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主人公は、書き手より上にはできない

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他の方の作品を読んで気になったのが、「天才××の」的な題名。

分かるんですよね、書き手として。
主人公ってカッコ良くしたいですから、才能あるようにしたいです。
となれば、その冠のトップは「天才」でしょう。
「チート」という冠よりは、他力本願でないのが魅力なのでしょう。

でも、残念なコトに、書き手は一般人なので、「天才」を書けないのです。

例えば、知識。
すべての知識を持ったハズの天才主人公が、ソレ知らないの? で設定崩壊です。
まあ、書き手が知らないのだから、仕方ありません。

物語に大きく絡む知識は、それなりに調べるのでしょうが、ちょっとした端々に、残念な無知が現れるのです。
食事の作法や食材の旬を知らなかったり、よくある都市伝説のようなトンデモ化学を信じていたり、全知の天才なのに、ガッカリです。

それとは逆に、書き手が知らないので、一般人も知らない、と思い込むのも間違いの元です。
百人一首の歌が使われたので、犯人は百人一首クラブの中にしかいない、といった展開です。
一般人は知らないハズだから除外、っていえいえ、知らないのはアナタです。

例えば、頭脳。
凡人には考えつかない発想のハズの天才主人公が、発想がソレ? で設定崩壊です。
まあ、書き手に天才的発想がないのですから、仕方ありません。

ピアスだから女性へのプレゼント、だから贈り手は男性に決まってる、って天才なのに、ガッカリです。
【え? ガッカリの意味、わかりますよね?】

普通の主人公であれば、物語としては十分なのかもしれませんが、「天才」の題名で読者様を集めておいて、その程度では、成立しないでしょう。
読者様が期待しているのは、思いもよらない知識、思いもよらない発想なのですから。
ネットで調べた程度の知識、飛躍しすぎたご都合主義の発想では、納得しません。

例えば、技術。
絶対に治す天才医師とか、絶対に負けない天才剣士などです。
読者様は、基本的に、困った主人公が工夫して、困難に立ち向かうのを好みます。
俺tueeeee!は、コレのアンチテーゼです。
なので、治しました、倒しました、で終わりますので、飽きます。
とはいえ逆に、そうでなければ、設定崩壊です。

更に、現実に存在しない人物ですが、天才医師は、権力者によって拉致されて終わりでしょう。
天涯孤独だろうが、言うコトを聞かせる手なんて、いくらでもあります。

同じように、冠として難しいのが、「お金持ち」です。

お金を使うのがお金持ちと勘違いされがちですが、お金を使わないから、お金が貯まるのです。
人を雇えばお金がかかりますし、大きな屋敷や別荘は維持管理にお金がかかります。
ホテル暮らしの方がよっぽど快適で、お金が貯まる、のカモしれません。
それでも、家族の誘拐防止には、お金を惜しまないでしょう。
逆を言えば、警護官がいないのは、お金持ちではない、のでしょう。

もちろん、莫大な収入があり、莫大に支払うお金持ちもいます。
でも、そうなると、書き手の知識が足りないのです。
バッグは?
スーツは?
ドレスは?
時計は?
アクセサリーは?
カジュアルな装いは?
その組み合わせを、このシチュエーションで?
そのレベルのレストランでソレ?
その会社の買取って、株が公開されているのに可能なの?
その行為って、特区でもつくらない、と法律違反でしょ?
そのヘリとかセスナの扱いは、航空法違反でしょ?
その年齢では、船舶免許とれないから、外海出たら(以下略)

無理せずに、身の丈にあった、物語を書いた方が、読者様の共感を得られます。

要約すると「主人公は、書き手より上にはできない」でした。
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