【完結】>自殺の報いに、世界を救いましょう!

まみ夜

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五戦

鏡像世界/ゴーレム

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 ガイドカーソルが一つだと、ちょっと安心する。
 皆もそうらしく、オカダ、ランドウを先頭に歩き出す。
 みるみる赤くなり、角を曲がると、もうゴーレムの名前とバーが出た。
 大理石のような色合いのマッチョな石像。
「オーソドックスに、ランドウと俺で前後を挟んで壁。サトルとケイが側面から。動きが速いようだったら、ミトンを中心にして、円陣」
 オカダの指示に、皆が頷く。
「回りこむので、少し待機してくれ。ファースト・アタックは、私で」
 ランドウは言うと、路地に入っていった。
「いくぞ!」
 一分ほどで、ゴーレムの向こうからランドウの声がして、石に叩きつける音が響いた。
 振り向くゴーレムの動きを見て、
「鈍いぞ、囲め」
 動きが遅いと判断して、移動する。
 ランドウ、オカダのどちらを攻撃するか、ウロウロするゴーレムを狙おう、とショート・ソードを構えると、ゴーレムの両手の指先が、ポロポロと落ちた。
 ダメージの表現? と思う間もなく、右手をオカダ、左手をランドウに向け、指先からマシンガンのように、ナニかを乱射し始めた。
 壁二人は、大盾で耐えるが、サトルと二人で、飛びのく。
 ガンガンと盾を叩く音が響く。
 しかし、こちらに背中を向けて止まっているのは、チャンスだ。
 硬そうなので、せめて関節を狙うが、硬い!
「うわっ!?」
 ランドウが、声を上げて、サイドステップした。
 彼がいたところを、ビームのようなものが、焼いた。
 なんだ?
 ぐるり、とゴーレムの首が、こちらへ回った。
 口が、ぱっかり開いている。
 まさか?
「逃げろ!」
 言われるまでもない。
 口から出たレーザーは、バックステップした足元を焼き。
 レーザーを照射したまま、首が一回転した。
 四人とも、なんとか凌いだが、無理な体勢になっていて、急には動けない。
 ズガン! と大きな音がして、ゴーレムの頭が傾く。
 ミトンの射撃だ。
「散ってから集合!」
 必死に、建物の影に隠れた。

 指先マシンガンと口からビームに追いたてられながら、なんとか撒いて集合した。
「あのビームだと、近づけないぞ」
「ヘイトの移りが早い。ケイの攻撃に、即反応してた」
 あまりいい判断材料はない。
「硬くて、ダメージが通ってない」
 バーが、減った様子がなかった。
 作戦の立てようがない。
「なんか、弱点あるんじゃね?」
「それだ!」

 オカダが、アーマー・ドランゴンという世界の敵と戦ったとき、今回同様まったくダメージが通らなかったらしい。
 諦めかけたが、背中に一枚、色の違う鱗を見つけた。
 「逆鱗」という言葉を思い出したオカダらは、その鱗を攻撃し、倒すことができた。
 同じように、ゲームなどで登場するモンスターであるゴーレムには、弱点が存在する。
 身体のどこかに刻まれた「emeth(真理)」という言葉の「e」を消し、「meth(死)」にすると、壊れるという。
 まずは、文字の位置を調べないとだ。

 小刻みに攻撃をしかけて逃げる、ヒット・アンド・ウェイを続けて、文字を探す。
 腋の下、掌、股間、ビームを出す口の中まで見たが、見つからない。
「あとは、足の裏か?」
「それって、転ばせるってことかよ?」
 あの重量だ、全員でタックルしても、倒せるか怪しい。
「自分で、足元壊さねえかな、あいつ馬鹿そうだし」
「それだ!」

 盾を持っている三人(僕はスモール・シールドだけど)で、ミトンの射撃で注意を引いた後、突っ込む。
 指先マシンガンに二人の大盾をかざして、前進する。
 口が開き、ビームを放つ気配を見せたので、オカダとランドウが、左右に飛びのいた。
 マシンガンは、そのまま二人を追うが、首は狙いを定められずに、オロオロしている。
 その隙に、足に思いっきり、ショート・ソードを叩きつける。
 ゴーレムが、僕を見た。
 ビームが発射される瞬間、股の間を走り抜けた。
 僕をビームが追い、ゴーレム自身の足元を焼き、足元が崩れる。
 よろめくゴーレムに向かって、三人でタックルした。
 ゆっくり、と倒れて足の裏を晒すゴーレム。
 ズガン! と轟音がして、バーが黒くなり、ゴーレムの身体から、湯気のようなものが上がった。
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第10回ドリーム小説大賞 奨励賞受賞
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『cat typing ~猫と麦酒~』


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