私のおウチ様がチートすぎる!!

トール

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第一章

44.ホラーが始まる!?

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「見たって……、黒いドラゴンが他にも居たんですか!?」
「うむ。突然瓦礫の下から現れて、攻撃してきたのでな。返り討ちにしたが、確かに黒く染まり、倒した後は元の色に戻ったのだ。しかし……あれには最初から生命力を感じなかった」

それ……、ドラゴンのゾンビ的なやつ?

「もしかしたら邪竜は……、殺したドラゴンを操っている可能性が高いのではありませんか?」

レオさんが冷静に分析しているけど、その推測も怖い。

「それは十分にある。対峙した時に思った事だが、邪竜の能力は魔物に近い」
「魔物ですか!?」
「ああ。それも、レイス系の魔物だ」

レイス系って……幽霊!?

「カナデ、怖がらなくてもよい。わしがお前を守るからな」

昔からホラーが大の苦手な私は、子供用のお化け屋敷すら怖くて入れないのだ。

リッチモンドさん達の話を聞いて、手が震えてしまったのだろう。彼が私の手を握り、優しく守ると言って宥めてくれる。

「ありがとうございます……。情けなくてごめんなさい」
「情けなくなどない。カナデは強く、優しい女性だ」

リッチモンドさんの甘々な言葉と、レオさんの生温い視線で恥ずかしくなってきた。

「リッチモンドさん! ロッソが操られてるとして、邪竜本体は何処に居るんでしょう!? 何で姿を現さないのかも、何で私達をここに連れて来たのかも分かりません!」
「うむ。邪竜の封印が解かれ、この地に居座っているのは間違いない。奴はわしが作ったドラゴンの国に執着しておったしな」
「執着……」

なんで?

「わしの推測に過ぎぬが……奴の封印は解かれ、地に放たれはしたが、力はまだ完全に戻ってはおらぬのだろう。だからこそ、わしの持つ魔力を欲しているのではないか……。カナデを狙っているのは、わしよりも魔力が高く、御し易いと思ったのか、或いは……」
「或いは?」
「……カナデに己の子を産まそうとしているのか」

ひぇ!!?

「それは無いと思いますけど!?」
「カナデ……、言っただろう。魔力が高い者は、同じく魔力の高いものでなければ子は出来ぬ。と」
「それは聞きましたが、何か邪竜って話を聞いてると、自分が一番っぽいし、子供を欲しがるようには思えないというか……」
「ドラゴンは本能の強い生き物だ。自身の子を残したいという気持ちは当然あるだろう」

そうなの!?

「勿論、カナデはわしとつがうのだし、邪竜には渡さぬよ」

いたずらっ子みたいに笑うリッチモンドさんに、ドキドキする。

邪竜が私に子供を産ませようとしている可能性は限りなく低いけど、一応注意だけはしておこう。

「それで、邪竜本体の居場所ですけど、リッチモンドさんには目処がついてるんですか?」
「うむ。恐らく……この地下に潜んでいる」

ホラー!!
幽霊系の魔物で、ゾンビで、地下!! もうホラー映画のソレだよ!!

「り、リッチモンドさんっ もしかして、この下に行くの……?」
「行くしかないだろうな」
「お供致します」
「リッチモンド様! 私も連れて行って下さいっ この地下には、家族が囚われているのです! お願い致します!!」

ひえぇぇ!! 皆行くの!?

「おぬしらは、ここに残る方が安全だと思うが……」

リッチモンドさんは、チラリと私を見る。

私は行かなきゃダメなのかもしれない。だって狙われてるのは私とリッチモンドさんだもんね。

「カナデ様を連れて行かれるのでしたら、私も居た方が宜しいかと思います」

レオさんはどうしても一緒に行きたいらしい。

私は遠慮したいよ……。

「私もお役に立てます! 腐ってもドラゴンの国の騎士でした! 人間よりも頑丈ですから、盾になるくらいは出来ます!!」

クレマンスさんっ 盾とか止めて!

「分かった。お前達がそこまで共に行きたいと言うのならば、全員で奴の所に乗り込もうぞ!」
「「はい!!」」


◇◇◇


地下だから真っ暗かと思いきや、リッチモンドさんが魔法で明かりを灯してくれたので、激弱な私でも、何とか進んでいるが、あのロッソが突然出てくるんじゃないかと戦々恐々なのだ。

「カナデ、足は痛くないか? 疲れてはいないか?」

何しろこの世界の人間の誰よりも激弱なので、リッチモンドさんもさっきからこの調子なのだ。
クレマンスさんが若干呆れているのもいたたまれない。

「大丈夫です。私にはスポーツ飲料水もありますし!」
「そうか……」
「リッチモンドさんは前を見て歩いて下さいね」

さっきから私の方を気にして振り返ってばかりなのだ。
いつ襲われるか分からないのだから、前を見ていてほしい。

「リッチモンド様、確かこの辺りで私はロッソと戦い、負けたのです。人質はこの奥に囚えていると奴は言っていました」

クレマンスさんが歩みを止めた場所は、他より少し広い空間で、右奥に続いているようだが、真っ暗で分からない。

「では、そちらへ行ってみるとしよう」

リッチモンドさんは真っ暗な右奥へと歩みを進めたのだ。

もし、ホラー映画なら、この奥にゾンビがいるだろう。


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