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番外編:冬

冬の鍋と孤独

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 しつこいかもしれないけど、気温の低下は、「看板猫のいるビア・バー」にとって、死活問題だ。
 暖かいスープのサービス、全席コタツ化計画によって、解決を試みた。
 ところが、コタツは魔物で、お客様から、カウンターまで注文に来る気力を奪ってしまったのだ。

 セルフのメリット、デメリットを思い知らされた僕は、二つの打開策を行なった。

 まずは、ビールスタンプカードの製作。
 これは、五杯分の料金でカードを購入いただき、一杯呑むたびにスタンプを押し、五つ溜まったら、一杯無料、というよくあるサービスだ。
 更に特典として、カードをテーブルで見せてくれれば、注文を受け、テーブルまでビールをお運びする。
 お客様は、カウンターで注文、支払いをする手間が、省け。
 お店としては、コタツから出たくない症候群でも、ビールを注文していただける。
 しかも、先払いなので、いろいろ助かるし、会計も楽だ。
 カードは、年賀葉書くらいの厚紙にプリンターで印刷して切れば、すぐできたし、スタンプも百均で、猫の判子を見つけた。

 これでの問題点は二つ。
 一つは、オツマミの注文だ。
 元々、お料理の追加注文は少ないのだけど、カード利用で、益々コタツから出たくない症候群が進行してしまいそうだ。
 もう一つは、カードを使い切ったとき、もう一杯呑みたいけど、まあいいか、となってしまいそうな点だ。
 ビールを追加で呑まないにしても、デザートやコーヒーにつなげたいところなのだ。

 打開策の第二弾として、日替わりお料理とは別に、日替わり一人鍋を始めた。
 鍋のリクエストはあったのだけど、未調理なので、手を抜いた感じがして、日替わりお料理にしてしまうのには、躊躇があった。
 それに、期待に応えられるような鍋料理を提供し続ける自信もなかった。
 なので、五種類の鍋を決めて、それを順番に用意するようにしたのだ。
 鶏ツクネ塩鍋、豚キムチ味噌鍋、野菜チャンポン鍋、腸詰トマト鍋。
 五つ目は、まだ未完成だ、

 鍋は、身体が暖まる。
 なので、コタツから出たくない症候群から開放される可能性が高い。
 更に、鍋の絞めを注文したくなれば、カウンターに来るし、そのついでにビールの追加も見込める。
 しばらくは麺類が冷凍庫を圧迫するけど、それも鍋によって出る種類が読めるようになれば、在庫調整ができるだろう。

 狙いは中った。
 少々寒くても、コタツがあるから、と来ていただけた。
 スープは、冷えたお腹を温め、食欲が沸く効果もあった。
 カードは、席を立たずに注文できるので好評。
 鍋は、冷たいビールの売り上げを増やし、締めからのデザート、とうまくお客様をカウンターに導いてくれた。

「日替わりの一人鍋、五杯分前払いで一杯サービスのカード始めました」

 そんな中、クレームが入った。
 一人鍋、という名前が、独り身に対する攻撃だ、という謂れなき苦情だ。
 「彼女ら」は、クリスマスに独身限定のパーティーをするから、となんとか宥めることができた。

 雪さんは、また思い付きで言ってたいへんな目にあうわよばっかじゃないの、といった目で、僕を見た。


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番外編の解説(作者の気まぐれ自己満足と忘備録的な)

「冬の」とあったら(以下略)

はい、コタツの冬です。
(修飾語まで変えないの?)
(ツッコムのも面倒だよ?)

全席コタツにしたはいいけれど、コタツから出たくない症候群で、ビールの売り上げが減ってしまい、さあどうする?への口約を守ったお話です。
ビールと気温との戦いの第三弾でもあります。
(なんか、ちゃんと繋がった三部作って、初めてだね?)
(連続で書くことが驚きだよね?)

ご存知の通り、何も考えずに書いてきた番外編ですが、開店一周年を期に、一度お休みさせていただこう、と考えております。
まだ、構想段階ではあるのですが、この舞台と登場人物を使って、新な物語が書ければ、などと考えております。
と、本編のアトガキでも、同じようなことを書いて、半分しか実現していないので、イマイチではあるのですが、、、

というか、番外編で、しばらく続くっぽくして大丈夫か、って気もしますが。
まあ、そもそも続くかどうかがわからないのが、番外編の醍醐味ですよね?

また、機会がありましたら、このお店にお付き合いくださいませ。
(結論出たわけね?)
(一応は)
(プロット途中なくせにいいの?)
(まあ、こっちで書く内容は、あっちでも書けると思うし?)
(どうせ人気ないんだから書きたいもの書けばいいんじゃない?)
(また、こっち書いてもいいわけだし?)
(え?)
(え?)


まみ夜
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