【完結】>自殺の報いに、世界を救いましょう!

まみ夜

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敗走

暖かい部屋

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 二人は、制服女性にパトカーである建物に連れてこられた。
 両親には、自殺未遂で精神的に衰弱しているため、政府の専門の施設で保護する、という説明をしたようだ。
 まあ、嘘は言っていない。
「とりあえず、ここ施設って呼んでる」
 応接室のような、ソファーのある部屋に通された。
「疲れただろうから説明、明日にする? あ、私ジェネラルじゃないから、大丈夫」
 ジェネラルでないから、彼女がいれば呼び出されることはない。
 しかし、ジェネラルでないから、いろいろと話て、大丈夫なのだろうか。
「ミチルもいい?」
「うん」
 とはいえ、説明は聞きたいので、お願いした。

 切っ掛けは、やはり不自然な死体からだった。
 電車の走らない線路での轢死。
 人が泊まっていない部屋での縊死。
 豪雨の中での焼死。
 空のプールでの溺死。
 検死解剖してみても、死亡推定時刻は、不自然なタイミングからは大きくズレなかった。
 死体が見逃されたのではなく、それまで死体は存在しなかったのでは、と予想された。

 次に、それらの死体の側で、不自然な破壊があったこと。
 小規模ながら、物理的に難しい高温、巨大な牙の跡など、通常では考えられない痕跡だった。
 しかも、その規模が大きくなりつつある。
 先日の四人の車の件も、あれだけ被害がおおきくなったのは、建造物が酸のようなもので腐食していたのが原因だった。
 以前、通っている高校の側で世界の敵と戦い、校舎が焦げたことがあったが、現実世界では、変化がなかった。
 それが、変わってきているのだろうか。

 最後が、自殺未遂の増加だ。
 しかも、入院した後、夜に一人になることを拒む。
 ようやく、一人を説得して、ジェネラルのことを聞き出せてから、まだ日が浅い。

 関係各所は「組織」を立ち上げ、廃病院となっていた精神病院を改築、「施設」とした。
 ここに、ジェネラルを集め、保護している。
「呼び出されないための条件として、ジェネラル以外の人間の存在が、モニター監視で代行できたのが、助かったね」
 ジェネラルの保護室は、三台のカメラで監視され、その一台づつが、三部屋のモニター室に分かれて監視されている。
 また、電気系統も別制御されていた。
 設備の故障、人為的なミスを防ぐ処置がされている。
「どうする? 家帰りたいなら、それでもいいんだけど?」
 選択の余地はなく、改めて保護をお願いした。

「ちょっと居心地の悪さを我慢すれば、安全だよ」
 保護室という名の個室に案内された。
「これ着がえ。見られたくなかったら、洗面所で手早くしてね」
 ビニールでパックされた衣料を二つ渡された。
 ミチルと別れて部屋に入ると、バス、トイ付で、ビジネルホテルのシングルのような部屋だった。
 三台ある、というカメラも、巧妙に隠されていて、あまり気にならない。
 逆に、本当に見られているのか心配になるが、それを解消するために、エアコンの下に、赤いLEDが三つ光っていた。
 これが三台のカメラもモニター室も生きている、という合図だ。
 シャワーを浴びて、グレーのTシャツ、ボクサーパンツ(ブリーフじゃなくてよかった)、ボタンのついた浴衣のような寝間着に着替えた。
 髪も乾かさず、ベッドに寝転がると、監視されていることなど関係なく、即眠りに落ちていた。
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第10回ドリーム小説大賞 奨励賞受賞
◆□◆看板猫がいるお店が開店するまでのホノボノ物語はいかがですか◆□◆

『cat typing ~猫と麦酒~』


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