私のおウチ様がチートすぎる!!

トール

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第一章

33.おウチ様の変化

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「ひゃあああああ!!! ロボット掃除機が出たァァァ!!!」

朝起きたら、私の部屋を縦横無尽にロボット掃除機が動き回っていた。

「今の悲鳴……っ 何事ですかぁ!? カナデ様っ」

バァン!!

部屋に飛び込んできたのは新しく村に来て、何故かウチのメイドになった16才の女の子。ラヴィちゃんだ。

「ぎゃあああぁぁ!! 何か変なのが動いてるぅぅぅ!!!」

ちょっと慌てん坊なのが玉に瑕なのか可愛いのか。うさ耳がキュートなメイドさんだ。

「どうした!?」

悲鳴を聞いて慌てて駆け付けたのは、現在両片想いという微妙な状況のリッチモンドさんだった。

レオさんとカイ君は、まだ護衛にするのは早いという事で訓練中の為、ウチの邸には滞在していない。

「リッチモンドさん、ラヴィちゃん、朝から大声出してごめんなさい。ロボット掃除機が出てきたものだから、興奮しちゃって……」
「ろぼっと、そうじき? なんだそれは?」
「ろろっと??」

二人共首を傾げるので、勝手に床を掃除してくれるロボットなんですと簡単に説明すると、

「なるほど……これはろぼっとという名の掃除機か」

とリッチモンドさんは即座に理解し、ラヴィちゃんは、「ろろっと様、初めまして。ラヴィと申します。先程は叫んでしまい、申し訳ございませんでした」と自己紹介していた。

ラヴィちゃん、それ可愛いけど、何もかもが間違ってるよ。

「カナデ、無事で良かった……。叫び声が聞こえたから何事かと思ったぞ」
「ごめんなさい」

リッチモンドさんに謝ると、目を細め、優しい表情をして頭を撫でてくれた。

ふわぁ~。リッチモンドさん格好良いなぁ……。

て、あれ? 私今寝起きだよね!? リッチモンドさんの前で髪の毛ぼさぼさ……っ

「ひゃあぁぁ!! リッチモンドさんっ 私まだ寝起きで、顔も洗ってないから!」
「ん? ああ、淑女の部屋に入ってきてしまったな。すまない。しかし、カナデはいつでも可愛いぞ」

こんな寝癖がついた姿が可愛いなんて、リッチモンドさんってば親ばか……いや、恋人ばか……?

「どうした? カナデ」
「ハッ! な、何でもないです!! あっ 着替えたらすぐに朝ごはん作りますね!」
「おおっ ならばわしは、畑に水をやって来よう! 草取りもして来ねばなっ」
「いつもありがとうございます」
「うむ。わしは当然の事をしているだけだが、お礼を言われるのは嬉しい事だな」

リッチモンドさんと二人で笑い合っていれば、「ろろっと様が、突然止まりました! 体調が優れないのでしょうか!?」とラヴィちゃんが慌てだしたので、掃除が終わったから、お休みしているんだよと教えてあげた。

ラヴィちゃんは可愛いなぁ。

そして、このロボット掃除機は皆から“ろろっと様”と呼ばれるようになるのだが、その話は今は置いておこう。



亜人族の人達が村に来てから、3ヶ月が経ち、とうとう私のおウチが成長する。

何となく、もうそろそろかなぁというのは分かるのだけど、それが今日、やって来たのだ。

イヴリンさんを筆頭に、ラヴィちゃん(16)、狐耳のフォクシーさん(28)、そしてアライグマのラクーンちゃん(20)が現在私のおウチでメイドさんのような仕事をしてくれているのだけど、それぞれが掃除やベッドメイキング、料理などをしている時だった。


“村長の館が変化します”


「あ、来る」

私はキッチンに居たのだけど、前の成長時と同じように、光に包まれた。

そして気付けば、だだっ広いホールに、皆が佇んでいた。

「へ? あれ!? 私、トイレの掃除してたのに!? どうして?? ここは何処!?」

ラヴィちゃんがあちこちキョロキョロして騒ぎ出す。
フォクシーさんも、ラクーンちゃんも、「え?」とポカーンとしており、イヴリンさんは、「これがカナデ様の言っていたお屋敷の成長ですか……」と冷静に周りを見ていた。

「皆、注目してください」

ラヴィちゃん達の為にも、きちんと説明しておかないとと思い、おウチ様の成長の事を説明し、皆で外観がどうなったのかを見る為に外へ出る。

ホールが前よの倍どころじゃないくらい広くなっていたから、何となく、リッチモンドさんが森の入口付近に置いた避難所のお屋敷より大きいんじゃないかなぁと想像はしていたんだけど…………。

「お、お、お城じゃないですかぁ!!!」

ラヴィちゃんが腰を抜かし、イヴリンさんが、あらあらと目を丸くして、フォクシーさんとラクーンちゃんは固まってしまった。

私の目の前にあったのは、フランスのパリにある、リュクサンブール宮殿のような、建物だったのだ。

「お母さん! お家が突然光って、お城になったんですけど、一体何が起きたんですか!?」
「お母さん、前に言ってた、成長?」
「何これー!!! すっごーい!!」

村で遊んでいた子供達が駆け寄って来て、はしゃいでいる。

庭もものすごく広がっており、庭師のローガンさんは、私の手塩にかけた庭が……と膝をついて嘆いていた。ヒューゴさんがそれを慰めているが、せっかく綺麗にしてくれていたのに、リセットされたのだから落ち込むよね。

ごめんね。ローガンさん……。

「あ~……これは、また皆の部屋を決めないとだね」


こんな宮殿、持て余しちゃいそうだなぁ……。


村の皆が驚いて集まってくる中、乾いた笑いを漏らすのであった。
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