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のろいのりゅう
ゴーレム
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「俺も盾持ちのファイターでオカダ、レベル拾陸」
黒い金属の鎧を着たメガネ青年オカダも盾持ちなのか。
シマムラが、初めて会ったときレベル拾伍って言ってたから、会った中での最高レベルかもしれない。
ギルドからの指名クエストで、難易度が高いとはいえ、自分よりレベルの高い相手をパーティーに招き、経験豊富なその指示を受けよう、というランドウの度量が大きい。
ガイドカーソルが一つは、ちょっと安心する。
皆もそうらしく、オカダ、ランドウを先頭に歩き出す。
みるみる赤くなり、角を曲がる、ともうゴーレムの名前とバーが出た。
大理石のような色合いのマッチョで巨大な石像。
「オーソドックスに、ランドウと俺で前後を挟んで壁。ケイとカムイは側面、ただしカムイはワンテンポ置いてから。動きが速いようだったら、ミチルとカムイは合流して、俺たち二人でその前で壁」
オカダの指示に、皆が頷く。
今回、カムイは拳銃ではダメージが通らなそうなので、早速のライフルデビューだ。
ただ、ゴーレムの動きによっては、ダメージ源になれるかは、変わってくる。
「回りこむので、少し待機してくれ。ファースト・アタックは、私で」
ランドウは言う、と走っていった。
「いくぞ!」
一分ほどで、ゴーレムの向こうからランドウの声がして、石を叩きつける音が響いた。
振り向くゴーレムの動きを見て、
「鈍いぞ、囲め」
動きが遅いと判断して、移動する。
ランドウ、オカダのどちらを攻撃するか、ウロウロするゴーレムを狙おう、とショート・ソードを構える、とゴーレムの両手の指先が、ポロポロと落ちた。
ダメージ? と思う間もなく、右手をオカダ、左手をランドウに向け、指先からマシンガンのように、ナニかを乱射し始めた。
壁二人は、大盾で耐えるが、俺は流れ弾をもらわないように必死で、飛びのく。
ガンガンと盾を叩く音が響く。
しかし、こちらに背中を向けて止まっているのは、チャンスだ。
硬そうなので、せめて関節を狙うが、硬い!
「うわっ!?」
ランドウが、声を上げて、サイドステップした。
彼がいたところを、ビームのようなものが、焼いた。
なんだ?
ぐるり、とゴーレムの首が、こちらへ回った。
口が、ぱっかり開いている。
まさか?
「逃げろ!」
言われるまでもない。
口から出たレーザーは、バックステップした足元を焼き。
照射したまま、首が一回転した。
三人とも、なんとか凌いだが、無理な体勢になっていて、急には動けない。
ズガン! と大きな音がして、ゴーレムの頭が傾く。
カムイのライフル射撃だ。
「散ってから集合!」
必死に、岩の影に隠れた。
指先マシンガンと口からビームに追いたてられながら、なんとか撒いて集合した。
「あのビームだと、近づけないぞ」
「ダメージが入らないからヘイトの移りが早い。ケイの攻撃に即、反応していた」
あまりいい判断材料はない。
「しかも硬くて、ライフルでもダメージが通ってない」
バーが、減った様子がなかった。
作戦の立てようがない。
ミチルが、ボヤく。
「なにか、弱点あればいいのに?」
「それだ!」
オカダが、アーマー・ドランゴンというモンスターと戦ったとき、今回同様まったくダメージが通らなかったらしい。
諦めかけたが、背中に一枚、色の違う鱗を見つけた。
「逆鱗」という言葉は知らないようだが、オカダらは、その鱗を攻撃し、倒すことができた。
俺は、同じように、ゲームなどで登場するモンスターであるゴーレムには、弱点が存在するのを思い出した。
身体のどこかに刻まれた「emeth(真理)」という言葉の「e」を消し、「meth(死)」にする、と壊れるという。
まずは、文字の位置を調べないとだ。
小刻みに攻撃をしかけて逃げる、ヒット・アンド・ウェイを続けて、文字を探す。
