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2008/01/22(火)19:07

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 1.写本について調べる
》2.香苗の部屋を調べる
 3.富士の部屋を調べる
 4.指輪について調べる

「香苗」の部屋を調べることにした。
合鍵はないが、住民に大家を聞いて鍵を借りてもいいし、関係者の証明が難しいだろうが鍵屋を呼んでもいい。

他の住民が戻ってきていて、あまり暗くて不審者に見えない時間を狙って、仕事帰りに「香苗」の部屋がある駅に向かう。
改札を出ると、喧騒を縫って、救急車のサイレンが聞こえた。

どうやら、「香苗」の部屋がある方向へ行ったようだ。
失踪している「香苗」が救急車を呼ぶはずもなく、関係ないと思っても、気持ちのいいものではない。

見慣れない道をしばらく歩くと、焦げ臭い臭いが鼻をついた。
火事か?
まさか?

目指す先と、臭いの元と、火事の現場は、同じ場所だった。
木造らしい、アパートから煙が出ている。
その建物名は、「香苗」の住所に書かれていた名前と同じだ。
全焼というような大火ではなさそうだが、二階に三つある窓の真ん中から出る煙は、「香苗」の202号室が燃えている証拠だった。

思わず駆け寄ろうとして、消防隊員に戻される。
あるかもしれない手がかりが、目の前で灰となっていく。
しかし、それを止める術はない。

仕方なく、「香苗」の実家に電話をして、火事の報告をした。
驚く母親に、意味もなく謝り続けて切る。
指輪のことを聞ける雰囲気ではなかった。

「香苗」実家から消防に連絡してもらって、もし部屋に入れるとしても、現場検証の後だろう。
今はやれることがない。
帰ろうとすると、長身の男が「出火元のお知り合いですか?」と声をかけてきた。
消防士に止められていたのを見られたのだろうか、曖昧に返事をして去ろうとすると、名刺と写真を押し付けられて、つい受け取ってしまう。
フリージャーナリスト八神春一。
重ねられた写真を見て、激しく心臓が動悸する。

それには、指輪が写っていた。
「香苗」の携帯に残っていたピンボケ写真と同じ物のように見える。

私の表情に出たのを認めたのか、八神は薄く笑うと「その指輪は、ある団体の幹部証です」、と私の目を覗き込むようにして言う。
写真を私から取り返し、「興味があったら連絡ください」と背を向け歩み去った。

これは、手がかりなのだろうか?
それとも、罠なのだろうか?

次に私は、何をしたらいいだろうか?
 1.写本について調べる
 2.富士の部屋を調べる
 3.指輪について調べる
 4.香苗の燃えた部屋を調べる
 5.八神と連絡をとる
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