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第二部 第3章
483.首脳会議の始まり〜 ネロウディアス皇帝視点 〜
しおりを挟む皇帝ネロウディアス視点
マズイのだ。これはマズイのだぞ。
「ネロウディアス皇帝……ご無沙汰しておりますな」
「いつ来ても、この皇城だけは歴史を感じさせる趣です」
「ネロウディアス帝は……ああ、そういえば、あまり美術品にはご興味がなかったでしたかなぁ」
朕を虫を見るような目で、嫌そうに挨拶してくる各国の王たち。言葉の端々にチクリと刺すような嫌味が見え隠れ……いや、この者らは隠す気がないのだ!
「んっふ! ネロウディアス帝は、わらわと同じで絵や壺よりも宝石がお好きでしたでしょう。お好みのものを手土産に持参しましたわぁ」
そんなもの、要らぬのだ……。朕はイーニアスや子供たちの描いてくれる絵が好きだし、宝石は、レーテが付けねば綺麗だとは思えぬ。
それよりも、ヤバいのだぞ……。朕は……朕は、
この者らの事を全く覚えておらぬのだ!!
一年に一回、会議で会っていたらしいが、そんなもの、悪魔に操られていた朕からしてみれば、全く記憶にない!
愛する妻子の事ならば、覚えている事も多いが、他は全く、全く、覚えておらぬのだ。
ちなみにこの、宝石が好きだと宣言している者は、り、リオ……いや、ベオ……うーん、レロラ? みたいな感じの名前の女王で、十本の指全てに大きな宝石の付いた指輪をして、首には重そうなネックレスを何重にもぶら下げているのだ。
「フォッフォッフォッ、わしは黄金が一番好きじゃあ」
「あらぁ、黄金はわらわも大好き! んっふふ、アリエット王とも気が合いそうねぇ」
いやいや、そなたらと朕を一緒にするのは止めるのだ!
見ろ! 他の王らのあの軽蔑しきった目を!!
アリエッティ? 王というのは、70代くらいの見た目のおじいさんで、黄金の入れ歯をしている、なんとも眩しい存在感を放つ者だ。
「あらぁ、ビオラ女王、アリエット王、夫は宝石が特に好きというわけではなくってよ!」
ドン引きしていた朕の後ろから、オホホッ、と可愛らしい笑い声が耳に届く。
この声は……!
「……? あなた、どなたかしら」
「ビオラ女王、たった一年足らずでお忘れになったのかしら。アタクシの事を」
振り向けば、赤いドレスを纏った太陽のように輝く妻の姿が在った。
なんて美しいのだろう……っ
「だから、あなたは誰なの? わらわは一国の女王。失礼は許さなくってよ」
「失礼なのはビオラ女王ではなくって? アタクシは、グランニッシュ帝国の皇后、マルグレーテ。何度もお会いした事がありますわよね」
「な!? あなたが、あの厚化粧……っ、いえ、あのマルグレーテ皇后ですって!?」
そうか。レーテのこの美しい姿で首脳会議は、初めてだったのだな。朕は厚化粧であろうと、化粧がなかろうと、レーテならばすぐにわかるし、美しいと思っているが、それにしてもビオなんとか女王とやらは、少し失礼ではないだろうか。
グランニッシュ帝国は、客観的に見て、ここにいるどの国よりも大きな力を持った国なのだ。領土も軍事力も、政治的な力も圧倒的大国がこのグランニッシュ帝国なのだぞ。いくら一国の王といえど、その大国の皇后に、厚化粧などと口に出すなど、あってはならぬだろう。
朕は少しカチンときたのだ。朕のレーテは、皇帝よりも偉いのだぞ!
「んっふふ、随分とお変わりになったようねぇ」
「おおっ、マルグレーテ皇后は良い身体ゴホン、スタイル……素地が良いとは思っておったが、かように麗しい方だったとは!」
おいっ、朕のレーテをそのように下卑た目で見る事は許さぬぞ!
「皆、席に着いてくれ!」
愛妻をエロジジイの目から守る為、会議開始の号令をかける。
グランニッシュ帝国が主催国で良かったのだ。
あまり良い雰囲気とは言えぬが、レーテのお陰で覚えていない事も相手にバレずに済んだ。さすが朕のレーテなのだ。
「ネロ、失敗するんじゃないわよ」
「ぅ、ぬ……」
圧がすごいのだぞ!?
「で、では、中央諸国首脳会議を始めるのだ」
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