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贈物、まで

挑戦

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 久しぶりに、アニキが部屋に来た。
 雪さんは、カスミちゃんが来ないので、不満そうだ。
(彼女は獣医師を目指して成績を上げるために勉強中)
 開店関係の進捗報告がメインなのだけど、結果からすると、ほぼ僕待ちなのだ。
 メニューもまだまだ考え中、などとヌルいことを言っている僕を、オジサン会から、アニキが庇ってくれている状況だ。
 とはいえ、もう年内の開店は、無理だろう。
 オジサン会は、怒るだろうなあ。
 ガス抜きが必要だよね。
「食事会、やりましょうか」
「しょしょ、食事会、ですか!?」
 アニキが、すごく食いつく。
 それに、うろたえ過ぎ。
「クリスマスも近いし、中間発表会にはならないけど、って感じで、やりませんか?」
「それは、先代の食事会関係の方々もお呼びするのですか?」
「招待、というより、来たければどうぞ、くらいかな」
「それですと・・・」
 アニキが、困った顔をした。
「この店は、ほぼセルフ・サービスになると思うんですよ」
 僕一人では、給仕など限界があることは、アニキにも話している。
「だから、上げ膳据え膳を期待されてもできません」
「たしかに」
「僕も恩は感じています。でも、食事会レベルのオモテナシは無理。それでも、参加してくださるなら、ぜひ、と思います」
 やば、自分でハードル上げてないか?
 ハードル下げるはずだったんだけど。
「食事会、食事会と、先代の影に振り回されていたのは、我々かもしれませんね」
 よかった、下がってた。
「わかりました、私の方で、説得してみます。先代の生まれ変わりみたいに錯覚しているような言動の方もいらっしゃいますので、少々気にはしておりました」
 大丈夫かな、オジサン会?
「では、会はいつにいたしましょう?」
「二十四日か、二十五日がいいかな」
「え? バーがお忙しいのでは?」
 まあ、確かにそう思うよね。
 実際、店を開ければ、お客さんたくさんくるし。
「ちゃんとお酒を飲みにくる人が少なくって、オヤジが切れてから、開けないんです」
「ああー」
 なんとも深い同意のため息が漏れた。
 まあ、クリスマスに外食をしたことのある人なら、思い当たることも多いだろう。
 バーでカクテルを傾けながら、男女で最後の駆け引きをするのは、わからなくはないのだけど。
 店を開けないのを、一番喜んだのは、オヤジとクリスマスをいっしょに過ごせるようになった、娘の忍さんだ。
 あのオヤジが、どんな顔してクリスマス・パーティーしてるのかは、想像つかない。
 でも、奥様が亡くなってからは、忍さんのプレゼントを夜中に仕込む役は、オヤジがずっとやっていたんだろうなあ。
「あ、でも、イブは家族で、って人も多いし、二十四日に準備して、二十五日にしましょうか」
「問題ないと思います」
「アニキも家族で参加できます?」
「もつろんです!」
 アニキ、食いつき過ぎ。
 あと、噛んでる。
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