性の声が聞こえてきて、驚き身体が跳ねる。すぐに周りを見渡すが、姿が見えない。
『奥様、姿を消すような特異魔法の使い手かもしれません』
ステルス魔法!? そんな魔法を使われたら、侵入され放題じゃない!
『気配は感じますので、影が気付かないのは不自然です。恐らく、姿くらましたまま王女のそばに付いており、王女が警戒心をなくした後に、屋敷の中を自由に嗅ぎ回っていたのでしょう……』
わたくし、気配とか全くわかりませんわ。さすが訓練した人は違いますのね。
『という事は、王女が警戒心を無くす魔法、あの大男が地面の中を移動する魔法、そして姿をくらます魔法を使う女性……なら、拘束魔法をあの侍従が使いますの!?』
あら、でも正妖精は侍従の特異魔法について、風味がある言い方をしておりましたわよね……?
「……ならば皇后と公爵夫人だけでいい。皇后さえ手に入れば、いつでも侵入できるからな」
王女が姿の見えない相手に話している言葉に、血の気が引いた。
え……? まさか、皇后様が転移を使える事がバレておりますの!?
皇后様を見れば目が合い、僅かに頷いたように見えた。
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~ お知らせ ~
いつも【継母の心得】をお読みいただきありがとうございます。
数日ぶりに更新できました! 大変お待たせいたしました。
楽しみに待ってくださっていた読者様、いつもコメントをくださる皆様、応援してくださる皆様、本当に感謝いたします。
11/22にコミックス【継母の心得1】と、ノベル【継母の心得5】が同時刊行する事が決定いたしました!
読者の皆様、引き続きノベルの美麗なイラストを描いてくださいましたノズ様、コミカライズを魅力的にパワーアップさせてくださった、ほおのきソラ様、藤丸豆ノ助様、担当編集者様、そしてこの作品に携わってくださった皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。
予約をすでにしてくださった読者様もいらっしゃるかもしれませんが、告知させていただきました。
書き下ろしももちろんありますので、皆様に楽しんでいただけますと嬉しいです。
今後とも、【継母の心得】をよろしくお願いします。
※11月の更新も引き続き、土日祝をお休みさせていただきます。
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