継母の心得

トール

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第二部 第3章

468.子供たちのためのお祭り

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結局お祭りは、人混みを少し歩いた程度で、これ以上は妊婦のわたくしと、子供たち、そして体力のなさすぎるカミラに負担がかかるという事で、雰囲気だけを味わってお開きになってしまった。

「まだ、おまちゅり、みたいの……」
「にゃ……」
「そうですわね……、人がたくさんすぎると、ノアもぺーちゃんも潰されてしまいますから、テオ様もクレオ枢機卿も心配ですのよ。もちろんわたくしも」

帰りの馬車で落ち込む二人を慰めながら、子供たちがもっと安全に楽しめるお祭りはないものかしら、などと思考を巡らせる。
テオ様が一緒なので、ミランダやカミラは別の馬車に乗車している為、ノアとぺーちゃんはわたくしの隣に、テオ様は向かいに座っており、手を伸ばしてくる子供たちが可愛すぎて、幸せだ。

本当はくっついていたいのだろうけど、最近チャイルドシートを導入しましたのよね。

「そうですわ! イーニアス殿下が主催した、子供パーティーのように、ディバイン公爵家のお庭でもお祭りをするのはどうかしら」

それなら、安全ですし、イーニアス殿下も招待できますもの。

「やりたいの!」
「ぺぇちゃ、みょ!!」
『アオも、おまつり、したいー!!』
『チロモ~』

あら、皆ノリノリですわね。

「待て。ベル、祭りというが、一体我が家の庭で何をやらかす気だ」

やらかすって、テオ様ったら、わたくしがいつも問題を起こしているみたいではなくて。

「もう、わたくしお転婆娘ではありませんのよ。まるでお父様みたいな言い様ですわ」
「義父上の気持ちが、少しわかる気がする」
「まぁっ」

テオ様は微かに微笑むと、「それで、何をするんだ」と、ノアやぺーちゃんと一緒にわたくしを見つめてくるのだ。

「そうですわね……、お祭りと言えば、やっぱり夜の屋台ですわよね。それに、ゲームや盆踊り……いえ、ダンス、それと、お神輿……」

日本の縁日を思い出しますわね。わたくしの地元は商店街にあるお店が全て、夜には出店を出して、とっても賑やかでしたのよ。商店街の中に小さな神社もあって、お神輿が出てきますの。子供神輿もあって、子供たちが楽しそうにお神輿を担いでおりましたのよね。

「ベル、どうした? 疲れたか……?」

懐かしさに、わたくしが黙り込んでしまった為か、テオ様に心配をかけてしまったようだ。

「いいえ、子供たちを楽しませる事のできる、素敵なお祭りを考えておりましたの」
「おかぁさま、わたち、ひもひっぱりゅの、ちたい!」

ノアが手を上げ発言すると、ぺーちゃんは首を傾げ「にゃ?」と子猫の鳴き声のような声を出す。

「ひもくじですわね。確か、イーニアス殿下のパーティーで、ひもくじをしたと、とっても楽しそうに、お母様に教えてくれましたのよね」
「しょうよ! べびー、かしゅてら、とれたの。アスでんかと、おしょろいなのよ」

ノアは、以前のパーティーを思い出したのか、嬉しそうに笑うのだ。それが愛おしくてたまらない。

「フフッ、じゃあ、ひもくじは絶対ないといけませんわね」
「じぇったいよ!」
「ええ、わかりましたわ」

可愛い息子のお願いは、きかないといけませんわね。

「ぺぇちゃ、ぅい、ぎゃっみ!」
「ぺーちゃん、おりがみの、やたいね」

折り紙の屋台!?

「ぺーちゃんは、折り紙を頑張っていますものね。あら、子供たちのお店屋さん、なんていうのも楽しそうですわ」
「おみしぇやさん! わたち、しゅふれ、ぱんけーきやさん!」
「ぺぇちゃ、ぅい、ぎゃっみ、っちゃー!」

お祭りから、子供屋台の話になり、ノアは色んな屋台がやりたいと張り切り、ぺーちゃんはクレオ枢機卿を招待したいから、折り紙をたくさん教えて欲しいと言い出し、帰りの馬車はとても賑やかだった。

「どうやら、思ったよりも大きな祭りになりそうだ……」

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