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災禍での変化と、どうしたいか
書籍化とは、どこを目指すのか?
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題名に悩んだのですが、今回の趣旨を先に書いてしまえば、「書籍化を目指す必要があるのか?」です。
はい、このコラムの根本を揺るがすテーマですね。
でも、初回投稿の2017年5月とは、もう世界は変わってしまったのです。
今更ですが、世界は激変しています。
それこそ、小説が書いていた未来のように。
いや、むしろ、リアルタイムで、結末がわからない分、ドラマチックです。
何が言いたいかというと、世界が激変していくなか、物語を提供するための書籍は、どうなのか?です。
『昔』は、通勤通学に駅を使い、そこの書店で、新刊を目にして、購入していました。
『今』は、書店に足を運ぶことも減り、購入するとしてもネットで、更には電子書籍へと推移しています。
これは、『今』に始まったことではなく、「出版/印刷業界の衰退」と言われて、すでに久しく、今回の騒動で加速しただけです。
同じように、在宅勤務やリモートも、導入は呼びかけられていたものの、一般的にまで導入が加速されたのは、今回の騒動でです。
更に、何が言いたいか、というと、書籍という手法でしか提供できなかった書籍は、ネット環境によって、意味が薄れた、です。
雑に説明すると、スマホで電子書籍(有料)を読むのと、アルファポリス(無料)を読むのに、どんな違いがあるのか?です。
もちろん、有料な分、書籍化されるような物語は、レベルが高いです。
だからといって、当たり外れがないわけでは、ありません。
そして、無料でも、外れだけしかないわけでも、ありません。
つまり、有料だからといって、自分が好む物語を手に入れられるとは限らないのです。
結果として、物語としての商品価値は、書籍化が絶対条件ではなくなってしまったのです。
たしかに『昔』は、書籍化しか、物語の入手方法はありませんでした。
(例外については後述)
だから、その中で、自分の好む物語を探すしかなかった。
でも『今』は、書籍化された以外にも、選択肢がある。
なにより、自分のし好に突き刺さる、尖った物語は、書籍化という平坦化のフィルターを受けない、無料の方に可能性があるのです。
誤解しないでいただきたいのは、この「自分のし好に突き刺さる」のは書籍化したもの以外にある、という状態は、『今』に始まったことではないのです。
同人誌です。
薄い本です。
言葉は悪いですが、編集者と倫理規定の枷を受けない、「自分のし好に突き刺さる」のは、当時まだ、印刷というクビキから逃れることができませんでしたが、『今』は違います。
更に誤解していただきたくないのが、TWITTERから書籍化、映画化、などといった、メジャー路線の話ではありません。
零細サークルのオリジナル小説本なんて、百部刷って、二年くらいかけて売るレベルなのですから。
(今はもう、違うのかしら)
整理しますと、物語と読み手とは、需要と供給の関係にあります。
当たり前ですね?
ここに、利益が絡むと、おおきな需要に対する供給がメインとなります。
これが、書籍化の本質です。
ですが、「大きな需要」は、焦点を絞ることができません。
例えれば、「カプチーノ」が大好きな読み手へ向て、ではなく。
「喫茶店」くらいに範囲を広げる必要があるのです。
これならば、「コーヒー」「紅茶」「ランチ」「美人店主」「女子高校生バイト」などの需要にも対応可能です。
雑に言ってしまえば、それが、書籍化の限界なのです。
例えば、「釣り」、細分化して「へら」の雑誌はありますが、大多数のし好に突き刺さらないミシシッピアカミミガメはないのです。
では、利益が絡まなければ?
物語を書く者の目標は、今までは「大きな需要」を狙った書籍化でした。
そこからネット小説由来へシフトして、「少しニッチな需要」が書籍化されました。
(当コラムは、これまで、この「少しニッチな需要」をいかに狙った物語を書くかについて、解説してきました)
でも、本当に「自分のし好に突き刺さる」物語は、「少しニッチな需要」でも、まだまだ範囲が大きいのです。
例えれば、ようやく「コーヒー」まで絞られてきましたが、「カプチーノ」までではないのです。
では、どこにあるか?
