継母の心得

トール

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第二部 第1章

225.子供パーティー

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今回子供パーティーで、わたくしが商人としてお手伝いしたのは、お菓子の家のアドバイスと、屋台の準備、そして殿下方の衣装と、パーティー会場のセッティングである。

お菓子の家は、二メートル程の子供が大きい! と思える程度の大きさで、お城のパティシエと我が家のパティシエ、そしておもちゃカフェのパティシエと、何故か皇帝陛下が協力して作り上げた力作である。

ビスケットやクッキー、チョコレートで土台を作り、マシュマロ、カラフルなペロペロキャンディ、ケーキなどが壁を飾る。窓は飴細工で、屋根は板チョコに生クリームやフルーツでデコレーションしてある。とても可愛らしい、夢のような家だ。

ちなみに、あんこ系のお菓子は皇帝陛下が作ったものですのよ。

危険なので中に入る事は出来ないが、十分見応えもあり、実際に食べる事が出来るので、パーティーの目玉になる事間違いなしだ。

妖精たちが喜びそうですわ。一つ一つの味も絶品ですもの。

イーニアス殿下のリクエストである屋台は、王侯貴族の子供たちのパーティーなので、庶民の屋台ではなく、それぞれのブースにシェフがいて、取り分けてくれるビュッフェ形式にさせてもらった。これなら好きなものを好きなだけ食べる事が出来るので、子供たちも楽しめるだろう。さらに、夜店によくあるミニゲームが出来るブースもいくつか用意した。

屋台と言われて思い浮かんだのが、ミニゲームだったのよね。前世、夜店で子供たちが行列をつくっていたのを思い出しましたわ。

「イザベル様! 今日の子供たちの衣装、とっても素敵だったわ!!」
「喜んでいただけて光栄ですわ」

隣の会場で今頃楽しんでいるであろう子供たちを思いながら、衣装をべた褒めしてくれる皇后様ににっこり応える。

「子供たちが皆、お揃いの衣装だなんて、本当に可愛くて……!」
「お菓子の家がメインですので、皇子殿下と皇女殿下方には、絵本の魔女風衣装を可愛くアレンジしてみましたの」

そう、殿下方はお菓子の家の持ち主の魔女をイメージし、ゴシック、ゴスロリファッションにしてみたのだ。中には原宿系ファッションのような、お菓子のモチーフを洋服に付けたカラフルな衣装を選ばれた皇女様もいらっしゃった。

統一感を出す為に、アクセサリーをお菓子モチーフにしたのだけど、これがとても可愛らしかったのよ。

「絶対今日の衣装で肖像画を描いてもらうわっ」

皇后様には気に入っていただけたようで、ひと安心ね。
お菓子のモチーフのアクセサリーは、新素材で作ったのだけど、かなり良い出来だったから、おもちゃの宝箱で売り出そうかしら。

「イザベル様、あの可愛らしいアクセサリー、売り出す気でしょ」
「まぁっ、顔に出てしまいましたか?」

皇后様に指摘され、両手で顔を覆う。

「ほほっ、イザベル様ったらわかりやすいのよね」
「気をつけてはいるのですけれど、皇后様の前だと気が緩んでしまいますわ」

仲良しのママ友の前だと、どうしても気を許してしまうのだ。

「それは光栄ね!」

皇后様が嬉しそうに笑うので、わたくしもつられて笑顔になってしまいましたわ。

「今頃、子供たちは楽しんでいるかしら───」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



イーニアス視点


「ノアッ、あのゲームをしよう!」
「はい!」

ひもをひっぱると、さきにつるしたおかしが、もらえるゲームに、ノアをさそう。

「アスでんか、ひも、いーっぱいね!」
「うむ。いーっぱいだ。どれに、なにがついているか、ひっぱってみないと、わからないようだ」
「わたち、いちごの、あめさん、とるのよ!」

ノアはいちごのアメに!ねらいをさだめたのか、じしんまんまんに、ひもをつかんだ。

「ノア、がんばれ!」
「しょーれ!」

ノアがひっぱった、ひものさきには……

「あ、ベビーカステラだ!」
「いちご、ちがう?」
「うむ。いちごのアメではなかったが、ベビーカステラもおいしいのだぞ」
「おいちぃの、とれた!」

ノアはうれしそうに、ベビーカステラがふたつはいった、ちいさなかみぶくろを、わたしにみせてくれた。

「よしっ、つぎはわたしがやる! いちごのアメを、ノアのためにとるのだ!!」
「アスでんか、おねがいちましゅ!」
「うむ」
「「そーれ(しょーれ)!」」

ふたりでかけごえをだして、ひもをひっぱると……

「ベビーカステラだ……」

さっきとおなじものに、いちごのアメがとれなかったと、おちこんでいると、ノアが、「アスでんか、おしょろいね!」そういってわらってくれたから、

「うむ。おそろいだ!」

ふたりで、ベビーカステラをたべて、もういちど、わらいあったのだ。


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