私のおウチ様がチートすぎる!!

トール

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第一章

34.青いドラゴン

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「うむ。これは丁度良い大きさに進化したものだな」

狩りから帰って来たリッチモンドさんはそう言って頷き、「わしはカナデの隣の部屋が良いのだが」とサラリと希望を言ってのける。

さすが元王様。

丁度良いと言っている時点で、この宮殿より大きな城に住んでいたのだろうと分かる。

ドラゴンの城だから、ドラゴンサイズのお城なんだろうなぁ……。

勿論リッチモンドさんには、この宮殿で一番広い良い部屋を確保してある。
何故かイヴリンさんがその部屋の隣を私の部屋にしてしまったので、リッチモンドさんがこう言うだろうと予測していたに違いない。

さすがイヴリンさん。今や自他共認める有能な侍女頭だ。

しかし、この宮殿に合わせて、出てくる服までグレードアップしてしまったのは困った。
上質なワンピースやドレスで草取りや料理など出来ないではないか。

当然、宮殿の裏の畑は、とんでもなく拡がり、畑も果樹園も気の遠くなるような大きさで、池も湖のような広さになっているしでゾッとした。

「こんなのどうやって管理したら良いの?」
「カナデ、村の者に任せると良い。皆手持ち無沙汰のようでな。大人だけでなく、子供達もはりきっておったぞ」
「そうなの!?」

確かに村のそれぞれの畑の大きさは家庭菜園から成長してないけど……。

ちなみに、今村の状態は日本の一般的な新築戸建て住宅が300戸建っていて、それぞれの庭に家庭菜園がある状態だ。

家は58戸が埋まっており、家族や独身など色んな形態の人が住んでいる。
しかし、孤児の子達は一人暮らしさせるのも心配なので、現在9人がウチで暮しているのだ。

つまり私は、ルイとアーサー合わせて、11人のお母さんになりました!

「あっ お父さんお帰りなさい!」
「ほんとぉだ!! おとぉさんだぁっ」
「お父さんお帰りなさーい」

11人の内、年の幼い3人がバタバタと、リッチモンドさんのお出迎えにやって来た。

「おおっ 帰ったぞ」

リッチモンドさんは嬉しそうに二人を抱っこし、後の一人を腰に引っ付けて移動を始める。「お父さん! 次オレ抱っこ!」「分かった、分かった」と本当の父子のように仲が良い。

あれ? 私達、恋人とか通り越して、子沢山の夫婦になってるよね?

「ま、いっか」

幸せだし!







『───はぁ……、はぁ……っ なぜ、こんな事に……っ リッチモンド様……、助けてくださ……っ』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おかぁさーん、くさとりおわったよー」
「ロミちゃんありがとう! お兄ちゃんやお姉ちゃん達はどうしたの?」

キッチンで今日の昼食の準備をしていると、ウチの末っ子、プレイリードッグのロミちゃん(4)が一人で帰ってきた。驚いて周りを見るが誰も居ない。

「ロミちゃんのうしろにいるよー」
「え? ロミちゃんの後ろ誰もいない……「ワァ!!」っひょ!!?」
「「「アハハハ……ッ お母さん驚いたぁ!!」」」

悪戯好きの子供達が壁の裏に隠れており、ピョコンッと飛び出して来て本当にビックリした。

「アハハッ って、こらっ 悪戯っ子達!」
「お母さんごめんなさいっ 止められなかったです!」

悪戯っ子達を笑いながら叱ってると、ルイが出て来て謝るので、お兄ちゃんしてるなぁと、なんだか微笑ましくなってしまった。

「ルイはお母さんに謝ってくれたよ~。偉い子には、今日のおやつは一つ多めにあげなきゃな~」
「ロミちゃんは? ロミちゃん、おどろかせてないよー」
「じゃあ、ロミちゃんも一つ多めにあげるね!」

ルイとロミちゃんの頭を撫でて、わざと大きな声で言えば、悪戯っ子達はやーい、やーいと言っているのをピタッと止め、「お母さんごめんなさいっ」と声を揃えてきたので、大笑いしてしまった。


そんな楽しい時間を過ごしていた時だ───。

「カナデ様!! 大変ですっ 青色のドラゴンが、村の上空に現れました……っ」

村の人が外に繋がる扉からキッチンへ飛び込んできたのだ。

「え? 今ドラゴンって言った?」
「はいっ ボロボロの状態で、フラフラと上空を漂っているみたいで……っ」
「ボロボロって……、怪我してるんですか!?」

それ、大変だよ!!!

慌てて外に出て上空を見上げると、そこにはリッチモンドさんとは違う、真っ青なドラゴンがフラフラと飛んでいたのだ。

『そこのドラゴンさん!! 結界の中にあなたも入れるようにしたから、早く降りて来て!!』
『!? に、人間……、我らの言葉が分かるのか?』
『そんなのどうでも良いから降りてきて!! あなた、羽に穴が空いてるんだよ!?』

綺麗な青だろうに、羽も身体も汚れ、羽には所々に穴が空き、尻尾の部分は千切れかけているじゃないか!!

『……すまぬ、人間……少しだけ、世話になる』

ドラゴンは、すーっとウチの庭に降りてきたかと思えば、そのまま気を失ってしまったのだ。




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