無料の人気のない小説の中にある可能性があるのです。
だって、「カプチーノ」が刺さる人が少ないからこそ、読む人が少ないのですから。
とりあず誤解のないように書きますが、ニッチであればなんでもいい訳ではなく、面白い物語であるのは、もちろん必要です。
逆に言えば、人気がないから、誰かのし好に突き刺さらないわけでは、ないのです。
そして、この時代、物語は、書き手から読み手への一方通行では、成り立たなくなったのかもしれません。
ネット環境の中、読み手からなんらかのフィードバック、読んだ、好きだという意思表示があって、少数の読み手でも、書き続けるモチベーションが保てる。
そういう需要と供給が、強いコミュニケーションツールになるのかもしれません。
もちろん、読み手に迎合して、話の進む先をアンケートで決めろと言っているのではありません。
つまり、とてもコアなファンがいてくれるなら、メジャーになる必要があるのか?とも言えます。
当然、お金やインセンティブは稼げませんが、それ目的で書いているのですか?
例えば、『今』の自分であれば、2-3人いてくれれば十分と思ってしまうのですが、もっと大人数が必要と感じる自己顕示欲の持ち主なら、結局はメジャーを目指して、書きたくもない、読み手に迎合した物語を書くしかないのかもしれません。
それが、結果として、書き手の幸せになるのかどうか。
月に何万円かのインセンティブ稼いだ呪縛から逃れられないでネット記事丸コピペしてバンくらうくらいなら、総合計時間を自給で計算したら、バイトした方がよくないですか?
どこにでもあるような流行りのテンプレで一度、読んだら読み捨てられてしまうアニメ化されがちな物語より、ほんの一握りでも、誰かに共感してもらって、ずっと覚えていてもらえるような物語。
そんな選択肢が、逆に『今』だからこそ、あるのかもしれません。
要約すると「書籍化とは、どこを目指すのか?」でした。
はい、このコラムの根本を揺るがすテーマですね。
でも、初回投稿の2017年5月とは、もう世界は変わってしまったのです。
今更ですが、世界は激変しています。
それこそ、小説が書いていた未来のように。
いや、むしろ、リアルタイムで、結末がわからない分、ドラマチックです。
何が言いたいかというと、世界が激変していくなか、物語を提供するための書籍は、どうなのか?です。
『昔』は、通勤通学に駅を使い、そこの書店で、新刊を目にして、購入していました。
『今』は、書店に足を運ぶことも減り、購入するとしてもネットで、更には電子書籍へと推移しています。
これは、『今』に始まったことではなく、「出版/印刷業界の衰退」と言われて、すでに久しく、今回の騒動で加速しただけです。
同じように、在宅勤務やリモートも、導入は呼びかけられていたものの、一般的にまで導入が加速されたのは、今回の騒動でです。
更に、何が言いたいか、というと、書籍という手法でしか提供できなかった書籍は、ネット環境によって、意味が薄れた、です。
雑に説明すると、スマホで電子書籍(有料)を読むのと、アルファポリス(無料)を読むのに、どんな違いがあるのか?です。
もちろん、有料な分、書籍化されるような物語は、レベルが高いです。
だからといって、当たり外れがないわけでは、ありません。
そして、無料でも、外れだけしかないわけでも、ありません。
つまり、有料だからといって、自分が好む物語を手に入れられるとは限らないのです。
結果として、物語としての商品価値は、書籍化が絶対条件ではなくなってしまったのです。
たしかに『昔』は、書籍化しか、物語の入手方法はありませんでした。
(例外については後述)
だから、その中で、自分の好む物語を探すしかなかった。
でも『今』は、書籍化された以外にも、選択肢がある。
なにより、自分のし好に突き刺さる、尖った物語は、書籍化という平坦化のフィルターを受けない、無料の方に可能性があるのです。
誤解しないでいただきたいのは、この「自分のし好に突き刺さる」のは書籍化したもの以外にある、という状態は、『今』に始まったことではないのです。
同人誌です。
薄い本です。
言葉は悪いですが、編集者と倫理規定の枷を受けない、「自分のし好に突き刺さる」のは、当時まだ、印刷というクビキから逃れることができませんでしたが、『今』は違います。
更に誤解していただきたくないのが、TWITTERから書籍化、映画化、などといった、メジャー路線の話ではありません。
零細サークルのオリジナル小説本なんて、百部刷って、二年くらいかけて売るレベルなのですから。
(今はもう、違うのかしら)
整理しますと、物語と読み手とは、需要と供給の関係にあります。
当たり前ですね?
