【完結】>自殺の報いに、世界を救いましょう!

まみ夜

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三戦

鏡像世界/ヒュドラ

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 手に、装備の重さが加わる。
 サクラを見ると、一メートルくらいの日本刀っぽいのを両手で持っていた。
 あれがカタナか。
 ガイドカーソルが現れる。
 一つだけで、安心した。
 シマムラ、ユウゾウと目が合い、苦笑する。
「一人では危ない!」
 ランドウの声で、サクラが走り出しているのに気づく。
「またアイツ!」
 ユウゾウも走り出す。
 並んで走って、
「彼女、いつもなの?」
「死にたくないって、ゴールド稼ぎに必死で、無茶ばっかりだ!」
 ガイドカーソルが赤くなり、世界の敵の姿が見える。
 ヒュドラと名前、バーが出た。
 その姿は、長い首が六本、鱗がある四足。
「せやー!」
 サクラが、声を上げ、一人切りかかっている。
 六本の首が、サクラに向き、口を開けた。
 喉の奥に、炎が溜まっているのが見える。
 避けるように、サクラが動くが、首は追尾してきた。
「ファイアー・ボール」
 シマムラの声が響き、後ろから飛んできた炎の塊が、ヒュドラの体を叩く。
 それで首は方法を変え、魔法の使い手に、喉に溜めた炎を吐きだした。
 魔法を使って減ったヒット・ポイントが、更に削られていく。
 ランドウが、体ごとぶつかって、シマムラを炎からはじき出した。
 真っ赤になりながらも、なんとかバーは止まった。
 でも、もう魔法を使えるヒット・ポイントは残ってないだろう。
 まだ、ヘイトをもっているシマムラに近づこう、とヒュドラが歩き出す。
 その背後から、銃声が響き、動きが止まる。
 その隙に、ランドウが痛みで動けないシマムラを引きづって離れた。
 ユウゾウの方へ首を向け始めたヒュドラに、またサクラがカタナを突き立てた。
 さっきと同じ展開で、サクラに炎を浴びせようとするヒュドラ。
 その首の一本が、落ちた。
 ランドウは、大剣を振り下ろした体勢で、盾を構えられない。
 ユウゾウが、胴体にほとんど触れるようにして、連射することで、ヘイトを稼ぐ。
 その時間を利用して、盾を引き寄せるランドウ。
 僕も必死に、ユウゾウと逆サイドに走って、ショート・ソードを振るう。
 この状況で、ランドウは防御の時間が長くなり、ヘイトが稼げていない。
 なのに、三度サクラが攻撃をした。
 盾を投げ捨て、両手で持った大剣による防御を捨てた攻撃で、ランドウが二本の首を切り飛ばすが、サクラのヘイトには足りない。
 彼女に、ヒュドラの首が、叩きつけられた。
 吹き飛ばされたサクラを見ると、右腕が千切れているが、なんとかバーが残っている。
「くらえっ!」
 ランドウが、またも捨て身で二本の首を落とす。
 残りの一本が、ランドウに口を向けた。
 もう、ランドウのヒット・ポイントもほとんど残っていない。
 盾もその手にない。
 彼を狙って、かなり下にきていた首を、下からショート・ソードで突きあげた。
 剣が、顎を縫い止め、行き場をなくした自らの炎で、自らの首を焼く。
 それで、ヒュドラのバーは黒くなり、なんとか倒すことができた。
 皆のヒット・ポイントを見ると、本当にギリギリだった。
 しばらく、誰も口をきかなかった。
 無理な攻撃で受けた傷で、体中が疼いていて、動きたくない。
 倒したヒュドラからの湯気のようなもので、水鏡ができているが、誰も入る気力がないようだ。
 これって、時間制限で消えたりしないのかな?

>世界の敵を倒し、十分経過すると消えます
>それまでに帰還しなかったジェネラルは、自動的に死亡扱いとなります

 オペレーターの声に、背筋が凍る。
 急いで向かおうとすると、ランドウが、シマムラに駆け寄るのが見えた。
 そうか!
 彼は、痛みで動けないから、一人で水鏡に入れないんだ。
 ユウゾウも手を貸し、三人で担いで、水鏡に入る。
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第10回ドリーム小説大賞 奨励賞受賞
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『cat typing ~猫と麦酒~』


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