私のおウチ様がチートすぎる!!

トール

文字の大きさ
上 下
12 / 53
第一章

12.家族だよ

しおりを挟む


子供達はスポーツ飲料水と重湯を食べてから、見る間に元気になった。

2日目の朝は、胃に優しいうどんを出し様子を見たが、固形物も食べられそうだと判断したので、昼はお腹に溜まるものを出してみようかと考えている。

まだ骨ばっているけど、目の窪みもなくなり、髪に艶が出てきて、部屋も歩き回れるまでに回復していたので、本人達の希望もあって、家の中を少し案内する事にした。

「しんどくなったらいつでも休んでいいからね?」

「大丈夫です。不思議な事にすごく体が楽で、今まで生きてきた中で一番調子が良いんです!」
「オレも、ルイと同じ」

おウチ様の健康維持が効いてるみたいで良かった。

少しシャイなのかな? アーサー君は口数が少ないけど、元気そうだし、このまま沢山食べて子供らしい体型になってもらわないとね!

「まず一階からね。玄関を入ってすぐのホールがここね。玄関の右隣にある部屋は待合室で、お客様を最初にお通しするところなんだって。左の部屋は書斎でその隣が応接室ね。廊下を挟んだこのホールの正面にある部屋は小食堂。ここでいつも食事してるから、ご飯の時間にはここに来てね」
「「は、はい……」」

何だか戸惑っているみたいだったけど、後で聞いてみようと思い、説明を続ける。

「で、その隣が大食堂。お客様が来たときに使う食堂で、その奥が配膳室、その奥にも階段があって、そのさらに奥がキッチンだよ。その他にもいろんな部屋があるけど、あまり使ってないかな。二人も、もう家族の一員だし、お屋敷探検して遊んだらいいよ。特にここに入ったらダメって制限もないし。あ、家が大きくなる時があるから、気を付けてね
「「!???」」

どういう事!? という顔をしていたので、「詳しくは後で説明するね」と言って、今度は庭へ移動した。

「疲れてない? ちょっと休憩しよっか」

テラスへ移動し、二人を椅子へ座らせる。

「今日は少し暑いから、冷たい麦茶でも持ってくるね」

二人を残してキッチンへと向かい、麦茶を淹れて戻れば、ルイもアーサーもキョロキョロと、興味深そうに周りを見ていた。

「何か面白いものでもあった?」

机に麦茶を置き、ヘラリと笑いながら聞くと、ルイが「お花をこんなに近くで見たのは初めてで」と恥ずかしそうに言うのだ。

「草も、土も、森に入って、初めて踏んだ……」

アーサーがぼそりと呟く。

「え……もしかして、外に出たことがなかったの?」

二人が頷く。

「あなたに、会った日に、初めて出た」

その言葉に衝撃を受けた。

何それ……っ 監禁されてたって事!?

「ぼくたち、ずっと塔の中の部屋にいました」
「カギ、かけられてた」

やっぱり……っ

「何でそんな事を……っ」

あまりの怒りに、ぎゅっと拳を握る。
二人はお互いを見て、悲しそうに俯くと消え入りそうな声で呟いた。

「“忌み子”、だから……」

いみご??

「ふむ。おぬしら、双子だったか」
「「!!?」」

首を傾げていたら、リッチモンドさんが突然後ろからでてきて、心臓が止まるかと思った。

「リッチモンドさん、突然出てこないで下さいっ びっくりしたでしょ!」
「すまぬな、カナデ。しかし、こやつらが双子だとは分からなかった」

あれ? 私、リッチモンドさんにこの子達が双子って言ってないよね? 何で分かったんだろう。

「あ、二人とも、紹介するね。この人はリッチモンドさん。ドラゴンで私の家族だよ」
「「ドラゴン!?」」
「うむ。わしはカナデの家族だ。おぬしらも家族になったのだし、わしの事はおじいちゃんとでも呼ぶが良い」

リッチモンドさんの自己紹介に、ルイとアーサーはぽかんと口を開けたまま固まってしまった。




さて、ドラゴンおじいちゃんの登場に驚いて固まっていた二人を合わせ、四人で麦茶を飲み、やっと双子の緊張が解けてきた時だ。

ルイが私達にこんな事を言ってきたのだ。

「ぁの、先程からお二人が、ぼくたちを“かぞく”だと言って下さってるんですが……どういう事なんでしょうか??」

その言葉に、私とリッチモンドさんが顔を見合わせ笑い、双子にも微笑んだ。

「家族は家族だよ。二人はもうウチの子になったの」
「うむ。わしはおぬしらのおじいちゃんだ」

「オレたち、忌み子……」
「そうですよ! ぼくたちは忌み子で、だから……っ」

泣き出しそうな声でそう言う二人に、私は言ったのだ。


「“いみご”が何かしらないけど、どうでもいいよ。私はもう君たちを家族にしたんだから、二人は私の子供だよ!」

しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した

基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。 その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。 王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。

【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです

との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。 白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・  沈黙を続けていたルカが、 「新しく商会を作って、その先は?」 ーーーーーー 題名 少し改変しました

お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました

蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。 家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。 アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。 閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。 養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。 ※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

【完結】偽物と呼ばれた公爵令嬢は正真正銘の本物でした~私は不要とのことなのでこの国から出ていきます~

Na20
恋愛
私は孤児院からノスタルク公爵家に引き取られ養子となったが家族と認められることはなかった。 婚約者である王太子殿下からも蔑ろにされておりただただ良いように使われるだけの毎日。 そんな日々でも唯一の希望があった。 「必ず迎えに行く!」 大好きだった友達との約束だけが私の心の支えだった。だけどそれも八年も前の約束。 私はこれからも変わらない日々を送っていくのだろうと諦め始めていた。 そんな時にやってきた留学生が大好きだった友達に似ていて… ※設定はゆるいです ※小説家になろう様にも掲載しています

処理中です...