腋の下、掌、股間、ビームを出す口の中まで見たが、見つからない。
「あとは、足の裏か?」
「それって、転ばせるってこと?」
あの重量だ、全員でタックルしても、倒せるか怪しい。
ミチルが、ボヤく。
「自分で足元、壊さないかなー、あいつ馬鹿そうだし?」
「それだ!」
盾を持っている三人(俺はスモール・シールドだけど)が、カムイのライフル射撃で注意を引いた後、突っ込む。
指先マシンガンに二人の大盾をかざして、前進する。
口が開き、ビームを放つ気配を見せたので、オカダとランドウが、左右に飛びのいた。
マシンガンは、そのまま二人を追うが、首は狙いを定められずに、オロオロしている。
その隙に、俺が足に思いっきり、ショート・ソードを叩きつける。
ゴーレムが、俺を見た。
ビームが発射される瞬間、股の間を走り抜けた。
俺をビームが追い、ゴーレム自身の足元を焼き、足元が崩れる。
よろめくゴーレムに向かって、三人でタックルした。
ゆっくり、と倒れて足の裏を晒すゴーレム。
ズガン! と轟音がして、バーが黒くなった。
ギルドでステータス画面を確認したら、ゴーレムのバーが減ったように見えなかったので、ダメージが通っていない、と思っていたが、関節を狙ったりして、わずかには削っていたようだ。
ゴールドを貰えていた。
レベルも上がりにくくなるだろうし、そろそろ装備を代えたい。
「え? あれ?」
ミチルの声が、暗く響く。
「ミチル、ゼロ?」
ものすごく、攻略に重要なヒントになる言葉を口走っていたが、ほとんど攻撃できていなかった。
ヒット・アンド・ウェイでは、ダメージの通らないアローだったし、最後もゴーレムがどちらに倒せるか、足の裏がどちらを向くか、予想できなかったので、ミチルは、止めを刺したカムイとは逆方向で待機していた。
「あーあ、銭ゲバ・サクラの気持ちが、ちょっとわかったわー」
ミチルの言葉に苦笑する俺ら三人。
オカダもサクラの悪名は知っているようだが、笑ってはいなかった。
「その人、この前、死んだよ」
オカダの言葉に、苦笑が消える。
「アーマー・ドラゴンに、いきなり一人で突っ込んで行って、一撃でやられた」
黒い金属の鎧を着たメガネ青年オカダも盾持ちなのか。
シマムラが、初めて会ったときレベル拾伍って言ってたから、会った中での最高レベルかもしれない。
ギルドからの指名クエストで、難易度が高いとはいえ、自分よりレベルの高い相手をパーティーに招き、経験豊富なその指示を受けよう、というランドウの度量が大きい。
ガイドカーソルが一つは、ちょっと安心する。
皆もそうらしく、オカダ、ランドウを先頭に歩き出す。
みるみる赤くなり、角を曲がる、ともうゴーレムの名前とバーが出た。
大理石のような色合いのマッチョで巨大な石像。
「オーソドックスに、ランドウと俺で前後を挟んで壁。ケイとカムイは側面、ただしカムイはワンテンポ置いてから。動きが速いようだったら、ミチルとカムイは合流して、俺たち二人でその前で壁」
オカダの指示に、皆が頷く。
今回、カムイは拳銃ではダメージが通らなそうなので、早速のライフルデビューだ。
ただ、ゴーレムの動きによっては、ダメージ源になれるかは、変わってくる。
「回りこむので、少し待機してくれ。ファースト・アタックは、私で」
ランドウは言う、と走っていった。
「いくぞ!」
一分ほどで、ゴーレムの向こうからランドウの声がして、石を叩きつける音が響いた。
振り向くゴーレムの動きを見て、
「鈍いぞ、囲め」
動きが遅いと判断して、移動する。
ランドウ、オカダのどちらを攻撃するか、ウロウロするゴーレムを狙おう、とショート・ソードを構える、とゴーレムの両手の指先が、ポロポロと落ちた。
ダメージ? と思う間もなく、右手をオカダ、左手をランドウに向け、指先からマシンガンのように、ナニかを乱射し始めた。
壁二人は、大盾で耐えるが、俺は流れ弾をもらわないように必死で、飛びのく。
ガンガンと盾を叩く音が響く。
しかし、こちらに背中を向けて止まっているのは、チャンスだ。
硬そうなので、せめて関節を狙うが、硬い!