ここに、利益が絡むと、おおきな需要に対する供給がメインとなります。
これが、書籍化の本質です。
ですが、「大きな需要」は、焦点を絞ることができません。
例えれば、「カプチーノ」が大好きな読み手へ向て、ではなく。
「喫茶店」くらいに範囲を広げる必要があるのです。
これならば、「コーヒー」「紅茶」「ランチ」「美人店主」「女子高校生バイト」などの需要にも対応可能です。
雑に言ってしまえば、それが、書籍化の限界なのです。
例えば、「釣り」、細分化して「へら」の雑誌はありますが、大多数のし好に突き刺さらないミシシッピアカミミガメはないのです。
では、利益が絡まなければ?
物語を書く者の目標は、今までは「大きな需要」を狙った書籍化でした。
そこからネット小説由来へシフトして、「少しニッチな需要」が書籍化されました。
(当コラムは、これまで、この「少しニッチな需要」をいかに狙った物語を書くかについて、解説してきました)
でも、本当に「自分のし好に突き刺さる」物語は、「少しニッチな需要」でも、まだまだ範囲が大きいのです。
例えれば、ようやく「コーヒー」まで絞られてきましたが、「カプチーノ」までではないのです。
では、どこにあるか?
無料の人気のない小説の中にある可能性があるのです。
だって、「カプチーノ」が刺さる人が少ないからこそ、読む人が少ないのですから。
とりあず誤解のないように書きますが、ニッチであればなんでもいい訳ではなく、面白い物語であるのは、もちろん必要です。
逆に言えば、人気がないから、誰かのし好に突き刺さらないわけでは、ないのです。
そして、この時代、物語は、書き手から読み手への一方通行では、成り立たなくなったのかもしれません。
ネット環境の中、読み手からなんらかのフィードバック、読んだ、好きだという意思表示があって、少数の読み手でも、書き続けるモチベーションが保てる。
そういう需要と供給が、強いコミュニケーションツールになるのかもしれません。
もちろん、読み手に迎合して、話の進む先をアンケートで決めろと言っているのではありません。
つまり、とてもコアなファンがいてくれるなら、メジャーになる必要があるのか?とも言えます。
当然、お金やインセンティブは稼げませんが、それ目的で書いているのですか?
例えば、『今』の自分であれば、2-3人いてくれれば十分と思ってしまうのですが、もっと大人数が必要と感じる自己顕示欲の持ち主なら、結局はメジャーを目指して、書きたくもない、読み手に迎合した物語を書くしかないのかもしれません。
それが、結果として、書き手の幸せになるのかどうか。
月に何万円かのインセンティブ稼いだ呪縛から逃れられないでネット記事丸コピペしてバンくらうくらいなら、総合計時間を自給で計算したら、バイトした方がよくないですか?
どこにでもあるような流行りのテンプレで一度、読んだら読み捨てられてしまうアニメ化されがちな物語より、ほんの一握りでも、誰かに共感してもらって、ずっと覚えていてもらえるような物語。
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要約すると「書籍化とは、どこを目指すのか?」でした。
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