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写真、まで
猫ドア
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ホームセンターの工具売り場で、僕は一人悩んでいた。
この店で見つけた、トイレにつける猫ドアの取付説明書に、取り付けるドアを切る、と書いてあったからだ。
中学の工作の時間以来、大工道具を手にしたことのない僕は、ずらりと並ぶノコギリを見ながら、これドアに突き刺して切るの? と途方に暮れていた。
平日の昼間だからか、店員さんもこのコーナーには見当たらない。
一度帰って、ネットで検索するか、と諦めている、とポンと肩を叩かれた。
「どうした、困りごとか?」
オヤジに年をとらせて、日焼けサロンに通わせた感じの作業着の男性が立っていた。
作業中に、何か足りなくなって買に来たのだろうか。
猫ドアを見せて、ドアを切るノコギリを探している、と答えると、大笑いされた。
「一枚板とかじゃなきゃ、化粧板は薄いから、カッターで十分、十分」
そして、お勧めのカッター・ナイフを僕に手渡して、去っていった。
お礼も言えなかったことに気がつき、慌てて追う、と彼はペット・フード売り場でキョロキョロしていた。
「さっきは、ありがとうございました」
礼を言うと、びっくう、と振り返り、僕と認める、と安堵した顔になった。
主に(と彼は強調した)娘さんが買っている猫が、フードにすぐ飽きてしまうとこのとで、新しいモノを探しにきたらしい。
驚いたのは、同僚にペット関係の売り場にいるのを見られると恥ずかしいため。
聞く、と雪さんと同じくらいの成猫のようなので、雪さんが食べているフードのシリーズを教えた。
「まだ、やったことないな、これ」
賢明にも500g入りの小袋を選んで、会計に向かっていく。
「ありがとよ。猫ドアってのも便利そうだな」
雪さんが好きなフードがたくさん売れて、新しい味が増えると嬉しいな、と思いながら見送った。
作業着の男性お勧めのカッターのおかけで、トイレへの猫ドアは無事取り付けられた。
しばらく、猫ドアの開閉部分をテープで固定して開けっ放しにしておく、と雪さんも出入りに慣れ、すぐにテープを外せるようになった。
トイレの人用ドアが閉められて、閉じた空間になって落ち着けるのか、ヒノキペレットの飛び散りが少なくなったのは、嬉しい誤算だ。
自分の工作の手際に酔った僕は、調子に乗り、もう一つ猫ドアを買って、一階六畳間のドアにもつけた。
これまでは、いっしょにベッドで寝る雪さんが、出入りできるように、ドアを細く開けていたのだ。
これで、ドアの隙間から、雪さんに見つめられているのに気づいて驚く、というのもなくなるはず。
結局、トイレの猫ドアは使ってくれるのに、一階六畳間はドアの前で開けるまで鳴き続けるのは、悲しい誤算だった。
僕は、独歩スパークリングビールの栓を抜いた。
この店で見つけた、トイレにつける猫ドアの取付説明書に、取り付けるドアを切る、と書いてあったからだ。
中学の工作の時間以来、大工道具を手にしたことのない僕は、ずらりと並ぶノコギリを見ながら、これドアに突き刺して切るの? と途方に暮れていた。
平日の昼間だからか、店員さんもこのコーナーには見当たらない。
一度帰って、ネットで検索するか、と諦めている、とポンと肩を叩かれた。
「どうした、困りごとか?」
オヤジに年をとらせて、日焼けサロンに通わせた感じの作業着の男性が立っていた。
作業中に、何か足りなくなって買に来たのだろうか。
猫ドアを見せて、ドアを切るノコギリを探している、と答えると、大笑いされた。
「一枚板とかじゃなきゃ、化粧板は薄いから、カッターで十分、十分」
そして、お勧めのカッター・ナイフを僕に手渡して、去っていった。
お礼も言えなかったことに気がつき、慌てて追う、と彼はペット・フード売り場でキョロキョロしていた。
「さっきは、ありがとうございました」
礼を言うと、びっくう、と振り返り、僕と認める、と安堵した顔になった。
主に(と彼は強調した)娘さんが買っている猫が、フードにすぐ飽きてしまうとこのとで、新しいモノを探しにきたらしい。
驚いたのは、同僚にペット関係の売り場にいるのを見られると恥ずかしいため。
聞く、と雪さんと同じくらいの成猫のようなので、雪さんが食べているフードのシリーズを教えた。
「まだ、やったことないな、これ」
賢明にも500g入りの小袋を選んで、会計に向かっていく。
「ありがとよ。猫ドアってのも便利そうだな」
雪さんが好きなフードがたくさん売れて、新しい味が増えると嬉しいな、と思いながら見送った。
作業着の男性お勧めのカッターのおかけで、トイレへの猫ドアは無事取り付けられた。
しばらく、猫ドアの開閉部分をテープで固定して開けっ放しにしておく、と雪さんも出入りに慣れ、すぐにテープを外せるようになった。
トイレの人用ドアが閉められて、閉じた空間になって落ち着けるのか、ヒノキペレットの飛び散りが少なくなったのは、嬉しい誤算だ。
自分の工作の手際に酔った僕は、調子に乗り、もう一つ猫ドアを買って、一階六畳間のドアにもつけた。
これまでは、いっしょにベッドで寝る雪さんが、出入りできるように、ドアを細く開けていたのだ。
これで、ドアの隙間から、雪さんに見つめられているのに気づいて驚く、というのもなくなるはず。
結局、トイレの猫ドアは使ってくれるのに、一階六畳間はドアの前で開けるまで鳴き続けるのは、悲しい誤算だった。
僕は、独歩スパークリングビールの栓を抜いた。
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