「うわっ!?」
ランドウが、声を上げて、サイドステップした。
彼がいたところを、ビームのようなものが、焼いた。
なんだ?
ぐるり、とゴーレムの首が、こちらへ回った。
口が、ぱっかり開いている。
まさか?
「逃げろ!」
言われるまでもない。
口から出たレーザーは、バックステップした足元を焼き。
照射したまま、首が一回転した。
三人とも、なんとか凌いだが、無理な体勢になっていて、急には動けない。
ズガン! と大きな音がして、ゴーレムの頭が傾く。
カムイのライフル射撃だ。
「散ってから集合!」
必死に、岩の影に隠れた。
指先マシンガンと口からビームに追いたてられながら、なんとか撒いて集合した。
「あのビームだと、近づけないぞ」
「ダメージが入らないからヘイトの移りが早い。ケイの攻撃に即、反応していた」
あまりいい判断材料はない。
「しかも硬くて、ライフルでもダメージが通ってない」
バーが、減った様子がなかった。
作戦の立てようがない。
ミチルが、ボヤく。
「なにか、弱点あればいいのに?」
「それだ!」
オカダが、アーマー・ドランゴンというモンスターと戦ったとき、今回同様まったくダメージが通らなかったらしい。
諦めかけたが、背中に一枚、色の違う鱗を見つけた。
「逆鱗」という言葉は知らないようだが、オカダらは、その鱗を攻撃し、倒すことができた。
俺は、同じように、ゲームなどで登場するモンスターであるゴーレムには、弱点が存在するのを思い出した。
身体のどこかに刻まれた「emeth(真理)」という言葉の「e」を消し、「meth(死)」にする、と壊れるという。
まずは、文字の位置を調べないとだ。
小刻みに攻撃をしかけて逃げる、ヒット・アンド・ウェイを続けて、文字を探す。
腋の下、掌、股間、ビームを出す口の中まで見たが、見つからない。
「あとは、足の裏か?」
「それって、転ばせるってこと?」
あの重量だ、全員でタックルしても、倒せるか怪しい。
ミチルが、ボヤく。
「自分で足元、壊さないかなー、あいつ馬鹿そうだし?」
「それだ!」
盾を持っている三人(俺はスモール・シールドだけど)が、カムイのライフル射撃で注意を引いた後、突っ込む。
指先マシンガンに二人の大盾をかざして、前進する。
口が開き、ビームを放つ気配を見せたので、オカダとランドウが、左右に飛びのいた。
マシンガンは、そのまま二人を追うが、首は狙いを定められずに、オロオロしている。
その隙に、俺が足に思いっきり、ショート・ソードを叩きつける。
ゴーレムが、俺を見た。
ビームが発射される瞬間、股の間を走り抜けた。
俺をビームが追い、ゴーレム自身の足元を焼き、足元が崩れる。
よろめくゴーレムに向かって、三人でタックルした。
ゆっくり、と倒れて足の裏を晒すゴーレム。
ズガン! と轟音がして、バーが黒くなった。
ギルドでステータス画面を確認したら、ゴーレムのバーが減ったように見えなかったので、ダメージが通っていない、と思っていたが、関節を狙ったりして、わずかには削っていたようだ。
ゴールドを貰えていた。
レベルも上がりにくくなるだろうし、そろそろ装備を代えたい。
「え? あれ?」
ミチルの声が、暗く響く。
「ミチル、ゼロ?」
ものすごく、攻略に重要なヒントになる言葉を口走っていたが、ほとんど攻撃できていなかった。
ヒット・アンド・ウェイでは、ダメージの通らないアローだったし、最後もゴーレムがどちらに倒せるか、足の裏がどちらを向くか、予想できなかったので、ミチルは、止めを刺したカムイとは逆方向で待機していた。
「あーあ、銭ゲバ・サクラの気持ちが、ちょっとわかったわー」
ミチルの言葉に苦笑する俺ら三人。
オカダもサクラの悪名は知っているようだが、笑ってはいなかった。
「その人、この前、死んだよ」
オカダの言葉に、苦笑が消える。
「アーマー・ドラゴンに、いきなり一人で突っ込んで行って、一撃でやられた」
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