継母の心得

トール

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第二部 第3章

398.大好きな気持ちを込めて 〜 ノア視点/イザベル視点 〜

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ノア視点


さんしゅーのおべんきょ、たのちかったねって、ぺーちゃんとおててつないだらね、ぺーちゃん、

「ちゃ、ちゅ……ぃあ……」

って、さんしゅー、ぺーちゃんきらいって、いうのよ。どうちてかちら?

「さんしゅー、おもちりょ、おもちろぃのに」
「ぺぇちゃ、んにゅ、きゃっ、ち!」

しょうなのね。ぺーちゃん、あかちゃんだもにょね。むじゅかちぃの。

ぷっきゅー、ぷっきゅー、きょーも、ならちて、ありゅいてる。
おかぁさまの、ぷれじぇんとのおくつ、おきににり……おきい、いり……? あっ、おにぎ……おきに、いり! なのよね。

「カミラ、おじぃさま、もうきてりゅ?」

わたちのうしろ、ありゅいてるカミラに、おじぃさまのこと、きいたのよ。

「はい。シモンズ伯爵も、オリヴァー様もいらしておりますよ」
「にゃ? じぃじ?」
「しょうよ、ぺーちゃん。きのーおはなち、した、わたしの、おじぃさま、きてりゅって!」
「にょあ、じぃじ!」
「しょれと、おじさまもよ!」
「ぅ、じっちゃ!」

きのーね、おじぃさまと、おじさま、くりゅってきいて、いしょいでぷれじぇんと、ちゅくったの! ぺーちゃんも、おてちゅだいして、くれたのよ。

「ちゅくった、ぷれじぇんと、おわたし、しゅるのよ」
「ぁーい!」
「ノア様とぺーちゃん様が一生懸命作っておりましたから、きっとシモンズ伯爵も、オリヴァー様も、お喜びになられますよ!」

しょうだと、いいの。だいしゅきよって、きもちいっぱーい、いれたの、おじぃさま、わかるかちら。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



イザベル視点


ぷっきゅ、ぷっきゅ、ぷ~と、リビングの扉の外から聞こえてきて、顔を上げると、音の鳴る靴をまだ知らないお父様とオリヴァーが、何の音!? とキョロキョロしていた。

「何だか気が抜ける音が聞こえてきましたね……」
「新しいおもちゃでも作ったのかい?」

お父様、惜しいですわ。おもちゃではなく、靴ですのよ。

「ノアとぺーが来たようだ」

最初はオリヴァーと同じような事を言っていたテオ様も、慣れたようで、扉を開こうと動くウォルトに手をかざして止め、自ら扉を開けに立ち上がる。

「この音可愛いわよね! ウチのリュークにも履かせたいわっ」
「うむ! 絶対可愛いのだ。朕としては、イーニアスにも履いてもらいたいが、さすがに履きたがらぬだろうな……」
「そうねぇ。もう赤ちゃんではありませんって、言われそうよね」

庭の散策から戻ってきた皇帝夫婦が、音の鳴る靴を羨ましがっている。さすがにノアやイーニアス殿下くらいに成長すると、動きが早くなるので、あの可愛らしい音も子供たちの遊びの邪魔になってしまうかもしれませんわね。かくれんぼもすぐ見つかってしまいますわ。

「あ、おとぅさま」
「みゃ!? みゃおー!?」

あらあら、子供たちが部屋に入ってきて、一気に騒がしくなりましたわね。やっぱり子供たちがいると、雰囲気が明るくなりますわ。

「ノア、おじい様がいらしている。ご挨拶しなさい」

テオ様ったら、わたくしのお父様にいい所を見せたいのかしら? ノアに父親らしい事を言っておりますわ。

「はい! おじぃさまっ、あいたかったのよ!」
「ノアっ、私も会いたかったよ」

感動の再会ですわね。とはいえこの二人、結構頻繁に会っていますけれど。毎日顔を合わせるわたくしでも、ノアの可愛さにメロメロですから、お父様の気持ち、わからなくはありませんわ。

「おや、はじめましての子がいるね。ノア、あの可愛い赤ちゃんを、おじい様に紹介してもらえるかい?」
「はい! ぺーちゃんよ。わたちの、おとーと」
「ノアの弟なら、私の孫という事だね」

お父様には、クレオ大司教のお孫さんをお預かりしている、と手紙で伝えておりますから、わかっているでしょうけど、ぺーちゃんがあまりに可愛いものだから、自分の孫だと主張し始めましたわね……。

「ぺーちゃん、こっちきて。おじぃさまよ」
「にゃ……じぃじ……?」

恐る恐るやって来たぺーちゃんは、子猫そのもののように怯え、お父様を警戒していた。

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